女性の社会進出が進み、その働き方は多様に変わりつつあります。と同時に、仕事とプライベートの両立など、ひとりひとりが思い描く理想の働き方は、それぞれ異なるでしょう。
今回の座談会では、アセットマネジメント業界の第一線で活躍する4名の女性たちに、“自分らしい理想の働き方”を叶えるコツについて、お話を伺いました。
Work1
たった1つの答えはない。でも「正解か不正解か」が数字で分かる面白さがある
―――はじめに、ご自身のキャリアと現在お勤めの会社の勤続年数を教えてください。
ニッセイアセットマネジメントで債券、クレジットのアナリストをしています。大学を卒業し、はじめは株式のアナリストをしましたが、途中で転向してクレジットアナリストになりました。現在の会社には、12年間勤めています。
前職は証券会社の投資銀行部門でしたが、勤続3年ほどでキャリアチェンジし、現在の資産運用業界にきました。東京海上アセットマネジメントには10年間ほど在籍しており、ずっとプライベートエクイティ(未公開株式)の運用に関わっています。
新卒で三菱UFJ国際投信に入り、約15年勤務しています。営業企画を経験したあと、商品企画を5年くらいやり、2014年から債券運用部に異動しました。今は主に国内のクレジットのファンドマネージャーをやっています。
私は野村アセットマネジメントに新卒で入社し、14年ほど在籍しています。入社後2年ほど外部委託先運用を行う部署で主にハイイールド債のポートフォリオマネージャーを務め、その後、営業のミドルバックの仕事を3年半ほど担当しました。現在は、グローバル株式の運用チームでポートフォリオマネージャーとして働いています。
―――今やっているお仕事の魅力はどこにありますか。
企業の将来性やクレジットのリスクなどを見極めますが、「たった1つの答えはない」というところに価値がある仕事だと思っています。答えを見つけに行くマーケットは日々動いている場所ですので、その変化を感じながら答えを探す面白さも魅力です。
私はプライベートエクイティの投資を担当していますが、そのポートフォリオのなかには、実にさまざまな会社が入っています。そうした会社のビジネス内容や成長の様子を見ると、日々好奇心が刺激され、そこが魅力だと思っています。
私の思う魅力は「世の中のできごとが、資産の価値やお金の流れにどのように影響を与えるのだろう」と、世界のニュースを自分ごととして見れる点です。また、藤田さんが言っていたように答えはないのですが、「正解か不正解か」がパフォーマンスとして数字で返ってくるので、そこがわかりやすく好きです。
私もみなさんと同じく、社会の問題がマーケットに瞬時に反映される様を、中枢で見られる面白さを感じています。何が正しいかではなく、今マーケットが何を重視し、注目しているかが目まぐるしく変わるとても刺激的な世界です。また、ファンドの運用という仕事は会社という1つの組織にいながら、運用業務だけでなく、マーケティングなど様々な仕事に関われるところは、ある種ベンチャー精神が必要な面があります。大変でありながら個人的にはすごく魅力だなと思いますね。
Work2
全部完璧にやろうとしなくていい。優先順位とメリハリを
―――仕事とプライベートの両立のコツがあれば教えてください。
マーケットには時間のエンドがあるので、そのなかで集中して答えを出しますが、集中するには必ず休みが必要です。なので、切り替える時間はすごく大切にしています。あと、プライベートでも優先順位をつけてやっていますね。
私も仕事と子育ての両立をするため、優先順位をつけています。たとえば、家事はアウトソーシングし、一方で、子どもと遊ぶのにはたくさん時間を使うなど。仕事は、定時までにすべて終わるよう、計画的に集中してやっています。
ファンドマネージャーやアナリストは、自分でかなり仕事の量を配分できるんです。「今日は用事があるから半休を取り、その分明日やろう」という働き方がしやすい。両立のコツとしては、皆さんと同じく、会社にいる時に集中することですね。
私の場合は、担当している仕事の性質上、あえて仕事とプライベートを分けずにやっていくほうがうまく循環しているなと感じます。例えば消費関連の銘柄に関しては自分も一消費者なので、これがどのように収益に繋がるのかを考えるのが癖になってしまいました。ただ、土日は仕事を一切忘れ、運動や趣味をするなどメリハリをつけていますね。
―――難しく大変なイメージのあるお仕事だと思いますが、皆さんは壁にぶつかった時、どのように乗り越えていますか。
悩んだ時は、「すごく上手くはできていなくても、“普通に”できている」ということに立ち返ります。少し客観的に自分を見ると、最低限のことはクリアしているとわかるんです。また、人とのコミュニケーションを改善すること、「いい加減な自分もあり」と考えることもコツかなと思います。
仕事で壁を感じたことは、正直ありません。ただ、子どもができた時、仕事も子育てもベストパフォーマンスで臨みたいのになかなかできず、悩みました。しかし、それは、「自分がやりたくないことはアウトソーシングする」ということで解決し、今は仕事も子育てもハッピーにできている状態です。
私は性格上、壁にぶつかったことに気づかない、寝たら忘れるという感じですが、上手くいかない時は、“今できることを積み上げるしかない”と思っています。オフでうまく発散する、休みを取ってしまうなど。仕事の壁を仕事で乗り越えるのではなく、ちょっとした気の持ちようを変えるのが一番大事ですね。
今の運用業務に携わる前は、未熟だったこともあり、所属する部署やさらには他部署の様々な人の意見で頭がいっぱいになり、壁を超えるというよりも、目の前の仕事をこなすのに必死でした。しかし、同じ壁でも自分のしたいことなら悩みや壁を、意味のある形で越えられるのではないかと思い、再び運用の仕事に挑戦しました。もちろん今でも壁はありますが、時間の許す限り自分で考え、悩み抜くことが成長に繋がっていると実感しています。
Work3
逆に、女性しかいない職場より働きやすいところもたくさんあります
―――これだけは身につけておいたほうがいいと思うスキルはありますか?
社外的にはもちろん、社内的にもコミュニケーション力を持ち合わせていないと、なかなか自分の望む方向に進めない時があります。また、「関わった人たちから何か考え方の刺激を受けよう」というスタンスでいること。長く仕事をするうえで、それが一番自分を支えてくれるスキルになると思いますね。
私は、学ぶ能力、意欲を高く持っていたほうが金融業界で働きやすいと思います。日々変化するマーケットについていくためには新しい知識が必要なので、「毎日学ぶのは嫌だ」という人には難しいかもしれません。また、デジタルに関する知識が必要と感じ、現在、コンピューターサイエンスを学んでいます。
常さんがおっしゃるように、頼まれた仕事をただこなすのではなく、「何でこれをやるのか」と好奇心を持ち、自分の頭で考えることが必要ですね。あとは、自分の機嫌の取り方を知っておく。コロナ禍で心のバランスを崩す人もいるので、「自分はこれをやると楽しくなる」という好きなものがあると絶対にいいと思います。
金融業界だから何か特別なスキルが必要なのではなく、世間一般で言われるコミュニケーション能力や知的好奇心、英語力などがある程度、全般的に必要です。あとは、自分のなかでテーマを決めてニュースを追うなど、「好奇心を持ち続ける“癖”」ですね。こういうものを早いうちから持っておくといいです。
―――では最後に、これから就職活動を行う学生の方や、自分らしい働き方に悩む方に一言お願いします。
この業界は女性が少ないですが、「女性は活躍できないんだ」と決めず、働き方のモデルがいないからこそ、自由にどんなことでもできると知って欲しいです。それに、金融の仕事は学ぶことが多く、自分の財産にもなります。キャリアチェンジする時も、すべての業界で必ずいかせる知識を取得できるという魅力がありますよ。
そうですよね、「女性でも活躍できる職場だ」というのを実際に私たちは見ています。やりたい仕事はあきらめず、信念を持ってやっていきましょうとお伝えしたいですね。女性がどんどん活躍して成果を出し、もっと女性が働きやすい社会、会社にしていくため皆さんと一緒に頑張っていきたいです。
業界としてはまだ女性は多くないですが、逆に、女性しかいない職場より働きやすいところもたくさんあります。だから、「女性が少ない=働きづらい」ということでは絶対にないです。
あと、学生の方は資格の勉強などより、学生のうちしかできないことをやったほうが圧倒的にいいと思いますよ。
「色々なことが経験できる職場に行く」というのも選択肢として間違っていないですが、自分の直感に正直になり、「やりたいことがあるなら早めにフォーカスを決めてやったほうがいい」と、若い頃の自分に言いたいですね。運用業界は、比較的専門性の高い業界で長く続けられる仕事ですし、将来の資産形成に役に立つ、自分の糧になることも魅力だと思います。
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女性が少ないから活躍できないのではなく、女性だからこそ、自分らしく働ける。なのでまずは思い悩むより自分のやりたいことに素直になること、それが、「自分らしい理想の働き方」を叶えるコツなのかもしれません。第一線で活躍する女性たちの貴重なお話から、アセットマネジメント業界の魅力的な一面を垣間見ることができました。
※取材時はスタッフ全員マスク着用の上、必要最小限の人数で実施しました。
[PR]提供:東京海上アセットマネジメント、ニッセイアセットマネジメント、野村アセットマネジメント、三菱UFJ国際投信