カーシェアで交通事故どうすればいい? 利用者が知っておくべき対処法

最近人気のカーシェアですが、カーシェアで交通事故に遭った際の対処法をご存知ない方も少なくありません。そこで、カーシェアでの交通事故の対処法を詳しく解説します。

カーシェアリング人気で交通事故のリスクも

車は買わないで、必要になった時だけ、近所のステーションで借りて乗る。 カーライフ事情の多様化や、「所有より利用へ」という消費者意識の変化などから、カーシェアの人気が高まっています。

カーシェアの魅力は、固定費のかかるマイカーよりも気軽に、利用頻度が高いと料金が高額になるレンタカーよりも安価に自動車を利用できるといった点です。カーシェアは2010年代から徐々に社会に浸透し、利用者を増やしてきました。

しかしながら、こうしたカーシェア人気には、交通事故のリスクも伴うことを忘れてはなりません。 では、カーシェアで交通事故に遭った場合の対処法や注意点には、どういったものがあるでしょうか?

カーシェアとは?

カーシェアとは、正式名称を「カーシェアリング」といい、カーシェアリング会社に登録した会員同士が、日本全国の拠点にあるクルマを共同で使えるサービスです。

カーシェアの主な特徴には、以下のようなものがあります。

  • 入退会手続きはインターネットで完結する
  • 日本全国の拠点にあるクルマを、24時間いつでも利用可能
  • 貸出や返却手続きはスマホ・会員カードのみでできる
  • 15分単位など短時間から利用できる
  • 短時間利用ならレンタカーより安く借りられる
  • 事故時の補償制度がある

事故時にはカーシェア車両の自賠責保険・任意保険が使える

カーシェアで事故に遭った場合の補償制度ですが、カーシェア車両は独自で自賠責保険・任意保険に加入しています。 そのため、カーシェアの車の運転中、万一事故が起きた際には、以下の様な補償が受けられます。

  • 他人を死亡させたり、けがをさせたりした場合の対人補償(1人につき無制限 自賠責保険3千万円を含む)
  • 他人の物やクルマに損害を与えた場合の対物補償(1事故につき無制限)
  • カーシェア車両に損害があった場合の車両補償(1事故につき時価額)
  • 利用会員や同乗者が死傷した場合の人身傷害補償(1人につき3千万円〜無制限)

実際の補償金額はカーシェアリング会社により異なる場合があります。 また、カーシェアリング会社によっては搭乗者傷害補償(利用会員や同乗者が死傷した場合の一時金が補償される)を受けられる場合もあります。

こうした事故時の補償は、カーシェアの元々の利用料金に含まれているため、別途料金を支払う必要はありません。

 

カーシェアリングで交通事故に遭った場合の対処法

それでは、カーシェアで交通事故に遭った場合の対処法は、どのようにすればいいのでしょうか? マイカーで事故にあった場合とどう違うのでしょうか?

交通事故時の初期対応はマイカーでの事故とほぼ同じ

実は、カーシェアで交通事故に遭った場合の初期対応は、自分の車で事故を起こした場合とほぼ同じです。

  1. 事故車両を安全な場所へ移動、事故現場周辺の危険を除去
  2. けが人を救護
  3. 警察へ連絡
  4. 事故発生場所からカーシェアリング会社の事故受付へ連絡
  5. 警察の現場検証への立ち会い

事故状況により手順が若干異なるケースもありますが、基本的にはマイカー同様に初期対応を進めます。

事故の初期対応について詳しくはこちら >>

事故発生時の連絡先はカーシェアリング会社の事故受付へ

カーシェアでの事故と自分の車での事故の初期対応では、たったひとつだけ違いがあります。 カーシェアの場合、初期対応・警察への連絡の後、自動車保険会社ではなく「カーシェアリング会社の事故受付へ連絡」する点です。

カーシェアリング会社の事故受付電話は24時間対応していますので、事故発生場所や傷・事故の大小に関わらず必ず連絡しましょう。 もしカーシェア車両の返却までに事故連絡をしない場合には、保険・補償の適用外および会員資格のはく奪という、大きなペナルティが課せられます。

相手方との直接示談はNG! 保険・補償の適用外に

また、カーシェアの車で事故を起こした場合、相手方と直接示談する行為はNGです。 もし直接示談をしてしまうと、保険・補償の適用外となり、相手方への損害賠償および示談交渉のすべてを会員自身が行わなければなりません。

正しいカーシェア事故の示談の流れでは、まず会員からの連絡で事故を受け付けたカーシェアリング会社が保険会社に電話を転送します。電話を受けた保険会社は、会員に過失があれば相手方に連絡を入れ、時期が来たら示談交渉に入るのが基本です。

カーシェアリング会社を一度挟んで保険会社に連絡する

自分で車を持っている場合は、事故に逢った運転者が、自分の加入している自動車保険会社に連絡するのが一般的ですが、カーシェア事故の場合はカーシェアリング会社を1度挟んで、保険会社への対応を依頼することになります。

事故直後の直接示談のリスク >>

カーシェアリングでの交通事故の注意点

カーシェアリングでの交通事故には、いくつかの注意点があります。

NOC(ノンオペレーションチャージ)が発生する

カーシェアリングで交通事故に遭った場合、まず、NOC(ノンオペレーションチャージ)が発生します。

NOCとは、カーシェア車両を利用中に交通事故が発生したり会員の過失等によりカーシェア車両に損害を与えたりなど、カーシェアができなくなった場合に、営業補償の一部としてカーシェアリング会社に支払う金銭のことです。 金額的には、クルマが自走可能な場合は2万円程度、自走不可能な場合には5万円程度のケースが多いです。

なお、事故時に警察やカーシェアリング会社への連絡を怠る、会員以外がカーシェア車両を運転しているなどでカーシェアの保険・補償が適用されない場合には、休業損害・修理費用の実費が請求されます。

利用者に過失がある場合、会員資格ははく奪に

利用者に重大な過失がある場合には、会員資格ははく奪になることがあります。重大な過失とは、酒気帯び運転や薬物使用など、道路交通法で定める安全運転義務に違反して事故を起こした場合のことです。

規約違反で補償の対象外になるケースも

カーシェアリング会社の会員規約に違反した場合には、保険・補償の対象外になるケースがあります。たとえば以下のようなケースは会員規約違反にあたります。

  • カーシェア車両の又貸し
  • チャイルドシートなしで6歳未満の幼児を乗せた際の事故による怪我
  • 事故時にカーシェアリング会社への連絡を怠る
  • 警察に事故届出しない
    • 会員本人または運転者登録のない人に運転させるのは厳禁

      会員本人または「追加運転者登録」のない人がカーシェア車両を運転した場合も規約違反となり、事故時の保険・補償が適用されなくなります。 たとえ家族であっても、「追加運転者登録」をせずに運転させるのは厳禁だと覚えておきましょう。

      6歳未満の子供がいる場合はチャイルドシートの準備を

      意外と見落としがちなのが、チャイルドシートの準備です。道路交通法は6歳未満の幼児が自動車に乗る場合、チャイルドシートの利用を義務としています。チャイルドシートなしでの幼児の同乗は、カーシェアの車であっても道交法違反となり、カーシェアリング会社の規約違反にもあたります。

      カーシェアでは、オプションサービスとしてチャイルドシートを設置した車両を備えている場合もありますが、対応するのはあくまで一部のステーションに限られます。

      一回限りであれば、カーシェアのチャイルドシート付き車両を予約するのが合理的ですが、カーシェアの利用頻度が比較的高く、6歳未満のお子さんのいるご家庭の場合、チャイルドシートは事前で購入しておく方が、結果的に使いたい時に自動車を使えるカーシェアのメリットを最大化できるでしょう。

      まとめ

      カーシェアは、「必要なタイミングに必要な時間だけ、より安くクルマを利用したい」という消費者のニーズを満たす魅力的なサービスです。 とはいえ、カーシェアもクルマを利用する以上は、マイカー同様に交通事故のリスクは避けられません。

      カーシェア車両は、事故にそなえて自賠責保険・任意保険に加入していますが、利用者がカーシェアリング会社への事故連絡を怠ったり会員本人または運転者登録のない人に運転させたりなどした場合には、利用者は事故の保険・補償は受けられず、相手方への損害賠償や示談交渉を自分で行わねばなりません。

      カーシェアを利用するにあたっては、カーシェアで交通事故に遭った場合の対処法や注意点をよく理解しておくことが大切です。

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