『機動戦士ガンダム』といえば、2019年に誕生40周年を迎えた名作ロボットアニメだ。作品自体を観たことはなくても、名前だけは知っているという人も多いだろう。そして、その『機動戦士ガンダム』をモチーフとし、2~3頭身にデフォルメした作品が『SDガンダム』である。『機動戦士ガンダム』と同じく長年多くの人に愛され、数々のグッズが生み出されてきた作品だが、この1月に新しいフィギュアシリーズが誕生した。その名も「SDガンダム 煌極舞創(こうぎょくぶそう)」だ。
本シリーズは、コンパクトな頭身ながらインパクトのある造形で作り上げられ、それぞれのキャラクターから想起される鮮烈な煌めきが表現されたPVC製のフィギュアシリーズ。全国のゲームセンターおよびアミューズメント施設にて、プライズグッズとして展開されている。プロダクトデザインと原型制作を担当するのは、『SDガンダムワールド 三国創傑伝』『SDガンダムワールド ヒーローズ』のSDデザイナーとしても活躍する宮内利尚氏。宮内氏は幼い頃から『SDガンダム』に触れており、本作へかける想いもひとしおだという。
今回マイナビニュースでは、「SDガンダム 煌極舞創」シリーズの登場を記念して宮内氏にインタビューを実施。造形するうえでの熱い想いや今後のラインナップ、そして宮内氏のSDガンダム愛について語ってもらった。
メカデザイナー。『SDガンダムワールド 三国創傑伝』『SDガンダムワールド ヒーローズ』SDデザインを担当。その他、さまざまな玩具プロダクトデザイン・原型を手掛ける。
「お前のSD愛を信じるから好きにやれ」と言われました
――メカデザイナーとしてさまざまなグッズに魂を吹き込んでいる宮内さんですが、元々デザインやロボット作品などは好きだったのですか?
小さい頃からモノを作るのが好きで、ダンボールや新聞紙などを使って色々と工作をしている子どもでした。ロボット作品も大好きでしたね。そうしてロボットアニメを見ていくうちに、『機動戦士ガンダム』シリーズにも触れるようになりました。特に好きなのは『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』。当時はコックピットの描写などを見て、自分がガンダムに搭乗している妄想をしていました(笑)。
――その延長で『SDガンダム』にも自然と触れるようになったのですね。
そうですね。BB戦士や「元祖SDガンダム」、ガン消し、カードダス、コミックボンボンなど、私が子どもの頃にはもう世の中に『SDガンダム』が溢れていました。『SDガンダム』がある風景は、私にとっての日常だったんです。
――今、そんな『SDガンダム』シリーズに関わるお仕事をしているというのは凄いことですね。
「ロボットやモノづくりが好き」という想いのままがむしゃらに生きていたら、気が付けば関わっていました(笑)。
――「SDガンダム 煌極舞創」シリーズは2021年1月より登場しました。本シリーズにおいて、宮内さんはどのような役割を担っているのでしょうか?
実はこの仕事のお話をいただいた時、BANDAI SPIRITSの担当者さんから「宮内さんのSD愛を信じるから好きにやれ」と言ってもらえたんですよ。なので、ポーズ決め・彩色・造形などのほか、第一弾の「スペリオルドラゴン」以外のキャラクター選定なども、すべて私が担当しています。パッケージの撮影にも立ち会わせていただいていますね。
――ほとんど全部担当されているのですね。
そうですね。その分責任は重大ですが、「絶対に成功させるぞ」という気持ちです。担当者さんが言ってくださった「好きな人が好きなモノを作るのが、いちばん楽しい作品になるだろう」という言葉を胸に刻んでいます。
憧れの「闇騎士」を立体化したかった
――「SDガンダム 煌極舞創」のコンセプトについて教えてください。
「SDガンダム 煌極舞創」は、子どもの頃の楽しかった思い出を一緒に作ってくれた『SDガンダム』への恩返しという位置づけです。もちろん、長年支えてくださっているファンの方々がいてこその『SDガンダム』なので、ファンの皆様に向けての感謝を伝える為のブランドだとも思っています。皆様が喜んでくださるようなアイテムが作れるよう全力で取り組んでいく所存です。それと、このシリーズを通して『SDガンダム』が好きになってくれる人が増えれば、さらに嬉しいですね。
そのコンセプトのもと、第一弾として「SDガンダム 煌極舞創 スペリオルドラゴン」、第二弾として「SDガンダム 煌極舞創 闇騎士ガンダムMk-Ⅱ」が展開されました。
なぜ、第二弾のキャラクターに「闇騎士」を選ばれたのでしょうか?
最近の様々なSDブランドがあるなかで、全然立体化されていなかったからです。私もいち『SDガンダム』ファンとして、純粋に「闇騎士」の立体物が欲しかったんですよね。「こんなに熱いキャラクターが立体化されないなんて勿体なさすぎる!」と思って、自分で作ってしまいました(笑)。
実際のところ、「闇騎士」よりメジャーなキャラクターっていっぱいいるんですよ。でも、私のように「闇騎士」の立体化を求めているファンの方々がいるのでは、と思って。「煌極舞創」はそういう想いを実現していくシリーズでありたいですね。
――熱い想いが伝わってきます! では、「煌極舞創」シリーズを制作するうえで、こだわっている点についても教えてください。
ビジュアル面で特にこだわっているのは装飾と躍動感、固定モデルだからこそできる立体表現ですね。あとは、子どもの頃に思い浮かべていたワンシーンを具現化することを意識しています。
――というと?
子どもの頃って、例えばマンガやカードのイラストなどを見て、躍動感あふれる『SDガンダム』を脳内補正していたんですよね。アニメ化されていなくても、動いているカッコいい姿が私の頭のなかでは見えていました。それくらい想像力が豊かだったと思うんです。あの頃のワンシーン、自分の妄想のなかの「カッコいい」を具現化してアイテムに落とし込む。そういった意識を持って造形しています。
過去シリーズで使ったジオラマが令和に甦る
――続いて、実際の制作工程について教えてください。
流れとしては、まずパソコンで造形し、立体出力します。次に、立体出力されたモノの表面を綺麗にする磨きの作業をして原型を作るのですが、装飾が多いものは磨くのに時間がかかって……。磨きだけで5日間くらいかけることもありますね。朝から黙々と修行僧のように磨いています(笑)。そうやって金型用に仕上げたものを、納品しています。
――すべてご自身でやっているのですか?
今回に関してはそうですね。作業効率を考えれば、磨きの作業を誰かにお願いしたほうがいいのかもしれません。でも、自分で磨いていくことで「ここはもうちょっとこうしたほうがいいかな?」という発見ができるんです。足の裏までこだわって造形していますが、凝れば凝るほど磨きに時間がかかる(笑)。それでも、「ファンの方はこうしたら喜んでくれるだろう」というポイントは、見えない部分であれこだわるようにしています。できるだけ細部まで見て、最後まで魂を込めて作ったものを納品したいんですよね。
とはいえ締切はありますし、アイテムになってから「もっとこうしたらよかった」と思うこともあります。後悔はしていませんが、毎回勉強はさせてもらっていますね。
――完成したフィギュアのパッケージ写真を撮影されているのは、ベテランカメラマンの高瀬ゆうじさんですね。
高瀬さんは「元祖SDガンダム」シリーズの頃からずっとパッケージを撮ってくださっています。私は高瀬さんの写真を見て『SDガンダム』のカッコよさを実感していたので、お仕事でご一緒できるというだけで感無量でした。実は「SDガンダム 煌極舞創 闇騎士ガンダムMk-Ⅱ」のパッケージに使われている城壁のようなジオラマは、30年前に「元祖SDガンダム」で使われたものを引っ張り出して撮影してもらったんです。
――それは凄いですね。往年のファンは特に喜ぶポイントだと思います。
パッケージだけでも十分に価値のある写真を撮っていただきました。この機会に私からぜひ伝えたいのは、パッケージに載っている写真も作品であるということ。箱を残すとかさばってしまうかもしれませんが、大切に保管してもらえると嬉しいですね。
円卓の騎士を揃えることも夢じゃない!?
――9月には「SDガンダム 煌極舞創 神竜士レッドランダー」が新しく登場する予定ですが、こちらも思い入れがあるキャラクターなのでしょうか?
「神竜士レッドランダー」(以下、「レッドランダー」)って、ガンドランダーIII 竜の守護神というシリーズのガシャポンで、機竜士レッドランダーと竜機神レッドガンドラゴンをそろえて合体させてやっと手にできる憧れのガン消しだったんですよ。子どもの頃には手に入らなかったという方もいらっしゃると思います。私にとっても「レッドランダー」は神様なので、ラインナップから外せないな、と思って選びました。
――今後、「煌極舞創」シリーズではどのようなキャラクターが登場する予定ですか?
作りたいキャラクターはたくさんいます。『SDガンダム』は様々な素晴らしい世界があるので、色々な世界にスポットライトをあてて、キャラ選定をしたいと思っています。
例えば、劇場版『機動戦士SDガンダムまつり』のキービジュアルに載っていた大将軍や、敏腕タイムパトロールのザウルスモードや、コスモザタリオン帝国最高指導者とか。あえて明言はしませんが、きっとファンの皆様なら分かってくださると思います(笑)。
――なるほど(笑)。今後のラインナップもある程度決まっているのですね。
頭のなかにはあります。本シリーズに関しては攻めていきたいんです。人気のあるキャラクターから作っていくのではなくて、「こんなところまで立体化してくれるんだ!」と、ドキドキワクワクするようなラインナップで固めていきたいですね。
ただ、私の考えだけではなく、例えばアンケートなどで『SDガンダム』ファンの皆様の意見も聞けたらいいなと思います。
――最後に、ファンの皆様に向けてメッセージをお願いします
まずは「煌極舞創」を手に取ってくださった方に感謝をお伝えしたいです。『SDガンダム』は本当にファンの皆様に支えてもらってここまで来ました。「煌極舞創」が展開できるのも、皆様がいてくださったからこそです。これからもみんなで一緒に『SDガンダム』を盛り上げていきましょう。目標は「煌極舞創」で100体ずらっと並べること!
――その100体のラインナップはファンにとってはたまらないものになりそうですね。
そうです! 令和の時代に「闇騎士」や「レッドランダー」が立体化されてゲームセンターなどで並ぶんですよ。シリーズが続くようであれば、円卓の騎士を揃えることや、マイナーなキャラクターを立体化することも夢じゃありません!
――個人的にはスーパーファミコンのゲームでお世話になった武闘家・ネモを作ってほしいです!
いいですね! 本当にそこまで突っ込めるかもしれないと期待が持てるシリーズであることは、声を大にして言いたいですね。私は売れ続ける限り、そして皆様が手に取ってくださる限り、このシリーズを作り続けます!
ファンにはたまらないラインナップが待ち遠しい!「SDガンダム 煌極舞創」シリーズ
宮内氏の熱いSDガンダム愛、そして新シリーズ「SDガンダム 煌極舞創」の魅力が伝わってきた本インタビュー。
6月には、現在登場している「SDガンダム 煌極舞創 闇騎士ガンダムMk-Ⅱ」の別バージョン「SDガンダム 煌極舞創 闇騎士ガンダムMk-Ⅱ【円卓の騎士】」、7月には「SDガンダム 煌極舞創 スペリオルドラゴン」の別バージョン「SDガンダム 煌極舞創 スペリオルドラゴン【光の騎士】」が登場予定だ。
また9月には新キャラクターとして、宮内氏にとっての神様的存在である「SDガンダム 煌極舞創 神竜士レッドランダー」が登場する。
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細部までこだわられた精巧な作り、子どもの頃の憧れを呼び覚ますカッコいいポージング、ファンの心をくすぐるキャラクターたち……宮内氏の熱い思いが凝縮された「SDガンダム 煌極舞創」シリーズを、ぜひゲットしてみては?
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