ユニットコム(パソコン工房)のゲーミングPCブランド「LEVEL∞」からデスクトップモデル「LEVEL-R049-iX7-TASH」がリリースされた。十分なコア数を持つCore i7、最新でパワフルなGeForce RTX 3070を組み合わせた人気の構成で、筐体はLEVEL∞定番のミドルタワー。R-Classに属する製品だ。

  • LEVEL-R049-iX7-TASH

税別19万円台のズバ抜けたコスパはパーツ選択にあり

CPUはIntel Core i7-10700。第10世代Coreで8コア16スレッド、定格クロックは2.9GHzでターボブースト時の最大クロックが4.8GHz(マックス・テクノロジー3.0時)といったスペックだ。8コアあれば最新ゲームが要求するスペックを、余裕を持って満たすことができ、「K」が付くモデルよりは低いクロックだがブースト時のクロックは十分に高い。一方でTDPが65Wと低いため、冷却に必要なスペックが緩く静音性にも期待できる。

  • 第10世代Coreのi7、TDP 65Wモデルを採用

CPUクーラーはBTOパソコンではよく目にするトップフロー型の小型のものだが、TDPが低いCPUとの組み合わせによって、100%負荷にでもならなければ十分な静音性だ。

  • 小型のCPUクーラーだがTDPを抑えたCPUとの組み合わせで静か

グラフィックスカードはGeForce RTX 3070。RTX 30シリーズは前世代RTX 20シリーズから大幅に性能が向上した。特にRTコア性能が向上し、DLSSによってリアルタイムレイトレーシングが現実的なフレームレートで楽しめるようになったのが大きい。GeForce RTX 3070はCUDAコア数が5888基、ブーストクロックが1.73GHz、メモリがGDDR6で8GBといったスペック。およそフルHD超、2,560×1,440ドット(WQHD)で高画質設定プレイを可能とするパフォーマンスレンジにあるグラフィックスカードだ。

  • 高性能GeForce RTX 3070を採用

試用機に搭載されていたのは、デュアルファンのオリジナルクーラーモデル。一般的にシングルファンモデルや、ブロアー式ファンのリファレンスデザインモデルよりも静かだ。プレイ中はゲーミングPCなりの動作音にとどまり、深夜帯でもそこまで気になることはなかった。特に、アイドル時はかなり静かだった。

  • 大口径ファンを搭載したショート基板モデルを搭載。ただしRTX 30シリーズが入手困難な現在、実際の販売モデルで同じグラフィックスカードかどうかはわからない

また、コスト面でもう一つポイントとなるのがストレージだ。パフォーマンスを求めるゲーミングPCではM.2 NVMe SSDを標準採用するものも多いが、本機はSerial ATA SSDを採用している。M.2 NVMe SSDよりSerial ATA SSDは安価。一方、主にシーケンシャルリード性能で語られる転送速度はM.2 NVMe SSDの場合、5GB/s超からコスパ重視のモデルで2GB/s前後。対してSerial ATA SSDは600MB/sというインタフェースの上限がある。その差は4~8倍もあるが、ではゲームでその4~8倍速いかといえばそうでもない。ゲームでは主にランダムアクセス性能が重要で、その部分の性能差は、あっても2倍程度である。

  • システムドライブのSSDは2.5型のSATA SSDという選択

もちろんM.2 NVMe SSDの速さは魅力的だ。BTOパソコンなので予算に余裕があればカスタマイズするのもいい。一方、SSDは比較的換装が容易なパーツなので、まずは初期投資を抑えて、余裕が生まれたところで追加や換装するという選択肢もありだ。パソコンの保証は購入時の構成のみとなるが、追加や換装で保証が切れるということはないようだ。心配であれば店舗に相談するのもよいだろう。(※追加や換装による物理破損や追加が明らかな原因である故障は保証対象外)

  • SSD+HDDの組み合わせで性能を落とさずに価格を抑えている

また、安価なSerial ATA SSDで容量を480GBにしている点もポイントだ。128GBや256GBならさらに安くはなるが、ゲーミングPCであれば480GBは欲しいところ。加えて、本機はデータドライブとして2TBのHDDも標準搭載している。HDDはSSDのように高速ではないが、大容量データの保存に最適だ。

  • 膨大なゲームライブラリを低コストで構築できるデータドライブ用HDD

メモリはDDR4-2666で16GB(8GB×2)。現在の標準的な容量で、速度的に一つ古い規格とすることで価格を抑えているが、これもBTO可能なパーツ、換装が容易なパーツなので予算やプランに合わせて検討してもよい。

  • メモリは16GB(8GB×2)。試用機はDDR4-3200を搭載していたが、標準構成はDDR4-2666だ

人気のブラック/レッド筐体は拡張性でも満足

これらのパーツを収める筐体は、LEVEL∞の定番であるブラックをベースにレッドをアクセントとしたミドルタワーケースだ。ここ数年このデザインが採用されており、同ブランドの顔となっている。シンプルかつフラットなデザインだが、フロントパネルの5インチベイ部分をアシンメトリ(左右非対称)とし、赤く縁取ることでアクセントにしている。

  • 約W190×D477×H432mmのミドルタワー筐体

5インチベイにはDVDスーパーマルチドライブを標準搭載し、フロント上部右寄りに3つのUSB端子やオーディオ入出力端子、その角の部分に電源ボタンを配置。ミドルタワーの高さも相まって、机の下に収めると電源のON/OFFやUSBフラッシュメモリなどUSB機器の着脱、光学メディアの出し入れなどが、ストレスなくスムーズに行えるなど機能性も高い。

  • ブラックに赤い縁取りのアシンメトリデザイン

側面もスチールパネルで、左側面には吸気口が設けられている。吸気口はフロントパネルの両側面にもあり、前面吸気+側面吸気、背面排気といったレイアウトだ。

  • 両側面。左側面(左)にはグラフィックスカード冷却用の吸気口を設けている

ミドルタワーなので内部の空間は広い。そしてフロント5インチベイからも明らかなようにトラディショナルなデザインが特徴だ。フロントパネル裏には5インチ/3.5インチシャドーベイを豊富に備え、HDDや2.5型SSDの拡張性に優れている。グラフィックスカード搭載部分はシャドーベイがなく、標準構成では比較的短めのGeForce RTX 3070カードを搭載しているが、のちに上位のグレードのグラフィックスカードに換装するようなことがあっても十分に対応可能。また、電源は昨今のトレンドといっていい底面配置で重心を下げている。

マザーボードはATXフォームファクターを採用。本体価格を抑えつつも、より安価なmicroATXではなく通常ATXマザーボードを装備する点は好感が持てる。なお、グラフィックスカード装着済みでもPCI Express x16×1およびPCI Express x1×3が利用可能となっている。また、ストレージではM.2スロット×2が空いた状態なので、この部分へM.2 SSDの追加も可能だ。

※購入時のロットにより、PCI Express x1の空きがx2になる可能性もございます

  • 内部は広く拡張性、メンテナンス性に優れる筐体

ATX対応のミドルタワーなので、拡張カードスロットにも余裕がある。自作PCベースのBTOパソコンはこの拡張性が魅力だ。取り扱うデータ量に応じてSSD/HDDを追加し、オーディオやビデオなどの入出力も拡張カードを搭載することによって実現していける。実際、ゲーミングPCは基本的に高性能なので、クリエイティブ業務の大半をカバーできる。家庭でもホームビデオの編集、家族写真の現像からストックをしたい方、あるいは配信をしてみたい方にとって、さまざまなシーンで処理時間を短縮可能。つまり、自由時間、家族との時間を大切にする方にはゲーミングPCの性能が有効だ。

  • ATXマザーボードなので拡張スロットにも余裕あり。背面ファンは12cm角サイズ

メインストリームゲーマーのニーズを満たす高解像度でも、キレイ&快適プレイ!

最後にベンチマークソフトで「LEVEL-R049-iX7-TASH」のパフォーマンスを計測した。今回は「PCMark 10」「CINEBENCH R23」「3DMark」「Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands」「Tom Clancy's Rainbow Six Siege」「CrystalDiskMark」のスコアを紹介する。

PCMark 10のOverallは9000点台。特に高いのはゲーミングであるが、コンテンツ制作のDigital Content Creationシナリオで10000点を超えているところも見逃せない。また、ホーム用途のOverallも10000点弱、ビジネス用途のProductivityも8000点半ばと全般的に高いスコアだ。基本的にどのような用途であっても高性能。ゲームはもちろんだがホーム、ビジネス、コンテンツ制作でも、ノートPC型の高性能PCと比べて2割以上スコアが高いことから、処理時間の短縮といった快適さという点でデスクトップのゲーミングPCは費用対効果が高い。

PCMark 10 Extended
Overall 9080
Essentials 9790
App start-up 13654
Video Conferencing 7485
Web Browsing 9182
Productivity 8443
Spreadsheets 9982
Writing 7142
Digital Content Creation 10561
Photo Editing 13678
Rendering and Visualization 15194
Video Encoding 5669
Gaming 21050
Graphics 33633
Physics 23971
Combined 9040

CINEBENCH R23が示すとおり、Core i7-10700のパフォーマンスは現在のゲーミング用途を十分な余裕を持って対応できる。マルチスレッド側はよりコア数の多いCPUがある点を考慮する必要があるものの、そうした余裕はゲーム+αの同時利用で必要となるもので、目の前のゲームを楽しむという用途ではCore i7-10700でカバー可能だ。また、シングルスレッドスコアが1000点を超えており、日常の用途に多いシングルスレッドアプリケーションでの処理も、好レスポンスが期待できる。

CINEBENCH R23
Multi Core 9928
Single Core 1258

3DMarkでは、フルHDの場合、DirectX 11テストのFire Strike、DirectX 12テストのTime Spyともに10000点という指標を余裕でクリアする。DirectX 11のFire StrikeはWQHDのExtremeでも10000点台半ばだ。4Kになると10000点を下回るが、例えばDirectX 11ベースで比較的軽量なタイトルであれば、60fpsをクリアできるスコアに相当する。

3DMark
Time Spy Extreme 6077
Time Spy 12365
Port Royal(レイトレーシング) 8035
Fire Strike Ultra(4K) 8566
Fire Strike Extreme(WQHD) 15771
Fire Strike(FHD) 26080

ゲームテストは、Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsが比較的処理の重いタイトル、Tom Clancy's Rainbow Six Siegeが比較的軽量なタイトルだ。本機は、重めのタイトルでもフルHD~WQHDで60fps超を見込め、軽量タイトルでは144Hzやそれ以上の高リフレッシュレートのゲーミングディスプレイとの組み合わせで、非常に滑らかな描画を実現できる。eスポーツに興味のある方にもオススメだ。

Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands
2,560×1,440ドット、ウルトラ 65.98fps
1,920×1,080ドット、ウルトラ 78.64fps
Tom Clancy's Rainbow Six Siege(Vulcan)
3,840×2,160ドット、最高 215fps
2,560×1,440ドット、最高 379fps

ストレージの転送速度を測るCrystalDiskMarkは、冒頭で触れた「コスパの鍵」のとおり、数値自体はさほどインパクトのあるものではない。ただしシーケンシャルリードが500MB/s台でも十分なレスポンスを得られているのは、ランダムアクセス性能が比較的いいところがポイントだろう。リード/ライトとも4K Q32T1では300~200MB/s台、4K Q1T1ではリードが37MB/s、ライトが95MB/sといった結果なので、高速なNVMe SSDと比べてもほとんど体感差を感じられない程度だ。

CrystalDiskMark 8.0.1(CドライブSATA SSD)
Sequential Read Q8T1 561.18MB/s
Sequential Read Q1T1 532.3MB/s
Random Read 4K Q32T1 310.06MB/s
Random Read 4K Q1T1 37MB/s
Sequential Write Q8T1 372.77MB/s
Sequential Write Q1T1 372.7MB/s
Random Write 4K Q32T1 234.15MB/s
Random Write 4K Q1T1 95MB/s
CrystalDiskMark 8.0.1(DドライブSATA HDD)
Sequential Read Q8T1 232.72MB/s
Sequential Read Q1T1 231.63MB/s
Random Read 4K Q32T1 2.18MB/s
Random Read 4K Q1T1 0.78MB/s
Sequential Write Q8T1 222.02MB/s
Sequential Write Q1T1 226.87MB/s
Random Write 4K Q32T1 1.62MB/s
Random Write 4K Q1T1 1.59MB/s

今、欲しいゲーミングPC。グラフィックスカード入手が至難の時代の神コスパ

LEVEL-R049-iX7-TASHは、グラフィックスカードの価格が高騰する中でもコスパが光る製品といえるだろう。スペックを抑える方向性ではあるが、フルHD~WQHDというGeForce RTX 3070のゲーミング環境ターゲットで、十分なフレームレートを確保し、レスポンスの面でも満足が得られる性能だった。そしてメモリやストレージといったところは換装も簡単。BTOカスタマイズというプランもある。PCパーツとその性能を熟知したユニットコム(パソコン工房)ならではの、今の時代に即したモデルといえるだろう。

今現在、市場からグラフィックスカードが姿を消し、特に人気のGeForce RTX 3070は入手が非常に困難な状況だ。その影響もあってか執筆時点でLEVEL-R049-iX7-TASHも在庫なしの状態。GeForce RTX 3070自体の価格も高騰しており、一方で本機はパーツ構成の工夫で価格上昇を最小限に抑えている。もしゲーミングPCをお探しでお見かけの際に在庫が復活していたら「即決」が求められるモデルといえるだろう。

※ここで紹介した各パーツは、今回試用した機種のものです。出荷時にメーカー、型番などが変わる可能性もあります。ご了承ください。

標準スペック

メーカー ユニットコム
型番 LEVEL-R049-iX7-TASH
CPU Intel Core i7-10700
メモリ 16GB DDR4-2666 DIMM(PC4-21300)
SSD 480GB(Serial ATA)
HDD 2TB
チップセット Intel Z490 Express
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ
グラフィックス NVIDIA GeForce RTX 3070
OS Windows 10 Home 64ビット
LAN ギガビット(10/100/1000)LAN
インタフェース USB 3.1×2(Type-A×1、Type-C×1)、
USB 3.0×5(上面×1、背面×4)、USB 2.0×2(上面×2)
サイズ 約W190×D477×H432mm(※最大突起物除く)
ディスプレイ
価格 198,880円(税別)

[PR]提供:ユニットコム