新型コロナウィルス感染症の影響から、家で過ごす時間が長くなったことで、「子どものゲームしている時間が長くなっているのが気になる……」と頭を悩ませているご家庭も多いのではないでしょうか。筆者もその1人です。ちなみに、マイナビニュース編集部のパパママ社員にも話を聞いたところ、様々な悩みがみえてきました。

マイナビニュース編集部のパパママ社員
「子どものゲームとの付き合い方」に関して悩みごと

勉強とゲームの時間はどうやって気持ちを切り替えさせたらいいの?

結局どれくらいの時間子どもにゲームをプレイさせていいの?

ゲームのやりすぎでコミュニケーション不足にならない?

「おうち時間」でどうせなら一緒に親子でゲームを楽しみたいけれど、どうしたらいいの?

勉強との両立、ゲーム時間の管理の仕方、親子間のコミュニケーションなど、悩みは様々。今回は、上記のような悩みを解決するヒントを求め、ゲームが好きな子どもの気持ちに寄り添いながら、子どもの成長に上手につなげたママ2人にインタビューを実施しました。

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まずは、勉強とゲームを上手に両立しながら、中学受験を成功させた田中さんからお話を伺いました。

1週間のスケジュールを書き出して「ゲームができる時間」を確保
  • 田中さん 中学3年生と小学6年生の男の子2人のママ

---今日は、よろしくお願い致します。早速ですが田中さんの1番上の息子さんが、中学受験をしたときのゲームとの付き合い方について教えてください。

田中さん:受験のきっかけは、長男が小学5年生のときにテレビの影響で「中学受験がしたい」といったことからでした。親としては予想外でしたね。今から中学受験の勉強は大変なのではないかと心配したんですが、彼の意思を尊重して夏から受験対策塾に入れました。

---中学受験は小学校3、4年生から入塾することが多いですよね。周りより少し遅れたスタートだと、親としては「勉強に集中させなくては!」とかなり焦ってしまいそうです。

田中さん:私としては、子どもが受験を決めたら応援したい。ただ、もし失敗しても、そこから学ぶことがあるからいい経験になるだろう、という気持ちでいました。また、受験をする上で「息抜き」は大事だと思っていたので、息子にとって息抜きであるゲームを取り上げるようなことは考えなかったです。

---塾のほかにも、習い事を続けていたんですよね。

田中さん:そうなんです。もともと習っていたサッカーと英語はそのまま続けたいと言うので、学校から帰ってきて寝るまでの時間割を一緒につくって、1週間のスケジュールを把握することにしたんですよ。そのなかに、「ゲームや趣味に充てられる自由時間」も一緒に書き出しました。

  • 勉強とは別に宿題の時間を設けたり、自由時間が少なめのスケジュールでしたが、中々予定通りに進めることができず……

  • 上記スケジュールではうまくいかなかったため、自由時間を増やしたスケジュールに修正しました

---1日の予定のなかにゲームの時間も組み込んでいったんですね。実際にはじめてみると、なかなか予定通りにはいかないことも多いと思うのですが、いかがでしたか?

田中さん:そうですね。最初から完璧にはできませんでした。守れないときには「どうしたら守れるようになる?」と、その都度話し合ってスケジュールを見直しました。

---「守れないならゲーム禁止!」とはならなかったんですね。

田中さん:そうですね。「決めてもちゃんと守れないなら禁止しちゃった方がいいのかな」と悩むこともありました。しかし先ほど言った通り、受験をする上で「息抜き」は大切ですから守れるようになるまで、子どもと話し合いました。

---そして見事合格されて、今は中学生。現在のゲームとの付き合い方はどうですか?

田中さん:受験生のときに、スケジュールを意識しながら次の行動をするという経験をしてきたからか、親から言われなくても時間を気にして生活していますね。

---なるほど、小学生のうちからスケジュール管理を自己責任ですることによって、先のことを考えて行動する力が身についたんですね。これは大人になってからも大事なスキルだと思います。

田中さん:ゲームは好きなので、「ゲームをするためにどう行動すべきか」と考えたことがよかったようです。

サッカーゲームを通してサッカーが上達?!

---さて、田中さんの2番目の息子さんは現在6年生ですが、ゲームとの付き合い方はどうされているのでしょうか。

田中さん:下の子はサッカーが大好きで、サッカーゲームをよくプレイしています。実は子どもが所属しているサッカーチームでは、コーチがサッカーゲームを推奨していて、チーム内でゲームの大会も開催しているんです。

---おもしろいですね!どうしてゲームを推奨しているんですか?

田中さん:ルールも覚えられるし、ゲームではフィールド全体のことをみながら操作し戦術を考えるため、実際にサッカーをやるときの視野も広くなるそうです。

---なるほど!昨年の緊急事態宣言のときには、野外でのスポーツもなかなかできませんでしたからね。チームプレイの練習ができない分、ゲームで疑似体験をするというわけですね。

田中さん:そうですね。休校期間中はチームメンバー同士、オンラインで対戦していました。チーム内の大会では、コーチはもちろん保護者も参加するので、子どもが大人に勝ったり下の学年の子が上の学年に勝ったりして、とても盛り上がりました。

---そうなるとサッカーが楽しくなって、上達しそうです。

田中さん:はい。サッカーゲームでイメトレができたことによって、チームの副キャプテンになり主力として活躍しています。

---それはすごいですね!

田中さん:私はゲームをしないのですが、次男をみていてゲームが実生活に役立つことがあるんだな、と実感しました。

---ありがとうございます。最後にこれから、子どものゲームデビューを考えている保護者に向けて、改めてアドバイスなどありますか。

田中:小学生のうちから、ゲームをするときのルールを話し合っておくといいと思います。「宿題をやってから」「ゲームするときは必ずリビングで」など、最初はちょっと厳しめでもいいかもしれません。その後、子どもの希望などを聞きながら、一緒に見直しいくとよいのではないでしょうか。

ゲームを好きという子どもの気持ちを大事に。休みの日は家族ゲームを楽しむ

次に、自身はほとんどゲームをしない田中さんとは対照的に、子どもと家族全員で一緒にゲームを楽しんでいるという本田さんにお話を伺いました。

  • 本田さん 6年生、4年生、2年生の3人の男の子のママ

---本田さんのお子さんは3人ともゲームが好きなんですか?

本田さん:とくにゲームにはまっているのは長男ですね。次男と三男は、ゲームは遊びの選択肢のひとつという感じで、ゲームをしていてもしばらくすると、次の遊びをしています。

---長男さんはかなり長い時間ゲームをしているそうですが、勉強との両立はどうされていますか?

本田さん:「●時までゲームをやったら、宿題をする」と自分で宣言して、ゲームの時間と勉強の時間を切り替えていますね。

---そうなんですか!ゲームと勉強の切り替えってなかなか難しい気がしますが……。

本田さん:そうですね。うちの場合は、ゲームをする時間に制限をかけていないので、ゲームに対する「特別感」がないのかもしれません。「たまにしかできない」「●分しかできない」となると、もっとやりたくなるのかもしれませんが、いつでもゲームができるからこそ、そこまでガツガツしないのだと思います。

---あまりに夢中になってしまってるときに、本田さんから「もうやめなさい」と声をかけたりは?

本田さん:それでも、強制的にやめさせることはないです。取り上げられると、子どもが嫌な気分になって、親子間で摩擦が起きてしまいますから。それに、オンラインで友だちとゲームを楽しんでいるときもあるので、みんなで協力しているなか、突然やめてしまっては喧嘩の原因になったり、友だちとの関係にも影響があるかもしれません。だから、子どもにやめるタイミングを決めさせるようにしていますね。

---息子さんはどんなジャンルのゲームをしているんですか?

本田さん:ゲームのなかで迷路やお城をつくれるサンドボックスゲーム(※)が好きですね。先日びっくりしたんですが、ゲームで自分の学校の教室を細かく再現していたんですよ。しかも、そのバーチャルな教室で友だちと鬼ごっこをしていたんです。(笑)

(※)サンドボックスゲーム……決まった目的が存在せず、未知の世界を探索したり、好きな建物を建てたり、プレイヤーが自分なりに目的や目標を決めて遊んでいくゲーム(主な例として「マインクラフト」や「あつまれ どうぶつの森」など)

---それはすごい!しかも楽しそうですね。友だちもびっくりしたんじゃないですか?

本田さん:そうですね。クラスではおとなしい方だったんですが、ゲームを通じて一目置かれるようになり自己肯定感が高まったようです。

---それは自信につながりますね。ほかにも、ゲームをきっかけに興味の幅も広がったそうですね。

本田さん:ゲーム内でものづくりをしているなかで、息子は「設計するのが好き」だと思ったそうです。それをきっかけにプログラミングに興味をもち、試しにプログラミング教室の体験授業を受けてみたらとても楽しかったみたいです。それからプログラミング教室に通いはじめました。プログラミングはもう1年ほど続いていますね。

子どもの好きに積極的に興味関心を

---ゲームから他の分野に興味が広がったのはすごくいいことですね。しかし、お子さんがゲームに夢中になることで、家族のコミュニケーションの時間が削られたりすることはありませんか?

本田さん:私の家は、家族みんなでゲームをするんですよ。最初は「子どもとの会話のきっかけにしたい」と夫がゲーム機を買ってきたんですが、いざはじめてみると夫がはまってしまって。とくに緊急事態宣言中は、毎晩のように家族で協力しながらプレイしていました。

---本田さんも一緒に?

本田さん:そうです。一緒にプレイをしていると「ママ!みて!今のみた?」と、子どもが自分のプレイを自慢してくることがあるんですよ。そういうときはすかさず「すごいね!勝ったねー!みてたよ!」と褒めてあげます。

ほかの遊びと同じで、かっこよくできたところを親に褒めてほしいんだと思います。一緒にプレイしていないときでも「ママみて!」とよく言われますね。

---すごい。私だったら「ゲーム苦手だからみんなでやって」と言ってしまいそうです。

本田さん:子どもって自分が好きなものを親に知ってほしい気持ちがありますよね。だから子どもが好きなことは、ちゃんと知りたいと思っています。自分に興味がなくてもわかる努力をすることで子どもとの会話のきっかけにもなります。

---ありがとうございます。最後に、子どものゲームデビューを考えている保護者に向けて、改めてアドバイスなどありますか。

本田さん:我が家の場合、長男はゲームが好き、次男はアニメが好き、三男は絵を描くのが好きと、それぞれ好きなものが違います。長男の場合は、たまたま好きなものがゲームだったというだけなんですよね。 子どもが興味をもったことを、否定しないで「いいんじゃない」とみとめることで、子どもの自己肯定感につなげていければ、ゲームとうまく付き合っていけるのではないかと思います。

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お2人ともありがとうございました。子どもの性格や家庭の方針によって、いろいろなやり方があると思います。ゲームを「子どもが好きなこと」として捉えて、バランスをとりながら楽しめる方法を各家庭で探してみてはいかがでしょうか。

[PR]提供:消費者庁・一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会