私が初めて『ギヴン』を知ったのは数年前。フジテレビのノイタミナ枠で放送されていたアニメを見たのがきっかけです。 バンド系のライトな青春BLだろうと軽い気持ちで見始めたこのアニメ、実はとんでもなくエモーショナルなものでした。熱がすごい。想像していた100倍やばい。まさにギヴンに殴られたような気がした、それが私のギヴンとの最初の出会いです。
ギヴンはキヅナツキ先生のコミックを原作としたアニメ、映画、実写ドラマなどのメディアミックスコンテンツ。男子高校生の立夏を中心に、バンドメンバーたちの恋愛や成長を描く青春音楽BLともいえる作品です。
初めての方は、マンガやアニメなどいろいろあるのでどこから入ればいいかわからないかもしれません。もちろん原作コミックからきっちり読むのも正統ですが、ドラマやアニメから入って映画を見るのも人気のパターン。実写BLファンなら、いきなりガツンとドラマからいくのもアリです。奥深いけれど間口は広い、そんなギヴンの世界にぜひ足を踏み入れてみませんか。
■辛さや切なさの先にある“希望”
ギヴンの魅力は、この作品がBLであるということを抜きにしては語れません。 とはいえ私も初めてアニメを見た時は、そのことを忘れかけていました。なぜならそこには音楽に向き合う男の子たちのエネルギーや熱気、才能への渇望と挫折、バンドの成長など、いくつもの要素が交差し、深く描き出されていたからです。
物語は、卓越したギターの腕を持つ高校生の上ノ山立夏が、弦の切れたギターを抱えた同学年の佐藤真冬と出会うことで動き出します。ギターを教えてほしいと真冬に懇願された立夏は、彼を自分のバンドメンバーに紹介します。ドラムの秋彦、ベースの春樹、年上の彼らとも少しずつ打ち解けていく真冬。自分で弦を張れるようになり、立夏から教わったコードを一つずつ覚えていく。真冬の成長は、ギターを始めた頃の情熱を忘れかけていた立夏を揺り動かします。
そして初めて聴く真冬の歌声、音楽への真摯な姿勢、明かされていく過去。それらすべてに、自分の心が強烈にざわめき戸惑いコントロールできなくなる。立夏はその気持ちが恋であることに気づいていくのです。
主人公の上ノ山立夏は、友達も多く女の子にも人気がある男子高校生。中学生でギターを始め、思い通りの音が出せるまでに上達したけれど、あの頃のような情熱が感じられない毎日を過ごしています。
立夏と同じ高校に通う同学年の佐藤真冬は、どこかとらえどころのない雰囲気の男の子。重い過去を持ち、そのことがきっかけで音楽を志すように。天性の歌声の持ち主です。
バンドのドラム担当の梶秋彦は大学生。女性にモテモテ、男性にもモテモテ、とにかくカッコいいキャラ。天才ヴァイオリニストの雨月とは過去に付き合っていて、現在もワケアリの関係です。 ベースの中山春樹は大学院生。バンド最年長で、面倒見が良く穏やかでお人よしな人柄です。秋彦にずっと片想い中。
真冬と秋彦は、忘れられない思い出や辛い出来事、心に残って癒えない傷を抱えていて、物像を深く形作っています。真冬の幼なじみで元恋人、由紀のエピソードは切なく辛いものです。幼い頃からお互いの欠けた部分を補い合うように寄り添い、いつしか惹かれ合うようになった二人。その関係は、残酷な結末ゆえに今でも真冬の心に大きく影を落とします。
また、秋彦にとって大きな存在である天才ヴァイオリニスト・雨月との関係も、秋彦の内面の闇を見せていきます。表現する者が突きあたる、努力で超えられない“才能”という壁。その存在へ向ける愛憎に近いねじれた感情は、苦しくてまるで出口のない迷路のようです。
ギヴンは、登場人物の内面にある複雑で名前のつけられない感情や痛み、癒えない傷、忘れられない過去をすべて容赦なく描き出し、彼らがそれを乗り越えた先の未来を照らしていきます。胸が痛くなるような辛さや切なさのあとに、泣きたくなるような希望を見せてくれる。だから、こんなにもギヴンに惹かれてしまうのかもしれません。
それぞれのコンテンツが持つ魅力
ギヴンが多くのファンに愛されるコンテンツである理由は、原作コミックから映像へと表現が広がり、それぞれの魅力が味わえることも大きいでしょう。
原作コミック
原作コミックは、キヅナツキ先生の繊細なタッチで描かれる登場人物たちと文学的ともいえる心情表現が合わさることで、独特の高揚感や緊張感が味わえるギヴンの原点。
読み込むごとに世界観に没頭できる、ずっしりとした読み応えのある作品です。現在も連載中なので、ギヴンの最新のストーリーが知りたければ原作コミックを追うことをオススメします。
アニメ
原作のイメージそのままにキャラが動き出し、歌い、演奏する感動を味わいたいならアニメです。 キャラのコミカルな一面も楽しく、アニメらしいテンポの良さで物語は進みます。ただし、立夏と真冬の出会いや、立夏が初めて聴く真冬の歌声、明かされる過去、迫力のライブシーンなど、物語の大きな要となる場面ではその空気感がガラリと変わります。
ドラマチックな展開に印象深い劇中歌が重なり、シリアスなテンションで見るものをグイグイと引き込んでいきます。全11話ながら、見始めたらあっという間にクライマックスへ到達してしまうような没入感があります。
映画
続くアニメ映画では、バンドメンバーの秋彦と春樹の恋の行方を追っていきます。
大人組、お兄ちゃん組とも呼ばれる二人のストーリーも波瀾万丈。春樹が秋彦に抱き続けてきた想い、秋彦の同居人であるミステリアスなヴァイオリニスト・雨月の存在など、高校生組とは一味違った濃い感情を見せてくれます。見終わったあとは思いのほか爽やかで、59分という見やすさも、アニメの続編として楽しみやすいボリュームになっています。
実写ドラマ
そして最新のコンテンツである実写ドラマ。全6話にギヴンの魅力をコンパクトに凝縮して詰め込んだ映像作品です。
実はギヴンの実写化が公表された時、ファンの反応はシビアなものでした。原作のイメージが壊れるからイヤ! という声が多かった反面、実写BLファンからは期待の声も上がりました。それは、『ポルノグラファー』シリーズを手がけた三木康一郎監督作品だからでしょうか。とはいえギヴンファンの反応は、実際配信されるまでは全体的に厳しい印象だったのです。
けれどいざ見てみれば、実写版は良質で誠実な作品に仕上がっていました。原作の持つ世界観を大切に作り上げた映像美や、俳優さんたちの真摯な役作り。ドラマとしての完成度も高く、昔から実写BLを見てきた層であれば、ここまでのクオリティで見られることに感動するはずです。
特にラストの圧巻のライブシーンと、立夏と真冬の関係が大きく動く瞬間はぜひとも見ていただきたい名シーン。 俳優さんたちが楽器を猛特訓し、実際に演奏することでリアルな熱気や興奮が表現されたライブシーンは、オリジナルの楽曲と歌声も力強く彩ります。ライブ後、立夏と真冬の気持ちが通じる場面では、体温や呼吸まで伝わるようなドキドキ感と光の演出による映像美もすばらしく、海外のファンからも絶賛の声が多く寄せられました。
各キャラクターの再現度は原作そのままではないにせよ、ドラマ独自のオリジナリティが加味された楽しさがあります。たとえば実写版の真冬は、立夏のシャツをちょこんとつまむ様子や上目遣いなどが圧倒的に愛らしく、原作以上にあざとかわいい!? という衝撃を与えてくれます。立夏はすらりとした長身がカッコよく、秋彦のややわざとらしいほどのイイオトコぶりや、春樹のひょうひょうとしたバンドマン風佇まいもクセになります。BLの実写化に抵抗のある方にも、ぜひ挑戦してほしい作品です。
最後に、ギヴンの音楽がすばらしいこともお伝えしなければなりません。 アニメ、映画ともに音楽を手がけるセンチミリメンタルの楽曲は、ギヴンとリンクした歌詞世界と切ないメロディーで、ストーリーの高まりと共に涙が止まらなくなることもしばしば。 実写ドラマのパノラマパナマタウンのテーマソングと劇中歌も、物語の大きな要素としてストーリーをドラマチックに盛り上げる役目をしています。
■歴戦のBLファンにも触れてほしいコンテンツ
BLコンテンツが世の中でメジャーになるにつれ、いつのまにかBLは普遍的な物語、性別を超えた愛というテーマで語られがちになっています。けれど、私の中でギヴンはあくまでBL。音楽や若者の成長物語であると共に、物語のベースはしっかりとBLであると感じています。ギヴンで描かれるキャラクターの造形やストーリーは、驚くほどBLの古典名作を彷彿とさせます。
登場人物の重い過去、それを乗り越える支えとなる人物。傷つきと挫折、救済、そして自分の力で未来へと進んでいく物語は、まだBLという呼び名のなかった時代から、このジャンルが繰り返し描き続けてきた永遠のテーマでもあるのです。だからこそ、若いファンだけでなく、経験豊かな大人のBLファンをも満足させるギヴン。ぜひ幅広い方々にギヴンの世界を楽しんでもらいたいと思います。
原作コミック、アニメ、映画、実写ドラマとコンテンツが多いギヴンは、一度ハマればじっくりとその世界観に浸ることが可能です。
現在、ギヴンの全コンテンツを楽しめるのは動画配信サービス「FOD」だけ。FODプレミアムは、月額976円でアニメ、映画、ドラマのギヴンが見放題です。何から楽しむかはあなたの自由。何度見るかも自由です! さらに、FODは同じアカウントでコミックの購入も可能。ギヴンの原作コミックが気になっている方もこれでバッチリ。
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