『仮面ライダー』(第1作)生誕50周年を記念し、大人のための変身ベルト「COMPLETE SELECTION MODIFICATION(CSM)」最新作として仮面ライダー1号/本郷猛、仮面ライダー2号/一文字隼人が身に着けていた「変身ベルト」が商品化。「CSM変身ベルト・タイフーン KAMEN RIDER 50th Anniversary Memorial Set」と銘打ち、8月4日11:00よりプレミアムバンダイにて予約受付がスタートする。
1971年4月3日に放送を開始した『仮面ライダー』は、悪の秘密結社ショッカーと戦う正義の戦士・仮面ライダーの活躍を描く「怪奇アクションドラマ」である。青年科学者・本郷猛(演:藤岡弘、)は優れた頭脳と運動神経を見込まれ、ショッカーの改造人間にされてしまうが、脳改造の直前で恩師・緑川博士に助けられ、脱出に成功。そのときから本郷は、人間の自由のために戦う仮面ライダーとなり、襲い来るショッカーの怪人たちを迎えうつのである。
「CSM変身ベルト・タイフーン KAMEN RIDER 50th Anniversary Memorial Set」発売を記念して、マイナビニュースでは仮面ライダー1号/本郷猛を演じた藤岡弘、にインタビューを実施。若手俳優としてまさに飛躍の真っ只中にあった50年前、体当たりで過酷な撮影に臨んだ藤岡から、当時の貴重な撮影裏話や、玩具商品になって大ヒットを飛ばした「変身ベルト」への想い、そして仮面ライダー/本郷猛に憧れ、応援を続ける熱烈なファンに向けて熱きメッセージを語ってもらった。
――藤岡さんは『仮面ライダー』の初期エピソードで、実際に仮面ライダーのスーツを着て激しいアクションにも挑まれましたね。
今でもあの頃の記憶は鮮明によみがえりますよ。初めて仮面を被り、いざ立ち回りをしようと思ったら、自分の息で覗き窓が曇ってしまって、前が見えなくなったんです。自分ではどうすることもできないですから、ショッカー戦闘員との戦いでは何も見えないまま、勘で動いていたりしていたんです。
すぐ「前が見えないと危なくて困る」と申し出て、改善してもらいました。スーツは革製で、私の体のサイズに合わせて作ってもらったんだけれど、演技をしているうちに汗をかいて、それを吸い込んで革が締まってきた。まさか汗で締まるなんて、誰も予測してなかったんですね。アクションをしているうちにだんだん動きにくくなってきますし、あれは大変だったなあ……と懐かしく思い出されます。
撮影をしながら、私が「ここを直してほしい」と要望して、そのたびに仮面やスーツを改良していった。まるで、実験台みたいな感じでしたね(笑)。
――今回の「CSM変身ベルト・タイフーン」をご覧になり、当時藤岡さんが実際に着けていた撮影用の変身ベルトと比較してどう思われましたか。
当時の変身ベルトのイメージを活かしつつ、さらに高級感を持たせた商品になっていますね。ベルトのことで記憶しているのは、アクションシーンで地面に転がったりすると、固いパーツが腰に当たって痛かったこと。これでは激しい立ち回りもできないので、アクション用に柔らかい素材のベルトを用意してもらったんです。
――1971年にポピーから発売された「光る!回る!仮面ライダー変身ベルト」は380万個が出荷された空前の大ヒット商品だったそうです。『仮面ライダー』の大人気ぶりがこの数字からもうかがえますね。
子どもたちは仮面ライダーに憧れ、僕も仮面ライダーになりたい!と思ったことでしょう。そんなときこのような「変身ベルト」があれば、本当に変身できるような気持ちになるに違いありません。現在も仮面ライダー関連の玩具がたくさん発売されていますが、やっぱり「仮面ライダーになりたい!」という憧れがあってこそ、こういったアイテムが求められるんだと思います。
悪のショッカーによって生み出されたけれども、その運命をはね返して、正義のために戦う仮面ライダー。子どもたちは、命をかけて人間の自由を守るために戦う仮面ライダーの姿に胸を打たれてきたんです。50年が過ぎた今もなお、懐かしい思い出となって生き続けている仮面ライダーの生命力に驚嘆しています。
――原作者の石ノ森章太郎先生はかつて「仮面ライダーは永遠に死ぬことはない」「時代が求める限り、仮面ライダーは何度でもよみがえる」と話されていました。藤岡さんもまた、いつまでも若々しくパワフルな姿を維持されていますが、その若さの秘訣とは?
うーん……(しばし考えて)。やはりそれは「自己管理」でしょうかね。どこまで自分に責任を持ち、管理していくか、人一倍気を遣っています。それは役者だからというわけではなく、シンプルに「生きるため」ですね。
自分がこれからも存在していくため、まだまだ責任を果たさなければならない。私の娘や息子もまだ若いですし、しっかり独り立ちして、安心できるまでは、親である私が守ってやらなくてはなりません。どんなことがあっても生き抜かなければならない――それが自分の中の大きなエネルギーになっている可能性がありますね。これまでの人生で学び、得たものを、次の世代へと繋いでいかなくてはいけない。そういった使命感が、自分の中には生まれています。
――「何があっても生き抜くこと」など、藤岡さんが真摯に語りかけてくださる言葉には重みがあって、『仮面ライダー』本郷猛に憧れた多くのファンの方たちの心を激しくゆさぶります。これからもますますパワフルに活動していってほしいと願っています。
仮面ライダー/本郷猛は何のために戦ったのか。己の命を懸けて、全人類のために悪なるものと戦ったんです。そこに「逃げない、負けない、屈しない、諦めない」といった想いを込めた。命を懸けたヒーローの姿が、子どもたちの心をつかんだんです。
仮面ライダーを通じて、人間はどうあるべきか、人間にとって大切なものは何かを、これからの日本を背負っていく今の子どもたちに伝えたい。それが一番重要なことなんです。これはもう、私に与えられた「天命」なんです。運命に挑戦し、使命に燃えながら、宿命に感謝する。そしていかなる試練にも立ち向かう。私は心臓が止まるまでが天命だと思っています。その瞬間が来るまで、すべてを天にゆだねつつ、生きている間は精一杯頑張っていくつもりです。
――「CSM変身ベルト・タイフーン」には『仮面ライダー』の印象的なBGMや変身効果音・必殺効果音、そして本郷猛と一文字隼人の劇中セリフが収録されるという、まさにアニバーサリーイヤーにふさわしい豪華仕様となりました。本郷猛といえばやっぱり「ライダー、変身!」というかけ声と、力強さと鋭さを兼ねそなえた変身ポーズが印象的です。藤岡さんが変身ポーズをされる際の心がまえを教えてください。
「変身」とは「変心」である、ということです。己の心が変われば、周りも変わります。私はそんな思いを持って、変身をしてきました。たとえ人生において間違ったことをしても、何度も何度も「変心」し、そうしながら成長していけばいい。失敗しても「変心」すれば復活できる。いくらでも変わることができるんです。そうやっていけば、やがて清濁あわせ呑むような、包容力のあるすばらしい人間になることも可能でしょう。老人から安心され、若者から信頼され、子どもからは慕われる、そういう存在になりたいよね。変身ベルトには、今の私のそんな思いが強く込められているんです。
――50年前『仮面ライダー』の製作に関わられたスタッフには、石ノ森章太郎先生や、平山亨プロデューサー、阿部征司プロデューサーなど、すでに鬼籍に入られた方がたくさんいらっしゃいます。素晴らしい作品を作り上げたみなさんの功績を称える意味で、藤岡さんからお言葉を頂戴したいと思います。
私が『仮面ライダー』で本郷猛を演じていた日々、出会ったすべての方々に感謝しています。出会いに感謝! 青春を燃やして全力で挑んだあのころ、素晴らしい人たちと出会い、導かれ、いろいろなことを教えてもらいました。
人間というのは、出会いによって人生そのものが変わってきます。人によって磨かれて、人によって育てられる。そうやって今ここにいることができるわけです。私の人生はこれまでにいろんな失敗がありましたが、何ひとつ無駄はなかったと断言できます。すべてのことが、私にとっての「学び」だったんです。改めて、人との出会いに感謝。生かされし我が命に感謝です。いろいろなことを学び、教えられてきた私が、今度は次の世代に大切なものを伝えていく。それが自分を支えてくださった方々への感謝であり、私の使命です。
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