世界の中でも皮膚がんの罹患率が高い国オーストラリアは、皮膚科の検査手法の一つ、ダーモスコピーによるメラノーマなどの皮膚がんの早期発見に注目している医師が多い。その一人、アレックス・チェンバーレイン先生は、カシオのダーモカメラ「DZ-D100」とダーモスコープ「DZ-S50」をいち早く導入し、現場で活用している。チェンバーレイン先生にオーストラリアでのDZ-D100とDZ-S50の評価を聞いた。

  • アレックス・チェンバーレイン(Alex Chamberlain)医師

撮影した病変部を患者と一緒に見ている

――チェンバーレイン先生は普段はどのような場所で働かれているのですか。

チェンバーレイン医師:「オーストラリアのメルボルンにある、2つの場所で働いています。1つは妻と共同経営している個人クリニックで、4人の皮膚科医がスタッフとして働いています。もう1つは公立病院です。公立病院はメルボルンの中でも5本の指に入る大きな病院です」

  • チェンバーレイン医師が勤めるクリニック

――オーストラリアは皮膚がんの罹患率が高いと聞きました。

チェンバーレイン医師:「一日あたりに病院で見る患者の数は、17~22人。もう一方の個人クリニックでも見ていますが、そちらは20人くらいです。医学界では比較的よく知られていますが、オーストラリアでは日本よりも皮膚がんの罹患率が高く、がんの中でも三番目に患者数が多くなっています。2021年では約17,000件の皮膚がんの症例報告があり、これはがん全体の11%を占める数字です」

ちなみに、国立がん研究センターの2018年の統計によれば、日本でのがん患者は、大腸がんが最多で、胃がん、肺がん、乳がん、前立腺がんと続き、皮膚がんは膵臓がんや食道がんより少ない。皮膚がんの患者数は約24,000人である。オーストラリアの人口は2020年の統計で約2,500万人であり、人口は日本の約25%にも関わらず、皮膚がんの患者数は日本の患者数の70%に至るということになる。日本人の3倍以上の罹患率であり、如何に皮膚がんの罹患率が高いかがお分かりになるだろう。

チェンバーレイン医師:「私は年に40~50件ほどメラノーマを見つけます。ほとんどの患者は、疑わしい皮膚病変を懸念して、最初に一般開業医(GP)を訪れます。その後、患者は私のような専門の皮膚科医に紹介され、さらなる調査と確定診断が行われます。アポイントメントリベートにアクセスするには、患者は一般開業医からの紹介が必要です。私の私立クリニックに通うほとんどの患者は長期の患者になり、繰り返しの予約とフォローアップが必要になります。ほとんどの患者は最初の紹介後に再び皮膚がんを発症するリスクの高いカテゴリーに属しています。

疑わしい皮膚病変は、私の個人クリニックで局所麻酔を使用して取り除きます。大きな病変は公立病院で除去されます。また、頭皮、鼻、耳などの除去が困難な部位の病変を取り除くために形成外科医に紹介されます」

――ダーモスコピー検査はどのくらいの頻度で実施していますか?

チェンバーレイン医師:「ダーモスコピーによる診療は、患者の八割程度が対象になります。単純なニキビや乾癬の診療などには用いません。

私はダーモスコープDZ-S50でよく非接触ダーモスコピーを実施しますが、これは皮膚との直接接触を必要としません。皮膚に装着するときは、いつもアルコールを使って肌をきれいにしたり湿らせたりします。オイルやジェルは使用していません。頻繁に肌を拭く時は非接触ダーモスコピーの方が簡単だと思います。

  • ダーモスコープ「DZ-S50」

DZ-S50はレンズが大きくて見やすいところが凄く気に入っています。DZ-S50は標準で6倍、コンバージョンレンズを付けて9倍まで拡大して診られますが、可能であれば、血管も含めて詳細に見る場合は、10倍以上の高い倍率があるとよいでしょう。コンバージョンレンズを取り付けるときは、鮮明に見るために顔を患者に近づける必要があります。この辺りは将来的にさらなる改善を期待します」

  • 別売りのコンバージョンレンズ「DSL-50M」を取り付けることで9倍まで拡大できる

――ダーモカメラ「DZ-D100」はどのように使っていますか?

チェンバーレイン医師:「DZ-D100はかなりの頻度で使っています。撮影するのは1日5人程度で、だいたい患者の25%になります。基本的には患者の履歴を残すために使っており、病変がどう変わっていくかを経過観察しています。たとえば、最初はただのホクロに見えても、2~3年後にその患者を診察したら、深刻ながんだったというケースもありうるからです。

利用していて気に入っている点は、カメラの液晶画面を使って、病変部の撮影画像を患者と一緒に見られることです。液晶画面上で気になる部分を直接ピンチインやピンチアウトできるので、患者も見やすいようです。

  • ダーモカメラ「DZ-D100」

一日の診療が終わったあとで、PCにまとめて画像を取り込み、電子カルテに画像を貼り付けています。

このほか、研究のために皮膚の細胞を採って検査する病理の際には、顕微鏡とカメラを顕微鏡アダプターで繋げて撮影することもあります。クリニックには顕微鏡はありませんが、公立病院にあります。

ほとんどの患者は、病変の写真を撮ることに同意しています。患者が私のクリニックに登録するとき、患者記録のために写真を撮られるかもしれないことを文書にサインし、同意を得ています」

――DZ-D100を知ったきっかけは何だったのでしょうか?第一印象はどうでしたか?

チェンバーレイン医師:「カシオの代理店から届いたダイレクトメールで知りました。興味を示したら担当が訪問の上、説明してくれたので、2週間トライアルをし、製品を気に入って購入しました。

第一印象は『ファンタスティック!』です。基本的にモダンで軽くて、持ちやすい点を評価しています。唯一気になったのは、ズームボタンが本体背面の上の方に配置されていることでしょうか。カメラを握った時にたまに押してしまうことがあるので、他の多くのカメラと同じように本体上部のシャッターボタンの近くのほうが、慣れており操作しやすいと思いました。

以前は一眼レフカメラを使っていましたが、重くて動作がもっさりしていて、まるで恐竜のようだと感じていました。DZ-D100は動作が素早くて、モードの切り替えなどもすぐにできるのが嬉しいです。患者からの評価も良いですよ。

  • ワンタッチで偏光・被偏光の切り替えが可能

妻はスマートフォンにアタッチメントを付けて使っています。そこで、妻のために、DZ-D100をもう一台購入しようかと検討しているところです」

――カシオではダーモスコピーの発展を後押ししながら、診断をサポートするAIの発展にも貢献したいと考えています。AI診断サポートについてはどのようにお考えですか?

チェンバーレイン医師:「AIによる診断のサポートは、皮膚がんの最後の診断をより早くより正確に行うことに寄与すると思います。実際、私の通う公立病院の消化器系の病棟では、AIの診断サポートが既に導入されています。今後の発展に期待しています」

――本日はありがとうございます。

皮膚がんの多いオーストラリアで活躍するDZ-D100とDZ-S50

オーストラリアとニュージーランドでは、DZ-D100とDZ-S50はすでに1年前に発売を開始している。コロナ禍の影響により、主要都市でのロックダウンが大きく影響したエリアではあるが、それでもオーストラリアの先生方の間では少しずつ認知が広まり、評価を得てきているようだ。

日本の皮膚科専門医とカシオが組んで研究開発したカメラとスコープが、海外でメラノーマなどの悪性腫瘍の早期発見に役立っている。今後、DZ-D100で撮影した症例データが増えることで、AI診断のサポート性能も飛躍的に進化するはずだ。今回は海外の医師の話を聞いて、メラノーマが難病と呼ばれなくなる日が一歩ずつ近づいていることが実感できたのではないだろうか。

[PR]提供:カシオ計算機