パソコン工房を運営するユニットコムから、iiyamaブランドのノートPC「STYLE-17FH121-i7-UXSX」が販売中だ。11世代Core i7プロセッサーと17インチの大型フルHDディスプレイを搭載し、12万円台からという入手しやすい価格を実現。
コストパフォーマンスに優れたモデルだ。今回、実機を試す機会を得たので、使用感やパフォーマンスについてレポートしていこう。
手堅い作りに充実した基本スペックを搭載
一般向け、ゲーマー向け、クリエイティブ向け、ビジネス向けと、用途向けに4つのシリーズを展開している。STYLE∞は多様化するライフスタイルに最適化されたPCというコンセプトで、ハイスペック/ミドルスペック/エントリーという3つのラインと、BTO(Build to Order)による多彩なカスタマイズを特徴としたシリーズだ。
今回紹介する「STYLE-17FH121-i7-UXSX」は、ミドルスペックに属するモデルだ。このラインはウェブブラウジングやOfficeスイートの操作といった一般的な用途に加え、ちょっとした画像加工や動画編集など、幅広い用途に対応できる、余裕のある処理能力が特徴となる。OSにはWindows 11 Homeを採用しており、最新OSの機能を余裕あるスペックで満喫できる。
本体デザインはブラックを基調とし、基本的に直線で構成されており、極めてシンプル。自己主張がほとんどないため、どんなインテリアとも違和感なく融和する。17.3型と、ノートPCとしては最大級の液晶ディスプレイを搭載しているが、狭額縁タイプなので本体サイズは幅394mm×奥行252.5mm×高さ22.6mmと、ひと昔前の15.6型モデルと大差はない。フットプリントはほぼB4サイズだ。重量は約2.12kgなので、毎日持ち歩くには少々大きいが、家のなかで移動して使う分には問題ないレベルだろう。
本体の両サイドにはインタフェース類が並んでいる。排気用のスリット類はすべて本体底面側に位置しており、使用中はほとんど目立たない。インタフェースはThunderbolt 4×1(Type-C×1)、USB 3.1×2(Type A×1、Type-C×1)、HDMI×1、microSD×1、Ethernet×1(1000BASE-T)、オーディオ入出力(3.5mm)×1。
17インチクラスのノートPCでは本体サイズが大きいぶん、VGAやDisplay Port、フルサイズのSDカードスロットなど、あれもこれもと盛りだくさんに搭載しているものも多いが、本機ではやや控えめながら必要分はしっかり抑えてシンプルに抑えられており、好感が持てる。
USB PDによる給電は、別途、65W対応のUSB PDアダプタやケーブルが必要となっている。バッテリーは内蔵式で、交換できないタイプ。バッテリー駆動時間は最大で約4時間だが、このサイズのノートPCは電源の取れない場所でバリバリ使うことは少ないので、一時利用と割り切れば十分な容量だろう。
ディスプレイは17.3型の非光沢タイプ。映り込みが少ないため、目が疲れにくく見やすい。パネルの種類は公開されていないが、見た感じTN型のようで、左右および上下の視野角はさほど広くないが、一般的なポジションで利用する範囲では問題ないだろう。発色や明るさも十分なレベルだ。ただ、画面が非常に広いため、マウスカーソルを見失いがちだ。できればWindowsの設定で大きめのマウスカーソルにしておくといいだろう。
液晶パネルのリフレッシュレートは144Hzと、高速駆動のパネルを搭載している。リフレッシュレートが高いと残像感が低減されるため、スポーツなど動きの速い動画の視聴や、ゲームなどでスムーズな動きを体感できる。ディスプレイ上部には約100万画素のカメラが内蔵されており、ビデオチャットやWeb会議なども問題なく行える。
ネットワークはEthernet(1000BASE-T)およびWi-Fi 6準拠の無線LANを搭載している。Bluetooth 5.0にも対応しており、無線式のヘッドセットやイヤフォンなども快適に利用できる。サウンド関係はスピーカーとマイクを内蔵しているほか、本体右サイドに3.5mmのオーディオ入出力端子を装備している。内蔵スピーカーやマイクの音質は特筆するほどではないが、音量は案外しっかりしており、YouTubeの動画視聴や、Web会議をする程度であれば十分だろう。
キーボードはキーそれぞれが独立したアイソレーションタイプで、テンキーを備えたフルサイズ。キー配列自体は一般的なJISなのだが、テンキーを入れるために右側の記号キーが一部幅狭になっている。結果、変則的な配置になってしまっているところがあり、ブラインドタッチではやや戸惑うことがあった。個人的にはテンキーなしで余裕のあるキー配置にしてもよかったように思う。トラックパッドはボタン一体型で、サイズも大きく感度も悪くないが、使い慣れない人は別途マウスを用意してもいいだろう。
付属品には電源アダプタのほか、システムのインストールディスクとしてDSP版Windows 11 Homeのメディアが用意されている。細かいことだが、最近はインストールディスクがリカバリー領域に保存されているPCも多いが、こうしたPCでは、インストールディスクを作成するのをつい忘れてしまうこともある。メディアが付属するなら、インストールディスクの作成を忘れる心配や、メディアを用意する手間やコストもないので、万が一の際に安心だ。
余裕ある処理性能に最新の内蔵GPUを搭載
CPUは第11世代(Tiger Lake)のCore iシリーズ「Core i7-1165G7」を搭載している。これは4コア・8スレッドで、キャッシュメモリは12MB。通常は2.8GHz、Turbo Boost時最大4.7GHzで動作するモバイル向けプロセッサーで、GPUには新設計の「Intel Iris Xe」グラフィックスを内蔵している。
CPU内蔵型のGPUというと、NVIDIAの「GeForce」シリーズのようなディスクリートGPU型と比べて大幅に性能が下がるというのがこれまでの常識だった。しかし、Iris XeグラフィックスではGPU性能が第10世代と比べて最大2倍に向上しているという。もちろん、これでも最新のディスクリート型のエントリークラスには遠く及ばないが、一方で軽めのゲームであれば実用的なレベルで動作することが期待できる。
メモリはDDR4-3200(PC4-25600)で、標準で16GB(8GB×2)を搭載(最大容量は64GB)。8GB程度のメモリを搭載している機種が多い中、実用レベルで余裕のある容量を搭載している点は評価できる。ストレージは NVMe対応 M.2 SSD(PCI 3.0x4)で、容量は500GB。実用上問題はないレベルの容量だが、動画などを編集したいのであれば、BTOで1TB程度に増量しておくといいだろう。
今回はCPUやGPUの性能をチェックするため、「CINEBENCH R23」「PCMark 10」「3DMark」「CrystalDiskMark」などのベンチマークソフトでスコアを測ってみた。また、実際のゲームでどのくらい快適にプレイできるかを「Apex Legends」でチェックしてみた。
まず、CPUの性能を測る「CINEBENCH R23」は、次の結果になった。
CINEBENCH R23 ベンチマーク結果 | |
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CPU(Multicore) | 5289pt |
CPU(Single Core) | 1462pt |
MP Rate:3.62 x |
CPUは4コア8スレッドではあるものの、動作クロック周波数が低めのモバイル向けプロセッサーということもあってか、マルチコアの数値は思っていたよりは低めの数値だった。
とはいえ、さすがにCore i3やCeleronとは格の違いを見せつけている。また、シングルコアの性能としてはモバイル用の第10世代 Core i7プロセッサ(1100~1200pt前後)と比べて20%近く数値が上昇しており、基礎性能の高さが伺える。消費電力は控えめにしつつ、必要な性能はしっかり確保しているといえるだろう。
続いて、PCの総合的なパフォーマンスをチェックするため「PCMark 10」を実行してみた。
PCMark 10 ベンチマーク結果 | |
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総合スコア | 4659 |
Essentials | 9019 |
Productivity | 5841 |
Digital Content Creation | 5212 |
PCMark 10のスコアで快適に動作する目安は、基本性能を示すEssentialsが4100、ビジネスアプリのパフォーマンスを示すProductivityが4500、クリエイティブアプリのパフォーマンスを示すDigital Content Creationが3450となっている。
本製品はいずれの項目も余裕を持ってクリアしており、特にウェブブラウザやビデオ会議といった一般的なアプリの動作については非常に快適に利用できるだろう。割合でいうと、Productivityのスコア(1.3倍)よりDigital Contents Creation(1.5倍)のほうが高く出ているが、別にOfficeの動作が重いといったことはないので安心してほしい。
続いて、「CrystalDiskMark」でストレージの性能も測ってみた。
CrystalDiskMark ベンチマーク結果 | |
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1M Q8T1 シーケンシャルリード | 2491.21 MB/s |
1M Q8T1 シーケンシャルライト | 1806.86 MB/s |
1M Q1T1 シーケンシャルリード | 1908.71 MB/s |
1M Q1T1 シーケンシャルライト | 1618.19 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 399.91 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 362.77 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 44.96 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 132.01 MB/s |
試用機には500GBのNVMe対応M.2 SSDが搭載されていたが、シーケンシャルリード・ライトではかなり高い性能が発揮されている。一方、ランダムリード・ライトでは決して低くはないものの、シーケンシャルと比べるとやや控えめな数値になった。もっとも、実用上、よほどのことでなければ不満を感じることはないだろう。
次に、グラフィックス性能を測るため「3DMark」も試してみた。
3DMark Time Spy ベンチマーク結果 | |
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Time Spy score | 1447 |
Graphic score | 1305 |
CPU score | 3788 |
3DMark Fire Strike ベンチマーク結果 | |
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Fire Strike score | 3380 |
Graphic score | 3684 |
Physics score | 11404 |
Combined score | 1265 |
DirectX 11世代のテスト「Fire Strike」、DirectX 12世代のテスト「Time Spy」、ともに数値としてはイマイチだ。フレームレートも実用上最小限といえる30fpsを下回っており、かなり厳しい。
とはいえ、これまでのIntel CPU内蔵GPUと比べると、かなり改善しているのも事実だ。参考までに第8世代のモバイル向けCore i7であるCore i7-8665Uが搭載していた「Intel UHD Graphics 620」では、Fire Strikeが「1014」、Time Spyは「402」だったので、第11世代では3倍も高速化したことになる。
実際、IntelはIris Xeでのゲームプレイをサポートするために、ゲームメーカーと共同で動作確認や最適化を進めるプログラムを実施しており、グラフィック設定を落とす前提ながら、国内外のさまざまな人気タイトルが快適に遊べる環境であると主張している。また、本機は144Hzと高リフレッシュレートの液晶パネルを搭載していることから、ライトなゲームPCとしての素質もある。
そこで最後に、実際のゲームとして、国内でも人気のFPS「Apex Legends」をプレイして、ベンチマーク代わりに快適度をチェックしてみた。なお、Apex Legendsではビデオ設定を最低に落とし、トレーニングモードをプレイしてフレームレートをチェックした。
「Apex Legends」によるベンチマーク結果 | |
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解像度 | フルHD(1,920×1,080) |
最低フレームレート | 27fps |
平均フレームレート | 47fps |
最大フレームレート | 113fps |
画質関連のオプションを軒並みオフにしてあっても、オブジェクトの数が多くなるとどうしても30fps程度まで下がってしまうことが多いが、60fpsを超える場面も散見された。また、液晶パネルのリフレッシュレートの高さのおかげか、数値よりも快適に動作していると感じられる。マウスを動かしてエイムする際の動きが滑らかなおかげで、遠距離でもエイムしやすく、また移動時にFPS酔いしにくいのも助かった。
あくまでライトゲーマー向けという但し書きつきにはなるが、FPSや格闘ゲームのように数フレームの差で勝敗が決まるようなタイトルでも、しっかり楽しめる環境だ。例えば家庭でお子さんがちょっとPCゲームタイトルを楽しみたい、というようなときに、専用のゲーミングPCを用意しなくても、本機であれば気軽に楽しむことができるだろう。
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STYLE-17FH121-i7-UXSXは、大きく見やすい画面と実用的な性能を備えた、コストパフォーマンスの高い一台だ。
リモートワークはもちろん、ゲームプレイにも対応した性能は、自宅で家族との共有PCにするにはもってこいといえるだろう。第7~8世代のCoreプロセッサー搭載PCあたりからそろそろ買い替えよう、という人には、しっかりと性能アップを感じられる1台としておすすめできる。
© 2022 Electronic Arts Inc. EA, the EA logo, Respawn, the Respawn logo, and Apex Legends are trademarks of Electronic Arts Inc.
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