ドリンク剤の製造工程を紹介した第一弾の記事はこちらから!
コンビニやドラッグストアでよく見かけるパウチ型の商品。これまでは蒟蒻ゼリーなどの小腹満たしやエネルギ―チャージ系のものが中心だったが、最近、医薬部外品の商品が増えている。缶コーヒーで有名なダイドードリンコと同じく、ダイドーグループホールディングスを親会社に持つ大同薬品工業は、メーカーからの委託を受け、これらパウチ製品の製造を行う。
今回、同社の親会社であるダイドーグループホールディングスは、2020年に稼働したパウチ製品の開発・製造ラインを公開した。ドリンク剤の受託製造でトップシェアを誇る同社だが、パウチ製品は未知の領域だったため、さまざまな苦労があったと動画内で明らかにしている。本稿では、その中身を紹介していく。
数々の苦労を乗り越え、パウチ製品という新領域を開拓
同社では、ドリンク剤の製造機能だけではなく、時に開発機能も担い、年間約50品目に開発に携わっている。医薬品・医薬部外品の栄養ドリンクだけでなく、美容ドリンクなどの幅広い分野に関わっているため、それらで得た視点や知見を別の新しい製品開発に活かせるのが最大の強みだ。
しかし、そんな同社でさえ、全く実績がなかったパウチ製品の開発・製造には苦労があったという。製品の試験条件や規格、製造条件の設定に頭を悩ませたのに加え、びん入りのドリンク剤とは性状(特徴)が異なるため、想定していなかったトラブルが生産現場で発生。「原因追求や対応に追われることもあった」と開発部の担当者は振り返る。
製造工程に目を移してみると、使用する水にもこだわりが見られた。複数の処理方法でろ過をし、純度の高い精製水を自社で作って、製品に使用している。
次に、各原料を調合タンクに入れ、攪拌(かくはん)。内用液を混ぜ合わせる際、同時投入するのが液体を固める「ゲル化剤」だ。このゲル化剤が、パウチ製品ならではの食感を左右する。「ゲル化剤は時間の経過で変化するため、食感を一定水準内に収めるには限られた時間で生産しなければならない」と、生産部の担当者は説明した。
その後、殺菌設備を通過して、パウチ容器のもとへ。同社では、パウチ袋に「スパウト」と呼ばれるストローを取り付ける工程を設けている。これにも理由があり、すでにスパウトが取り付けられているパウチ袋を仕入れるより、製造ラインの能力が格段に上がるそうだ。
そして、いよいよパウチ容器に中身を入れていく工程に。充てんしたら、すぐさまキャップを装着。キャップ検査、X線を用いた異物検査、重量検査を厳密に実施し、さらに充てんされたパウチ製品をスチームで外側から殺菌して、その後冷却。完成した製品は自動で包装。再び重量検査を行い段ボール包装され、出荷される。品質管理の徹底に、余念がない。
ただ、驚くべきは、これらの工程に必要な製造スタッフが8人と、意外なほどに少ないこと。自動化できる工程には機械を導入して省人化を図り、製造スタッフの負荷軽減と労務費の軽減につながっている。こういった工夫も安定的な生産を支えているのだろう。
数々の苦労を乗り越え、パウチ製造という新領域を開拓した同社。営業部部長は「健康志向は、効き目感と共においしさや手軽さが重要視されるようになってきている。当社も次世代のスタイルを模索しながら、引き続き、新商品の開発・製造に邁進したい」と展望を語った。
見学の様子を動画でチェック
[PR]提供:ダイドーグループホールディングス