皆さんは、荒川の河川敷に溜まるごみがどのくらいあるのかご存知だろうか。
以下の画像はその一部を切り取ったものであるが、なかなかにショッキングな光景となっている。
この実情について、
「荒川でのごみ拾い活動のなかでも、場所によっては千数百袋を拾うこともあります。そこまでやっても、3カ月ほどで回収したごみの3割ほどはまた溜まってしまいます」
そう語るのは、NPO法人 荒川クリーンエイド・フォーラム(以下、荒川CaF)の今村和志(かずゆき)氏だ。
今村 和志(いまむら かずゆき)氏 |
荒川CaFは、「荒川の環境改善を実現し、世の中全体のごみ問題解決のモデル事例にすること」を目指して、活動を行っている。
荒川全域で年間190回程度のごみ拾い活動を精力的に実施。家庭から出される粗大ごみ等も散見されるものの、特に目立つのは包装容器を中心とした「プラスチックごみ」だという。
そんな現状を少しでも改善するために、ユーザーと環境の双方にやさしい製品を目指しカシオ計算機が開発に取り組んだのが、ラベルライター「Lateco(ラテコ)」だ。同製品には、細かい箇所にユーザーの使いやすさとともに、エコ観点での工夫がなされている。(※くわしくは後述)
そこで今回は、荒川CaFの今村氏が感じる荒川の実情と環境改善への取り組みについてお話を伺いつつ、「Lateco」を例に、企業や私達ができるエコ対策について考えて行きたいと思う。
▼荒川クリーンエイド・フォーラムとは?
1994年、当時の建設省荒川下流工事事務所が呼びかけて行った一斉ごみ拾い「荒川クリーンエイド」を発端とし、1997年に市民団体が中心となり結成された任意団体が荒川クリーンエイド・フォーラムだ(1999年NPO法人認証)。「荒川の環境改善を実現し、世の中全体のごみ問題解決のモデル事例にすること」を目指して、河川敷のごみ拾い活動やSDGsを軸とした社員研修等を行っている。海ごみゼロアワード最優秀賞受賞団体(2019年)。詳細はコチラ
ごみ拾い活動を行うなかで今村さんが出会ったプラスチックごみの山。
「企業から出されたごみが特に目立つというわけではありませんが、荒川にはありとあらゆるごみが見つかるといっても過言ではありません。河川敷の土を掘り返してみると河口域付近では細かくなったプラスチックや成形前のレジンペレットが土とほぼ半々に混在する、ひどい状態になっています」
世の中的に家庭レベルの取り組みでは、マイボトルやマイバッグの利用を推進し、ペットボトルやレジ袋の消費を減らそうという取り組みが浸透してきている。
しかし、オフィスから排出されるプラスチックごみについては、まだまだ取り組みの余地がある。
河川ごみや海洋ごみの問題に危機を感じた多くの企業が、荒川のごみ拾い活動に参加しているという。これは企業として社会貢献という側面のほかに、例えば企業内で3R活動を推進しようとした際に「なんのために3Rを実施するのか」という実感を得るための体験機会でもある。
「3R(減らす・Reduce、繰り返し使う・Reuse、再資源化する・Recycle)はなぜやらなければいけないのかと考えた時、まず荒川河川敷で社員の方にごみ拾いに参加してもらうことで、『こんなひどい状況になってしまっているのか』と現場で気づき、3Rの大切さを実感するというストーリーができます。活動が契機となり、その先に繋がることが多いという感想は多くいただきます。まさに、現場・現実・現物です」
カシオ計算機も、社員有志が街中や河川での清掃活動に参加するなど、プラスチックごみ問題の実態について把握を進めてきた。その活動を踏まえた上で、企業としての方針策定を見据えつつ、できることからの取り組みを進めているという。
では、実際にオフィスから排出されるプラスチックごみの削減に効果的な対策は何があるのだろうか。
今村氏:「企業の方と会話をしていると、現在ウォーターステーションの設置が進んでいるというお話をよく聞くようになってきました。産業廃棄物や社員が利用するペットボトルを減らすことに繋がります。
また面白い活動としては、ノベルティを作る時もプラスチックを使用していないものを選択するように意識し、これまでならばプラスチック製のクリアファイルにしていたところを紙製のファイルにしたり、たとえ素材がプラスチックであっても頑丈なものに変更することで繰り返し使えるものにするというような事例もあります」
大きな投資がむずかしい場合も、企業として小さな負担で取り組めるので、社員にも不自由を感じさせない範囲で無駄を削減できる。小さく無駄を省くという取り組みだ。
これと同じく、細かな無駄を省こうという考え方で作られているのが、カシオ計算機のラベルライター「Lateco」だ。
同製品の企画を担当したカシオ計算機 営業本部 国内営業統轄部 コンシューマ企画推進部 電卓文具企画室の尾澤慶子氏はこのように語る。
尾澤氏:「ユーザーヒアリングでは、ラベルライターの余白やカートリッジを捨てるのがもったいないという声が以前からありました。たとえば、『ラベル印刷時に先頭に16mmの余白が出るのがもったいないから、切り取っておいて袋の封をするのに利用している』という話もあったぐらいです。また、テープを収納しているカートリッジ部分を捨てるのがもったいないというのも複数の方から言われました」
ユーザーへのヒアリング時にも多く聞かれた「もったいない精神」に応えるものとして開発されたLatecoでは、印刷部先頭の余白はわずか3mmまで大きく切り詰められ、カートリッジも詰め替え式へと変更されている。
今村氏:「こういう小さな削減は第一歩になります。100か0かというよりは少しずつでもということで、まさにリデザインですね」
実際に今村氏もLatecoユーザーであり、最初の一歩となることを環境の専門家としても評価している。
荒川CaFのごみ拾い活動を始め、ボランティアに参加するのは大切なことで、ウォーターステーションの設置も、消費者としてオフィスからのごみ排出量を減らすことに繋がる。しかし、企業が自社製品自体を刷新し、本業としてプラスチックごみ削減に取り組むのはなかなか難しいことで、Latecoはこれを実現した製品といえるだろう。
Latecoでは余白部分が大幅削減されたことで、カートリッジ1本で作成できるラベル数は増えるはずだ。さらにカートリッジを丸ごと差し替えるのではなく、専用テープアダプターに紙芯に巻いたテープを詰め替える形にしたことで、日常的に排出されるごみは紙芯だけにできている。
尾澤:「従来製品で40本のカートリッジを利用した場合、プラスチックのごみは約1kgになります(18mm幅テープの場合)。これが紙芯だけになったことで約97%のプラスチックごみ削減になりました」
全社的にラベルライターを利用していれば、テープ消費も多くなる。そこから排出されるプラスチックごみが97%削減されるとなれば、非常に大きな効果がある。もちろん、本来ならばカートリッジのプラスチック部分は再生資源にできるはずだ。実際メーカーとしても回収・再生の取り組みは存在する。しかし実際にはあまり有効な手立てになっていないようだ。
尾澤氏:「ユーザーヒアリングでは、そういう仕組みを知らないという声が多くありました。また、製品によってはプラスチックだけでなく金属が使われている部分もあるため、ごみとして出すことが難しいこともあるようです。私たちは便利だから使って欲しいと思って製品を提供しているわけですが、それがごみ問題に直面している状態でした」
そうした悔しい思いを抱え、リサイクルを促すという方法ではなく、根本的にごみの排出量が少ない製品を提供するという形で、メーカーとしてごみ問題に大きく切り込んだ1歩が、Latecoという製品なのだ。
Latecoには、環境対策だけでなく業務効率化に役立つ機能も盛り込まれている。ファイルラベル、インデックスラベル、インデックスカードというオフィスで必要とされるラベルに、それぞれ一般的なフォーマットをあらかじめ本体内部に用意することでラベル作成の手間を大幅に削減。誰でも手早くきれいなラベルが作れるようになっている。
尾澤氏:「ラベルが剥がしづらいという声もありましたが、Latecoではテープ部分だけに切り込みを入れるハーフカットを採用することで剥がしやすくしました。ラベル自体がしっかりした素材になっていますし、かなり手早く作業できるようになっていると思います」
エコの観点だけでなく、作業効率としてもメリットが高い製品。しかし、アピールには苦労する部分もあるという。それは、ラベルライターが壊れづらいものだからだ。
今村氏:「実は私自身、ネームランド(カシオの別モデルのラベルライター)のユーザーでしたが、十数年使ってもぜんぜん壊れないんです。他の市民団体でも20年以上使っているという話も聞きます。買い換えやモデルチェンジのタイミングで環境への配慮ができないかを考えるというのもいいのかもしれません」
買い換えの際に、より効率的に作業できることや環境性能が高いことは意識されるはずだ。しかし、問題なく利用できているものを買い換えようと思い立つのは難しい。特にラベルライターはオフィスであまりにも日常的に利用されており、改革対象だと考えるには小さな変化だ。なかなか意識が向かない部分だろう。
尾澤氏:「今は新規購入を考えた時に目を向けてもらうのが1番ですが、そういう時でなくとも、自分たちの身の回りにある文具で何かできないかを少しだけ考えてもらえると嬉しいですね。ペットボトルやレジ袋を使わないという意識は高まっていますが、まだ文具から出るプラスチックごみの削減というところにまで踏み込めていないと感じています。
皆さんにはぜひ、そこまで踏み込んでいただけたらありがたいですね。私たちも、まずは社内から変えて行こうと考えていろいろな部署のラベルライターをLatecoに切り替えたり、社内のラベルを貼り替える際にはLatecoを積極的に使用したりと活動しています」
日々利用している文具という小さなものを見直す。そうすることでプラスチックごみ対策に貢献するLateco。荒川CaFでは、そうした環境対策力を持った製品を今後の活動の中でアピールしていく考えもあるという。
今村氏:「環境省でもプラスチックスマートという取り組みが進められていますが、そういった活動と共同で、清掃活動と製品をセットで見てもらい使用する良さを感じてもらうという形を考えています」
カシオ計算機としてはこの活動に参加を続けつつ、より多くの人にLatecoを使ってもらうために、認知活動や営業活動を行っていく予定だという。
尾澤氏:「Latecoはプラスチックごみ削減はもちろん、使いやすさの工夫もたくさんあります。書類管理といえばLatecoという感じで広まり、たくさん使っていただけるようになればいいなと考えています」
週末のごみ拾いに参加してみるのもおすすめだが、まずは日常的に使っているラベルライターをLatecoに替えるだけで、目に見えてプラスチックごみが減るはずだ。規模を問わず、あらゆる企業がはじめられる第一歩として、ぜひLatecoに目を向けてみて欲しい。
[PR]提供:カシオ計算機