コロナ禍前の2019年に比べ、2020年、2021年と新規ペットオーナーが増えていることをご存じだろうか。ペットブームの兆しが感じられる現在、メディアでも日々情報が発信されていることを背景に、ペットに関する情報の「正確性」が危惧されている。この情報過多の現代、多すぎる情報のなかから正しい知識を得られないままペットを迎えてしまう人も少なくない。

この状況に対し、ペットを取り巻く環境を向上しようと積極的な支援を続ける企業がある。「Dog & Cat First(すべては犬と猫のために)」を理念とし、250種類以上のペットフードを展開しているロイヤルカナンの日本法人「ロイヤルカナン ジャポン」だ。同社は犬と猫のヘルスカンパニーとして栄養学に基づいたプレミアムペットフード・食事療法食の展開、およびペットオーナーとペットを取り巻く専門家の意識や知識向上を図る取り組みを続けている。

  • ロイヤルカナン ジャポン合同会社 サイエンティフィック コミュニケーション&アカデミック アフェアーズ エグゼクティブ・平 瑛美さん

そこで今回は、獣医師であり、ロイヤルカナンで犬と猫に関する正しい知識と行動の理解・浸透を図るための取り組みを行っている平瑛美さんに、その思いなどを語ってもらった。

“ゆりかごの前”からペットの生涯を支えられるロイヤルカナン

――平さんは現在、どのような事業部で活動されていらっしゃいますか?

私は現在、サイエンティフィック コミュニケーション&アカデミック アフェアーズといういわゆる学術部に所属し、犬と猫の健康や製品に関連した学術情報を、ブリーダーやシェルターなど、犬と猫の専門家に対して発信しています。

ロイヤルカナンは、犬と猫の専門家との協働により、科学と観察に基づき個々の犬と猫の栄養ニーズを満たすペットフードを開発・提供しています。そのため、製品数は国内でも250種類以上になります。製品数が多いため、製品を見ただけではどういった製品なのかなかなか伝わりづらいこともあります。

そのため、年齢やライフスタイルに基づいた栄養バランスの必要性を訴え、栄養学、獣医学、行動学、衛生学などの多岐にわたる情報を犬と猫の専門家と協働しながら、多くの皆さまにわかりやすく届けられるよう発信しています。

――ロイヤルカナンで働き始める前は、どのようなことをされていたのでしょうか?

獣医学系の大学卒業後は、動物病院で小動物臨床、いわゆる犬や猫の獣医師として働いていました。元々、大学進学の際には管理栄養士になるか獣医師を目指すか悩むくらい、「食」にも興味があったんです。食べることが大好きで(笑)、“健康は食”から、という考えが当時からあり、食べることと動物に携わることを結び付けて仕事にできないかと考えていたところ、ロイヤルカナンでの募集を見つけ入社を決めました。

――働き始める前のロイヤルカナンのイメージはどういう会社でしたか?

獣医学生や臨床獣医師という立場からは、誰もが知っている大きな企業というイメージでした。入社して驚いたのは、予防や疾患に対するケアが必要であると診断された犬や猫をサポートする食事療法食だけではなく、健康な犬と猫のためのフードも非常に幅広く展開していること。犬と猫が誕生する以前の母犬や母猫のケアに始まり、子犬・子猫が誕生して、成長して……と、本当にゆりかごの前から生涯をずっと支えられる会社なんだと感じました。それも本当にきめ細やか。食事のアレルギーや肝臓の病気、腎臓の病気などのほか、スポーツをする犬やシェルターにいる犬と猫など、特別な栄養ニーズを満たすフードも展開していることに感動を覚えました。自分がやりたい方向と会社の向いている目線が同じなので、本当に楽しく働けています。

ペット業界の課題とは

――最近ではペットを飼い始める方も増え、ペットブームのような傾向があると聞きます。業界として、どのような課題があると考えていらっしゃいますか?

やはり正しい情報に辿り着けていない方が増えているように感じます。コロナ禍でペットに癒しを求める人が増えた一方で、迎え入れるまでの十分な準備ができていなかったり、準備をして迎えたもののどう接していいかわからなかったりする方も多くいらっしゃいます。

迎え入れたペットを家族の一員として、健康で長生きしてほしいという思いはどなたもお持ちだと思います。でも、その気持ちだけで可愛がっても、犬や猫が真に健康でいられるかというと、そうではないんですよね。

――事例としては、どのようなことが起こってしまっているのでしょうか?

極端な例ですが、犬と猫はおやつをあげると喜びますよね。でも喜ぶからといっておやつばかり与えすぎると、栄養バランスが崩れてしまい、肥満になって、そこからさまざまな病気になってしまうことも考えられます。犬と猫が真に健康な状態で、本当に輝いていられる状態を目指すためには何が必要で、どういう行動をとればいいのかを、私たちは啓発していきたいと考えています。

我々が考える「犬と猫が真に健康な状態」とは、毛ヅヤ・毛吹きが美しい被毛、素早い身のこなし、輝くような目と凛とした表情など、一頭一頭に備わった犬・猫本来の素晴らしさが引き出された状態のことです。つまり、「健康=病気ではない」ということではないのです。

――愛犬・愛猫が喜んでくれていると思ってやっていることが、健康を損ねてしまうことになってしまっていたら、とても悲しいですね。その子に合ったフードはどのようにして選べば良いのでしょうか?

愛犬・愛猫の品種・年齢・身体のサイズ・ライフスタイル・健康状態に合う最適なフードが必要です。たとえば室内で生活している犬や猫と、外で生活している犬と猫では運動量が違いますから、消費エネルギーも異なります。そのため、外にいる犬と猫と同じカロリーのフードを室内の子にあげると、どうしても太りやすくなるんです。

――そういった正しい情報をペットオーナーが見極めるために、企業としてどうすべきだとお考えですか?

今はインターネットなどで情報があふれていて、どれが正しい情報なのかわかりにくいというのが現状です。正しいかどうかわからない情報を基に、ペットオーナーの方が行動してしまっている可能性は否定できません。ロイヤルカナンでは、ペットフードの提供をしていくだけではなく、犬と猫を真の健康に導きたいと考える専門家と協働し、ペットオーナーに正しい知識と行動を啓発し、適切にサポートすることにより、犬と猫の真の健康が実現できることを目指しています。

ペットオーナーに知っておいてほしい5つのポイント

――愛犬と愛猫の真の健康のため、ペットオーナーはどのようなことを心掛けるとよいのでしょうか?

ペットオーナーの方にぜひ知っておいていただきたいことを、大きく5つのポイントにまとめました。


(1) 犬・猫は人とは異なる動物であること、また同じ犬・猫でも種類や個体によって体の特徴、性格、行動、癖が違うことを理解している
(2) 犬と猫は品種・年齢・体のサイズ・ライフスタイル・健康状態によって栄養ニーズが異なることを理解し、愛犬・愛猫の栄養ニーズを満たすフードを適切な量で与えている
(3) 犬と猫は言葉を話せず、また体調不良を隠す習性があるため、愛犬・愛猫を日常的によく「観察」し、変化に対して適切な対応している
(4) 犬・猫は人の4倍以上の速さで歳をとることを理解し、愛犬・愛猫に定期的な健康診断を受けさせている(できれば年2回以上)
(5) 犬や猫、彼らの栄養や健康に関する正しい知識を持つ犬と猫の専門家(獣医師、動物看護師、ブリーダー、ペット専門店のスタッフ、トリマー、ペット専門サイトなど)に日常的に相談し、愛犬・愛猫の健康に関するアドバイスを得ている


まず(1)ですが、犬と猫は人とは違いますし、食性も違います。人と同じ食事を犬や猫に与えることが、彼らの健康にとって良いことにはなりません。

そして(2)にも繋がりますが、たとえば、同じジャーマンシェパードでもペットとして家庭で飼われている子もいれば、災害救助犬や警察犬として働いている子もいます。そうなると、ライフスタイル も変わるため、それに基づいた最適な栄養バランスも違ってくるんです。また成長期のなかで消化能力や必要なカロリー量が変化していきます。。

こういった栄養ニーズが異なるということを、まずは正しく理解することが大切です。本当に、「食事」が体をつくる基盤ですから。これからペットを迎える方は、自分たちの暮らしにどんな子がフィットするのか、というところから考えてみていただきたいと思います。

(3)のポイントは、やはり犬や猫は「話をすることができない」ということです。たとえば野生の場合、身体の不調は敵に襲われてしまうことに直結しますから、多くの犬・猫は本能的に不調をできるだけ隠そうとします。そうすると、なかなか気づいてあげにくい。

だからこそ、ペットオーナーが日ごろからしっかりと愛犬や愛猫の様子を観察して、小さな変化を見逃さないようにすることがとても大切です。病気の早期発見は長生きに繋がってきますから。そういう意味で(4)の健康診断が重要になってきます。犬や猫はおおよそ人と比べ4倍のスピードで歳を重ねていくと言われています。人間の感覚で1年に1回の健康診断を受けていると、犬や猫にとっては4年に1回しかチェックしていないようなものになってしまいます。ですから、可能であれば1年に2回以上の健康診断をお勧めしています。

これは最後の(5)のポイントにも繋がりますが、ペットオーナーの方がちょっと迷ったり、おかしいのではないかと思ったりと不安を感じたら、できるだけ早い段階で専門家に相談して適切なアドバイスを受けてほしいと思います。たとえば、ワクチン接種の時に日常のケアや育て方などをかかりつけの獣医師に相談する、栄養やフードに関してはペット専門店のスタッフにアドバイスをもらうなど、病気でなくとも日頃から専門家に相談できる関係性を築いておくことが大切だと考えています。

愛犬・愛猫を“真の健康”に導く5つのポイントの詳細はこちら>

――ペット業界における課題の解決のため、ロイヤルカナンではどのような取り組みをしていますか?

まず、普段健康診断を受診されていないペットオーナーの方々に対して、定期健康診断の重要性について啓発および動物病院への通院を促すための支援として「動物病院へ行こう!キャンペーン」を実施しています。情報発信としては、「ヘルス ニュートリション ラーニング プログラム」といった、クイズ形式の学習コンテンツを用意しています。獣医師監修で、品種によって異なっている最適な栄養バランスなど、正しい知識をオンライン上で手軽に知ることができます。

また、2021年には動物病院などの協力を得て「PET OWNER SUMMIT 2021」を開催しました。ペットオーナーの皆さまに向け、愛犬・愛猫を真に健康に導くために必要な、成長期のフード選びのポイント、動物病院が好きな犬に育つための方法、高齢期のサインについて、などのセミナーを動画で配信しました。そのほかSNSなどによる発信や、各種イベントへの協賛など、いろいろなチャンネルを活用してペットオーナーの方に情報をお届けしています。

  • 「ロイヤルカナン プロフェッショナルセミナー 2021」の様子

――犬と猫の専門家の方に向けた取り組みも行っていらっしゃるそうですね。

はい。ペットオーナーの方々との接点となる犬と猫の専門家の方々に、ロイヤルカナンが培ってきた専門知識を提供することでペットオーナーさんへ正しい知識が伝わっていくことになると考えています。

そのため具体的な取り組みとして、ブリーダーやトレーナー、アニマルシェルターの方などを対象に、犬と猫にまつわる読み物、e-learning動画の配信、ビジネス支援となる情報を提供するポータル・コミュニティサイト「ロイヤルカナン PRO CLUB(プロクラブ)」を運営しています。「ロイヤルカナン プロフェッショナルセミナー」も定期的に開催しており、犬や猫に関する情報や知識を専門家同士で共有させていただいています。

――たくさんの取り組みを実践していらっしゃいますが、手応えや印象はいかがですか?

「PET OWNER SUMMIT 2021」では、愛犬のライフステージや犬種に合った食事があることを知らなかったり、どの情報を信じてよいのか迷っていたりと、ペットオーナーさんが「犬と猫を真の健康に導くための正しい情報源」を選びきれていない印象を受けました。

「こんな話を聞いたんだけど、本当ですか?」など、情報を集めている人は多いものの、どれが正しい情報なのかわからず迷いのなかにいる、という方が非常に多かったです。正しくケアをしたいという気持ちを後押しするような支援を行っていかなければと思いました。

プロフェッショナルの方に関しては、動物愛護法が改正されてブリーダーの方など動物関係者は大きな変化のなかにいます。そこでセミナーでは、法改正について触れ、弁護士の方に何がどう変わるのか、どう対処すればよいかをレクチャーいただきました。ご自身の経験から得た知識でとどまる方も多いので、医学的な知識や、犬や猫についての正しい知識などをシェアすることが大切だと感じています。今後も、動物に携わる上で必要な幅広いジャンルの知識を、オンライン、オフラインそれぞれのメリットを活かし、いろいろな角度からサポートして提供していきたいですね。

――最後に、今後のペットをとりまく社会がどのようになっていくのが理想的か、そのビジョンをお聞かせください。

やはりブリーダー、シェルター、ショップをはじめ、いろいろな専門家の方の皆さまと協力し合って、ペットを取り巻く社会課題に取り組んでいきたいですね。犬と猫のヘルスカンパニーとして、ペットに関わる人に正しい知識と適切な行動をとっていただき、ペットにとってより良い世界の実現を目指していきたいと思います。

ペットはとても愛くるしく、そこにいてくれるだけで、私たちの喜びや癒し、気づきを与えてくれる非常にポジティブな存在です。そんなペットに一生豊かな生活を送ってもらうためにも、正しい知識と行動は不可欠です。今日、お話させていただいた5つのポイントで日々の情報の選び取りをしていただければ、ペットの暮らしの質が大きく上がるはず。ぜひ心に留めておいていただきたいですね。

――正しい知識がもっともっと広がっていくといいですね。本日はありがとうございました!


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