サードウェーブから、クリエイター向け15.6型ノートPC「raytrek(レイトレック)G5」が登場した。税抜で10万円を切るリーズナブルな価格でありながら高性能なCPUとグラフィックスを搭載しており、写真現像や動画編集、イラスト制作など、幅広いクリエイティブワークに活用することができる。今回、その実機を試すことができたので、外観や使用感、パフォーマンスなどを詳しく紹介していこう。
サードウェーブの「raytrek」は、マンガ・イラスト制作や映像制作、3DCGなどの創作活動を行うクリエイター向けに展開されているPCブランド。タワー型デスクトップPCからタブレットまで多彩な製品が用意されており、用途に合わせて最適な1台をチョイスすることができる。
そのうち幅広いユーザーに人気があるのが15.6インチの液晶ディスプレイを搭載したスタンダードノートPCだ。持ち運びも可能なサイズのボディに、大きく見やすい画面やデスクトップ機と比べても遜色ない性能を凝縮しており、場所を選ばず快適にクリエイティブワークを行うことができる。今回紹介する「raytrek G5」は、そのラインナップの中でも性能と価格のバランスに優れた高コスパモデルだ。
本体サイズはW359.8mm×D244.3mm×H25.8mmで、質量は約2.1kg。左右のベゼルが狭い狭額縁デザインを採用したことで本体幅が抑えられており、空きスペースがあまりない机の上でも設置しやすく、いざとなれば出先に持ち運んで使用することもできるサイズ感を実現している。
ボディカラーは黒が基調のため引き締まって見え、スペック値よりもコンパクトな印象を受ける。外装はマットな質感で手触りがよく、上品で落ち着いた佇まい。天板が完全にフラットでロゴがあしらわれておらず、シンプルで洗練されているのも好印象を抱いた部分だ。
【担当者より開発小話】 |
広色域液晶やバックライトキーボードを搭載
クリエイター向けを謳うだけあって、「raytrek G5」の液晶はノートPCの内蔵ディスプレイとしては非常に高品質。色域がコンピューターの標準的な色域であるsRGBの91%をカバーしており、写真や映像を正確な色で表示することができる。
実際、さまざまな写真や映像を表示して見たが、sRGBカバー率が70%台の一般的なノートPCだとくすんだような色に見える場合でも、本製品だと本来の鮮やかさに近い色で再現された。クライアントに納品する写真の現像をする際も、画面上の色と実際の色の差が小さいため作業が進めやすかった。
液晶の解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)で、ノングレアパネルが採用されているため、日中の屋外や明るい照明の下などでも映り込みが少なく見やすいのも評価できる部分。視野角も広く、真横に近い角度から覗き込んでも色味や輝度の変化はほとんど感じられなかった。
キーボードはテンキーを標準で搭載しており、フォトレタッチや映像編集の際にパラメーターの数値を入力しやすいのがうれしい。キーピッチは実測で約19mm、キーストロークもある程度確保されているためタッチタイピングしやすく、ミスタイプが起きにくい印象だった。
ちなみに、キーボードにはRGBバックライトが搭載されており、好みの色で光らせることができる。単色だけでなく一定間隔で色を変化させることも可能で、PCゲームなどを楽しむ際にも活躍しそうだ。
電源スイッチの左横には動作モードをOfficeとGameにワンタッチで切り替えられるスイッチも搭載されている。モードをGameにすると冷却ファンの回転数がアップし、パフォーマンスが落ちにくくなる仕組み。プリインストールされているアプリを使えば、Officeモードの際もファンの回転数(音)を細かく調節することができる。
ノートPCの場合、静かな場所で使いたい場合もあれば、パフォーマンス優先で使いたい場合もあるので、使用する場所や作業内容に合わせてファンの動作をカスタマイズできるのは嬉しいポイントだ。
インタフェースは、本体背面にMini Display Port×2、HDMI 2.0、USB3.2 Gen.1 Type-C、電源入力が、本体左側面にケンジントンロック、LAN、USB2.0、マイク/イヤホンジャックが、本体右側面にSDカードリーダーとUSB 3.2 Gen.1 Type-A×2が搭載されている。映像出力端子が豊富でマルチディスプレイ環境を構築しやすいのも、クリエイター向けと言えるだろう。
【担当者より開発小話】 |
高性能CPUとグラフィックスを搭載
「raytrek G5」はクリエイターをターゲットにした製品だけあって、CPUやグラフィックスの性能の高さも大きな特徴になっている。たとえば、CPUはIntel Coreプロセッサーが採用されているが、薄型ノートPC向けのUシリーズではなく、ハイパフォーマンスなHシリーズが搭載されている。また、グラフィックスはCPU内蔵タイプだけではなく、独立型のNVIDIA GeForce GTX 1650 Tiも装備されている。ストレージは高速なNVMe SSDだ。
試用機の主なスペック
型番 | raytrek G5 |
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CPU | Intel Core i5-10300H (2.50GHz-4.50GHz/4コア/8スレッド) |
グラフィックス | NVIDIA GeForce GTX 1650 Ti 4GB + Intel UHDグラフィックス |
メモリ | 16GB DDR4 SO-DIMM (PC4-21300/8GBx2/2チャネル) |
ストレージ | 500GB NVMe SSD |
その性能をチェックするため、まず「CINEBENCH R20」、「PCMARK 10」、「3DMARK」、「CrystalDiskMark」を実施した。
CINEBENCH R20 | |
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CPU(マルチコア) | 2235pts |
CPU(シングルコア) | 463pts |
PCMARK 10 | |
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総合スコア | 4633 |
Essentials | 8842 |
Productivity | 8842 |
Digital Content Creation | 3826 |
3DMARK(Graphics score) | |
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Time Spy | 3568 |
Fire Strike Ultra | 1937 |
Fire Strike | 9768 |
Sky Diver | 32891 |
CrystalDiskMark(1TB NVMe SSD) | |
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1MiB Q8T1シーケンシャルリード | 2489.52MB/s |
1MiB Q8T1シーケンシャルライト | 1836.89MB/s |
1MiB Q1T1シーケンシャルリード | 1453.40MB/s |
1MiB Q1T1シーケンシャルライト | 1167.94MB/s |
4KiB Q32T16ランダムリード | 1303.77MB/s |
4KiB Q32T16ランダムライト | 1190.62MB/s |
4KiB Q1T1ランダムリード | 48.70MB/s |
4KiB Q1T1ランダムライト | 120.62MB/s |
HシリーズのCore iプロセッサーと、ミドルレンジのゲーミングノートPCに採用されることの多いNVIDIA GeForce GTX 1650 Tiを搭載しているだけあって、CPU、グラフィックスともに非常に高いパフォーマンスだ。普段使いはもちろんだが、写真編集や映像編集、ある程度負荷の高いPCゲームも快適に動作する性能を持っていると言えそうだ。
そこで、RAW現像や映像編集などのクリエイティブワークでどれくらい性能を発揮できるかもテストしてみた。まず、同じ被写体を20M画素(5,184×3,888ピクセル)と70M80M画素(10,368×7,776ピクセル)でそれぞれ20枚撮影し、写真現像ソフトのAdobe Lightroom Classic CCで一括して現像してみた。
●Lightroomでの現像時間比較 | |
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画素数 | 現像時間 |
20M画素 | 27秒12 |
70M80M画素 | 78秒84 |
Sky Diver | 32891 |
70M80MのRAW画像でも1枚あたりわずか4秒程度で現像できることがわかる。20Mなら1枚あたり1.4秒程度。これくらい速いと、JPEGを扱っているのとあまり変わらない感覚でRAW画像をハンドリングできる。
続いてTMPGEnc Video Mastering Works 7で、5分10秒の4K動画(2160p、H.264/AVC)を、解像度はそのままH.265/HEVCに書き出してみた。その際、エンコーダーを標準のx265(ソフトウェアエンコーダー)と、Intel Quick Sync Video(CPU内蔵エンコーダー)、NVENC(NVIDIA製GPU内蔵エンコーダー)に変更し、それぞれ変換が完了するまでの時間を計測している。
●TMPGEnc Video Mastering Works 7での処理速度 | |
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x265 | 74分24秒 |
Quick Sync Video | 14分51秒 |
NVENC | 4分00秒 |
結果を見てわかるように、NVIDIA製GPU内蔵のハードウェアエンコーダー「NVENC」を有効にするとx265のときよりエンコード速度が18倍以上になる。また、Quick Sync Videoを有効にしたときと比べてもかなり3倍以上高速。このことからも、本機は動画編集などのクリエイティブワークには特に力強い味方になってくれると言えそうだ。
【担当者から読者に一言】 |
最後に、今回検証した「raytrek G5」の基本仕様を紹介しておく。直販サイトではメモリーやストレージなどの構成をカスタマイズすることも可能なので、用途に合わせて変更し、ぜひ自分好みの1台を手に入れて見てほしい。
標準スペック
メーカー | サードウェーブ |
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モデル名 | raytrek G5 |
CPU | Intel Core i5-10300H |
メモリ | 16GB DDR4 SO-DIMM |
SSD | 500GB NVMe SSD |
セカンダリHHD/SSD | なし(カスタマイズで選択可能) |
光学ドライブ | - |
グラフィックス | NVIDIA GeForce GTX 1650 Ti 4GB GDDR6 + Intel UHDグラフィックス |
OS | Windows 10 Home 64ビット |
LAN | ギガビットLANポート |
インタフェース | 背面:Mini Display Port×2、HDMI 2.0、USB3.2 Gen.1 Type-C、電源入力 左側面:ケンジントンロック、LAN、USB2.0、マイク/イヤホンジャック 右側面:SDカードリーダー、USB 3.2 Gen.1 Type-A×2 |
サイズ | W359.8×D244.3×H25.8mm |
重量 | 約2.1g |
価格 | 89,980円(税抜)~ |
[PR]提供:サードウェーブ