2020年度から小学校で導入が始まったプログラミング教育。中学校でも必修化され、今年の4月からは高校でもスタートしますが、保護者からは「何のためにプログラミング教育を学ぶのか?」「学校でどんなことを学んでいるのかわからない」といった声が後を絶ちません。導入から2年が経とうとしているものの、プログラム教育への理解が深まっているとは言えない状況です。
そこで今回は、地元石川県を拠点に地方でのプログラミング教育に力を注ぐ社谷内達也(やしろやち たつや)さんにプログラム教育の本質や課題、家庭学習の重要性についてお話をうかがいました。

今回お話を聞いたのは……

【社谷内達也(やしろやち たつや)さん】

大学卒業後、学校にプログラミング教材を販売する会社で西日本営業統括を担当し、3年間、学校や自治体にアプローチ。その後、退職して地元石川県にUターン。約2年間、中学校の講師として技術・体育を担当。2020年からは独立し、大手FCのプログラミング教室の講師を行いながら自ら運営するプログラミング教室も展開。現在は「プログラミング クラブ ネットワーク(PCN)」の能登地方の団体として「PCN能登」を設立し、代表を務める。

  

導入から2年。プログラミング教育の現状から見える課題

  

――本日はよろしくお願いいたします。まず、プログラミング教育が導入された意義について、社谷内さんはどのようにお考えでしょうか?

社谷内さん:プログラミング教育の導入の目的については「将来的なIT人材の不足により、日本が諸外国に後れを取っていくのを避けるため」と言われています。しかし、日本の人口が減少していくなかで不足するのはIT人材だけではありません。私は地元の石川県で活動していますが、人が減っていくのを身近に感じています。これまで地方を支えてきた農業や観光業、水産業といった既存の産業だけで今後もやっていけるのかは、大いに疑問です。新しい解決策を得るために、答えのない問いに対して筋道を立てながら論理的に考え、合意形成を図る力が求められています。こういった力が、まさにプログラミング教育によって養われるのです。

――これからの時代に不可欠な力を身に付けることがプログラミング教育の意義なのですね。小学校に導入されて2年が経ちますが、現状はどうなっているのでしょうか?

社谷内さん:どんな教材を使ってどのように教えれば良いのか、迷っている自治体が多い印象ですね。文部科学省が教科ごとにツールやコンテンツを提示していますが、それをそのままマネるだけでは断片的な学習にしかならず、教科横断的な学びにはなりません。

また、プログラミング教育の良いところは子どもたちが主体的に考えることですが、現状は先生に指示された通りの“作法の練習”になってしまっているのも課題です。算数や国語であれば長年にわたって積み上げたものがありますが、プログラミング教育の歴史はたった2年ほど。先生たちにとっても未知のものなので、手探りなのだと思います。

――地域や学校によっても差がありそうですね?

社谷内さん:2020年に小学校でプログラミング教育が必修化されましたが、文科省が公表したのは2015年頃だったと記憶しています。その当時から熱心に取り組んでいた自治体と、必修化された2020年から取り組み始めた自治体を比べると、すでに7年ほどの差が生まれてしまっているのが現状です。

――そうなると、プログラミング教育によって力を伸ばしていくには家庭学習が鍵を握るのでしょうか?

社谷内さん:家庭学習が果たす役割はとても大きいと感じています。しかし、特に地方では民間のサービスを享受しにくいのは否めません。プログラミング教室がある地域に通うのに、車で何時間もかかることもあります。そのために学ぶことを諦める子どもたちがたくさんいるのです。

――やはり都心部と地方では環境面でも違いがあるんですね。

  

地域格差の解消につながる! 『みんなでプログラミング』の魅力とは?

  

――『みんなでプログラミング』は、インターネット環境があればどこでもプログラミングを学べるツールです。実際に操作した感想を教えてください。

社谷内さん:全国どこでも同じツールで学べるというのは、プログラミング教育の機会均等化に大いに役立ちそうですね。第一に、「スタートボタン」を押したときのワクワク感に心を奪われました。子どもに「やってみたい」と思わせるには、最初が肝心です。「開発した方は分かっているな」と感じましたね(笑)。

自分でミッションをクリアするだけでなく、オリジナル問題を作成して友だちに遊んでもらえたり、特別講師のオンラインワークショップイベントに参加できたり、学校のような雰囲気で切磋琢磨しながら楽しめるのではないでしょうか。

文科省の新学習指導要領に準拠しているため、家庭学習の成果が学校の授業にダイレクトに反映されるのも良いですね。子どもたちの自己肯定感を醸成してくれそうですし、親御さんにとっても安心材料となるのではないでしょうか。

――元教員という立場からは、どのような感想を抱かれましたか?

社谷内さん:教員にとって、授業を行う際に教材を作るのが最も大変な作業なんです。『みんなでプログラミング』なら一つひとつの問題がパッケージ化されているので、かなりの時短になるなと感じました。また、体系的に教えられることで、プログラミング教育に関するノウハウを学校の資産として蓄積しやすいと思います。

あと、タイピング練習ができるのも良いですね。大人が思っている以上に、タイピングやマウス操作が苦手な子どももいますから。私も塾の授業では、最初にタイピングを練習する時間を設けています。『みんなでプログラミング』は、プログラミングの枠を超えてITツールとして魅力的だと思います。

――ありがとうございます。では最後になりますが、プログラミング教育の必要性について総括をお願いできますでしょうか?

社谷内さん:今回のコロナ禍によって、多くの人が社会の情勢を見通すことの難しさを痛感したと思います。今後子どもたちは、予測不能な変化に直面するケースが増えていくでしょう。そんな時代では、自分で考えて行動し、逆境さえも追い風にできる力が今まで以上に必要です。論理的思考を育み、自分の考えをアウトプットできるようになるためのプログラミング教育を、「人生教育」の一環として捉えていければと思います。

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レノボ・ジャパンの『みんなでプログラミング』は、教科書の最大手「東京書籍」と開発され、すでに多くの学校で採用されているプログラミング教材です。最大の特徴は、文部科学省の新学習指導要領に準拠した小・中・高校の教材が網羅されていること。プログラミング学習に慣れていないお子様でも直感的に、楽しく自宅学習できる工夫もたくさんあります。

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「プログラミング教育は“人生教育”の一環」。社谷内さんがそう言ったように、プログラミング教育で培われる力の数々は、これからの時代を生き抜く子どもたちの心強い武器となってくれそうです。

ただ、プログラミング教育の現状においては地域や学校ごとに課題があり、そう簡単に解決できない事情も見え隠れします。『みんなでプログラミング』を活用して家庭学習の環境を整えれば、子どもたちの成長を促せるのではないでしょうか。

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