現在のPCのディスプレイは16:9のアスペクト比(縦横比)が主流になっているが、ここ最近、21:9というウルトラワイドなパネルを搭載した製品が徐々に増えつつある。マウスコンピューターよりこの4月に発売が予定されている、iiyamaブランドの新型ディスプレイ「ProLite XUB3493WQSU」もその一つ。通常より画面が横に広いため、複数のウインドウを並べて作業しやすく、シネマスコープサイズの映画をど迫力で楽しめるなどのメリットがある。今回、その実機を試すことができたので、製品の特徴や使用感を詳しく紹介していこう。

  • iiyamaブランドの34型ディスプレイ「ProLite XUB3493WQSU」

視界いっぱいに画面が広がるウルトラワイドディスプレイ

以前から「大画面で映画を楽しみたい」というユーザーの注目を集めていたのが、シネマスコープサイズに近い21:9のアスペクト比を持つウルトラワイドディスプレイだ。一般的な16:9のディスプレイだと映画を観る際などには上下に黒い帯が入ってしまうが、21:9のウルトラワイドディスプレイでは画面いっぱいに表示されるので、より没入感のある映像体験が堪能できるからである。

ところが実際に製品が登場すると、フォトグラファーや映像クリエイターなどからも大きな支持を得るようになった。これは一般的なディスプレイに比べて作業領域が広く、コンテンツ制作がはかどるのが大きな理由。例えば写真なら、元画像と編集中の画像を横に大きく並べて、見比べながら作業することができるため、効率や精度がグッとアップする。

最近は21:9に対応するPCゲームのタイトルが増えて、ゲーマーからの人気も急上昇中。またテレワークを機に、一般ユーザーからの注目も高まりつつある。というのも、テレワークで作業効率を上げるため、デュアルディスプレイを構築しようとすると、ディスプレイ2台分の電源や設置場所、コストが必要になるが、ウルトラワイドディスプレイなら1台分で済むため、比較的手軽にディスプレイ環境を改善できるからだ。

本製品も34型という画面サイズながら、狭額縁デザインを採用することでW817.0×H418.0〜548.0×D230mmという比較的コンパクトなサイズに収まっており、設置が楽。質量もスタンドを含めて約10.8kgと軽く、1人でも簡単にセットアップすることが可能だ。

  • 標準的なWebページの幅に合わせたウインドウを2つ並べたところ。ウインドウが重ならないように並べても、まだたっぷり余裕があるのがウルトラワイドディスプレイの魅力

  • スタンドベース(台座)は、1カ所をネジ止めするだけでしっかり固定できる

高さや角度調整が容易で画質も良好

ProLite XUB3493WQSUは130mmまでの高さ調節と、左右各45°のスウィーベル(首振り)に対応している。また、チルトは上方向に22°、下方向に3°まで動かせる。そのため、設置場所の環境に合わせて見やすい角度に調節するのが容易。VESA規格にも準拠しているため、サードパーティ製の壁掛け金具やモニターアーム、スタンドなどに取り付けて利用することも可能だ。

ちなみに、アスペクト比が16:9のディスプレイと比較すると、横幅は36型ディスプレイとほぼ同じで、縦が27型と同等のサイズ感になる。アスペクト比が4:3のディスプレイなら21.5型を2台横に並べた状態に近い。スタンドのフットプリントはそれほど大きくないが、液晶パネル部分はそれなりに幅が必要になるので、机の上などに置く場合は注意が必要だ。

  • 130mmまでの高さ調節に対応する

  • チルトは上方向に22°、下方向に3°まで調節可能

大型のウルトラワイドディスプレイの中には、画面の端が見やすいように表面が緩やかに湾曲したものもあるが、本製品は完全にフラット。しかし実際に試用してみて、視線の移動量が大きく画面の端が見づらいという印象はなかった。もう少し画面サイズが大きいと湾曲しているほうが見やすいかもしれないが、本製品のような34型クラスなら、平面でも湾曲でもそれほど差はないと思われる。

液晶はIPS方式のパネルで、視野角は上下左右178°を実現している。解像度は3,440×1,440ドットで、輝度は400cd/m2、コントラスト比は1,000:1(標準時。映像ソースに合わせてコントラストを調節するACR機能時は80,000,000:1)と一般的な用途には十分すぎるスペック。これくらい大きくワイドなディスプレイだと輝度ムラが気になることもあるが、試用機の場合は目に付くようなムラはなく、写真や映像を美しく表示できた。

  • スウィーベルは左右45°まで調節できる

  • 輝度や色のムラも見られず、写真や映像を美しく表示できた

なお、本体には5W×2という大出力のステレオスピーカーが内蔵されており、音声も再生することができる。ディスプレイの内蔵スピーカーとしては音質もよく、テレワーク時のオンライン会議から音楽や動画の鑑賞まで、幅広い用途に役立ちそうだ。