ラグジュアリーホテルは、日常とは違う高級感や贅沢を味わうことができる施設だ。人々はその夢のような空間に居ることに喜びを感じ、満足を得て日常へと戻っていく。一般的にはそのように捉える向きが多いだろう。
しかし、東京都港区の一角にそびえる「メズム東京、オートグラフ コレクション」では、全265室に電子ピアノ「Privia PX-S1000」を設置するなど、他のホテルとは一線を画すギミックを用意。高級感や贅沢の一歩先にある“人生の豊かさ”を感じさせてくれるのが特徴だ。
今回は、そのような取り組みを行う理由や、このホテルが目指すビジョンについて、お話を伺ってきたので紹介しよう。
・音楽で人生を豊かにしてほしい【メズム東京 総支配人 生沼氏】
・メズム東京+Priviaを体験【株式会社阪神コンテンツリンク 長﨑氏】
・チェックアウト時のうれしい一言【メズム東京 総支配人 生沼氏】
人々を魅了(mesmerize)するホテル
「メズム東京、オートグラフ コレクション(以降、メズム東京)」は、絶えず進化を続ける東京を象徴するアーバンラグジュアリーホテルとして2020年4月27日に開業。
「『人々の五感を魅了してインスピレーションを創出できるようなホテルにしたい』という思いが詰まった施設です」と語るのはメズム東京 総支配人の生沼 久氏(以降、生沼氏)だ。
ラグジュアリーというと一般的には、いかに豪華であるかといったスペックで語られることがほとんどだ。しかし、メズム東京では単なるスペックだけではなく、「人生を豊かにするためのひとときを届けたい」という思いを込めたのだという。
「様々なこだわりを詰め込んで、時間と労力をかけて私たち自身が納得できるものをお届けできるよう尽力してきました。それに気づいていただけたお客様には、ホテルのブランドプロミスである『五感を魅了する』体験を通した新しいインスピレーションを感じていただけると思います」と誇らしげな笑顔を見せる生沼氏。
高い天井が開放的なロビーフロアの空間デザインは落ち着きとシックな装いを見せ、東京湾に面したウォーターフロントにあるという立地と、波のように常に変わりゆく東京の躍動感とシンクロするという意味合いのホテルコンセプト「TOKYO WAVES」から、「波」や「水面」をイメージしたオブジェやアートワークがロビーに華を添えている。ホテルに着いた瞬間からメズム東京のコンセプトを表現したギミックが宿泊客を楽しませてくれるのだ。
チェックインが終わり、客室に通されるまでの案内時にタレント(※ホテルの従業員をメズム東京では「タレント」と呼称する)が施設のこだわりのポイントを解説してくれ、そのひとつひとつに感銘を受ける。目に入るものすべてが意味を持っているのがとても印象的だ。
「タレントがお客様をご案内できるのは短い時間ですから、すべてのものをご説明できないのが残念です。お客様自身が滞在中に気づいたことをタレントとの会話の中で答え合わせをしていただけるとうれしいですね」と生沼氏は話す。
音楽で人生を豊かにしてほしい
幼少期から青年期を通じて、音楽活動をしていたという生沼氏。そのなかで、音楽が人種も世代も越え、多くのことを学ばせてくれるということを体験してきた。
「子供の頃はバイオリンとピアノ、大学時代になるとベースに夢中になっていました。海外で演奏したこともあるのですが、見知らぬ日本人でも演奏をすると拍手をしてくれました。言葉を交わさなくても伝わるものがあることを体験し、音楽のすばらしさを感じましたね」と生沼氏は当時を振り返る。
そうした経験から、生沼氏はホテルの利用客にも音楽のすばらしさを体感して欲しいと、すべての部屋に楽器を置くことを考えたのだという。
「何の楽器にしようかと考えたときに、やはり誰しも一度は触れたことがあるピアノがいいのではないかと思いました。それで都内の楽器店を見て回りましたが、当ホテルの部屋とのサイズ感やインテリアに合うようなデザインのピアノがなかなか見つかりませんでした。そんな時にタイミングよくリリースされたのが、カシオのPrivia PX-S1000でした」と語る生沼氏。
Priviaは「ピアノ」という存在を身近にするため、音色や鍵盤のタッチなどの機能はもちろん、サイズ感もコンパクトで、インテリアにも馴染むようにデザインされている
「私がピアノを選定するにあたって、最初にこだわったのが88鍵であること。お部屋には一般の方だけでなく、プロのミュージシャンも宿泊されます。そのときにミニキーボードが置いてあるだけでは触っていただけません。音質や鍵盤の打感などもとても重要です。Priviaはまさにその点でもぴったりのプロダクトでしたね」という生沼氏。
ただ、意外にもホテルの内装を作り始めた当時には楽器を置くというアイデアはなかったそうだ。
「設計当初の予定にはなかったものなので、デザイナーもインテリアと合うか不安がっていました。しかし、実際に部屋に設置したPriviaを見たとき、『これはぴったりだ』とデザイナーも喜んでいました」と生沼氏。
ブラックを基調としたコンパクトスリムなボディに、必要最小限のボタン類とインジケーターのみというシンプルな造りは、メズム東京のインテリアに溶け込んでいる。
「東京は伝統と革新が融合する街というイメージがあります。当ホテルのロビーにはヴィンテージのグランドピアノがあり、部屋には最新技術を盛り込んだPriviaがある。そういった意味でも、私がメズム東京でやりたかったことを体現してくれると思います」と生沼氏は語る。
例えば、ピアノが弾けない人でもPriviaは音質の良いBluetoothスピーカーとして使うことや、自動演奏機能によって部屋のBGMとしても利用できる。良質な音源を持つデジタル鍵盤楽器であるだけでなく、最先端の機能を盛り込んだ先進的な製品でもあるのだ。
「楽しみ方の幅が広いので、プロの方はもちろん初めてピアノに触れる人まで、楽器という存在に触れるにはちょうどよい製品だと思います」と生沼氏は語る。
メズム東京+Priviaを体験
こだわりが詰まったメズム東京について、宿泊ゲストはどのように感じるのだろう。今回は特別に株式会社阪神コンテンツリンクが運営するライブレストラン「ビルボードライブ」の企画統括をされている長﨑良太氏(以降、長﨑氏)に宿泊者目線でお話を伺った。
「宿泊して改めて、メズム東京は魅力が詰まったホテルだと感じましたね。1階のエントランスから通されて16階のロビーへ向かう導線、ロビー空間に入るまでの景色の変化を見ただけで心が躍りました。ラグジュアリーなだけでなく、細かなところにまでギミックがあって発見するたびにわくわくする。インスピレーションを刺激してくれるホテルだと思います」と長﨑氏は絶賛する。
ビルボードの運営という仕事柄、プロミュージシャンと行動することも多い長﨑氏からみて、Privia PX-S1000はどのように映っているのだろう。
「ミュージシャンは楽器にこだわりがあって、自分が再現したい音を大切にする傾向があります。ですから、自分が用意した楽器以外はあまり使いたがらないものです。カシオさんとはご縁があって、実はビルボードライブの楽屋にPrivia PX-S1000が置いてあるのですが、そんな彼らも気になるのか空いた時間によく弾いています。とても評判がよくて、どんな楽器なのか、メーカーは?とよく聞かれますよ」と長﨑氏は笑顔で語る。
当然のことだが、長﨑氏は音楽を深く知る人物でもある。多くのライブをプロデュースしてきた経験からも歴史を作ってきたいわゆる名器と呼ばれる楽器にも明るい。
「音楽の歴史の中では、それでしか出せない音を持つ名器があります。近年の電子楽器はどんどん新作が出てアップデートされていきますが、Priviaはこれまでの名器が持つような歴史に残る素養があると感じています。もしかしたら、10年後にもっと人気になっているかもしれませんね」と長﨑氏。
そんな長﨑氏に、メズム東京の一室で実際にPriviaがある時間を過ごしてみて、感じた印象を伺ってみた。
「はじめて部屋に入った時に、まずピアノがあることに驚くと思うんです。ご案内の際に事前に説明を聞いていたのですが、それでも衝撃はありましたね。それにPriviaのデザインも部屋に合わせたのかと思いたくなるぐらいインテリアと調和がとれていて、プロダクトデザイン的な優秀さや機能美を感じさせてくれました」と長﨑氏。
メズム東京の「人々の五感を魅了する」というコンセプトがしっかりと伝わっていることが伺える。
続けて、「今回は家族と過ごしましたが、子供がピアノを弾くだけで家族の会話が弾みました。Priviaが部屋にあることで音楽を通じたコミュニケーションが生まれるのだと感じましたね。こうしたサプライズを演出したメズム東京の試みはとても素晴らしいものだと思います」と長﨑氏は語ってくれた。
チェックアウト時のうれしい一言
メズム東京では部屋に設置してある施設案内用のタブレットにPriviaの使い方が登録されている。それを見れば使い方が分かるだけでなく、「さくら さくら」が弾けるようになるまでの動画やクラシックの有名曲がたっぷり入った楽譜なども用意されている。
「はじめてピアノを体験する人が滞在中に曲が弾けるようになるとよいなと思って考えたアイデアです。実は元調律師のタレントが『メズムジングル』というオリジナルのメロディを作ってくれて、全タレントがこれを弾けるようになろうと、従業員食堂に置いてあるPriviaで毎日練習しています」と生沼氏。
タレントは宿泊ゲストを客室に通した際に、Priviaの説明と共に『メズムジングル』を披露することにしているのだという。
「これが好評で、タレントの方が弾いてくれたんです、とお喜びのお客様が大勢いらっしゃいます」と生沼氏は目を細める。
宿泊ゲスト、タレント問わず、音楽に触れることで笑顔を増やすことができるすばらしい取り組みといえる。
また、ゲストの中には子供連れも多いそうだが、滞在中にピアノの楽しさに子供が気づいて音楽教室に通わせるきっかけになった例も多いという。
「ほかにも、長年ピアノを弾いてなかったけど久しぶりに鍵盤に触れてもう一度やりたくなった、というお客様もいらっしゃいました。ミュージシャンの方からも、インスピレーションを受けて作曲できたというお声をいただいたことがあります。Priviaを通じて、音楽に触れ、体験し、感性を豊かにしてもらうきっかけになったようでうれしいですね」と生沼氏は語る。
メズム東京が各部屋に設置したPriviaを通じた音楽との出会いはまだ始まったばかりだ。それにも関わらず、すでに多くの喜びの声が寄せられているのはホテルのコンセプトが十分にゲストに伝わっている証といえるだろう。
「音楽は本当に人を豊かにしてくれるものだと改めて感じています。当ホテルのPriviaが時代を経ても、みなさまに愛されるように大事に育てていきたいと思っています」と生沼氏は語ってくれた。
訪れるゲストに多くの驚きとインスピレーション、そして人生を豊かにしてくれるエッセンスを与えてくれるメズム東京とPrivia。東京に宿泊する際はぜひメズム東京を利用し、この感動を体験していただきたい。
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