近年、「総合プロデュース企業」として幅広い経営戦略を展開している八芳園。
前回の記事では、八芳園のウエディング事業以外の取り組みについてふれ、今特に力を入れて取り組んでいる「オープンイノベーションで、同じ方向へ歩める企業とソリューションを共創することで、“ともに”未来を創っていきたい」という想いを語ってもらった。その代表的な取り組みのひとつが、コンテンツプロデュース事業「MuSuBu」だ。
八芳園のプロデュース力とネットワークを活かして発足した新プロジェクトだが、何やらユニークなアプローチで注目を集めているらしい……ということで、今回は白金台にある「MuSuBu」のポップアップショールームに潜入。業界を騒がす仕掛け人たちを直撃!
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そもそも、地域の魅力を世界に発信する新プロジェクト「MuSuBu」とは?
プロジェクトを推進しているチームを取りまとめる、八芳園のエグゼクティブプロデューサー、窪田理恵子さん。窪田さんいわく、「MuSuBu」のミッションは「日本全国を元気にして、世界にPRする」ことで、全国約500の自治体と連携して各地の食やカルチャーを発信しているという。
その一例として、福島県の岩瀬農業高校の生徒たちと取り組んだ“無添加糀あまざけづくり”を紹介しよう。
実は、岩瀬農業高校の生徒たちが作る農産物は、グローバルGAP認証*を高校として日本で最も多く取得しているんです。でも、風評被害もあって、なかなか買ってもらえないというジレンマがありました
そこで協力したのが、国際的スポーツイベントのホストタウン活動で関わっていた八芳園である。
私たちは『岩瀬農業高校生が手掛けたグローバルGAP認証*を取得したそのお米で甘酒を作ってみよう!』と提案しました。そして、甘酒を作ってくれる会社や瓶詰めしてくれる会社、パッケージのデザインをしてくれる会社をすべて福島県内で探し、販売については八芳園がお手伝いすることにしたんです
完成した無添加糀あまざけは「MuSuBu」のショールームだけでなく、オンラインショップや福島県内の道の駅でも販売され、婚礼の引出物やふるさと納税の返礼品としても流通した。なんと、モンドセレクション2021では優秀品質金賞を受賞する快挙を達成した。
この無添加糀あまざけづくりのプロジェクトを知った福島県鏡石町の町長が、「ぜひうちもやりたい」と声を挙げ開催されたのが、本イベント「 鏡石いちごフェア」なのだ。
*グローバルGAP認証:世界基準の農業認証のことです。グローバルGAPは、食品安全、労働環境、環境保全に配慮した「持続的な生産活動」を実践する優良企業に与えられる世界共通ブランドとなっており、対象となる農作物を欧州へ輸出する際には原則認証を取得する必要があります。
“鏡石いちごフェア”に直撃!
八芳園・鏡石町・郡山女子大学附属高等学校が共同開発した甘酸っぱくてまろやかな「福島・鏡石いちごバター」
「MuSuBu」では現在、全国の自治体の魅力や取り組みを発信するポップアップストアを週替わりで実施している。
取材日に開催されていたのは福島県岩瀬郡発の「鏡石いちごフェア」で、指揮を執ったのはコンテンツプロデュース事業部のサブマネージャー、矢内加奈さんだ。
特産品の“いちご”を通じて、鏡石町の魅力を発信したいーー。
そんな鏡石町の想いに応え、矢内さんがハブとなって鏡石町、郡山開成学園、そして八芳園が協業。約1年をかけ、町の特産ブランドいちご“ふくはる香”を使った「福島・鏡石いちごバター」を開発した。
そもそもの始まりは、鏡石町と郡山開成学園が特産品を使った“6次産業化商品”を作りたいと考えていたことです。鏡石町にはいろんな特産品がありますが、いちごだけはなかなか加工製造業者が見つからず、商品化は難航していました
しかし、八芳園が参画したことで、計画は一気に動き出す。
八芳園は、福島県内で加工製造業者やパッケージのデザイナーなどを探し、彼らを“むすぶ”ためのサポートをさせていただきました。「福島・鏡石町いちごバター」のレシピは、郡山開成学園の食物科の生徒たちが中心になって考え、八芳園のシェフが監修しています
こうして出来あがった「福島・鏡石いちごバター」は、甘さと酸味、そしてまろやかさのバランスが絶妙。一度トーストに塗って口に入れたが最後、食べる手が止まらない……。
商品開発の背景には、フードロスの削減や労働力不足の解消など、サステナブルな一面もあったようだ。
いちごはゴールデンウィークを過ぎたあたりで出荷時期が終わってしまうので、最終的に余ったものは土に還していたんです。でも、それではもったいないということで、郡山開成学園の生徒たちがバスに乗って収穫に行き、収穫したいちごを冷凍。今回の鏡石いちごバターの材料として使用しました
「福島・鏡石いちごバター」は「鏡石いちごフェア」で先行販売がスタート。現在は鏡石町で採れた“とちおとめ”を使った「福島・鏡石いちごミルクのもと」も開発中で、夏頃の一般販売を予定している。
特産ブランドいちご“ふくはる香”を使った「福島・鏡石いちごバター」について詳しくはコチラ
「鏡石いちごフェア」では高校生原案の絶品スイーツメニューも!
鏡石いちごフェアでは、鏡石町の特産品が並んだだけでなく、郡山開成学園・郡山女子大学附属高等学校の生徒たちからレシピを募集して作り上げた特別メニューも販売された。
特にスイーツは充実していて、鏡石町のいちごをふんだんに使った「とちおとめたっぷりパンケーキ」や「ふくはる香のまるごとマカロン」などがラインナップ。美味しそうなだけでなく、見た目もとても可愛らしい。
生徒たちが応募してくれたレシピの中でも、パンケーキはもっとも多く寄せられたメニューでした。私たちとしても、パンケーキなら幅広いお客さまに食べていただけるだろうということで、今回採用をしました
マカロンは、八芳園のペストリーシェフによるアレンジも色濃く出ているようだ。
シェフもふくはる香を食べてその美味しさに惚れ込んだようで、普段はあまり褒め言葉を使わない人なのに、『素晴らしい品種だ!』って大絶賛だったんですよ(笑)。マカロンはふくはる香の美味しさを最大限に活かしていて、クリームの中にはいちごがまるごと1個入っています
レシピ開発に携わった郡山女子大学付属高等学校の生徒は、このようなコメントを寄せてくれている。
また、鏡石町の遠藤栄作町長も今回の取り組みについて振り返ってくれた。
「いちご」という鏡石町の魅力を最大限に引き出し、広く発信した八芳園。今回の取り組みは、まさに同じ方向へ歩める企業や自治体とソリューションを共創することで、“ともに”未来を創っていきたいという八芳園の想いを体現した事例である。
今も白金台の「MuSuBu」では、週替わりでさまざまな地域のポップアップストアが開かれている。また、この3月にはECサイトもオープン。全国どこからでも「MuSuBu」の商品が購入可能となった。ECサイトでは商品ラインナップが順次追加され、これまで販売されてきた人気商品もストックされる予定なので、こまめにサイトをチェックしておこう。
[PR]提供:八芳園