マンチェスター、ミラノ、バルセロナ、サンパウロ……ヨーロッパや南米では、街全体がサッカークラブ一色の地域は少なくない。チームの強さに関係なく、地域にクラブが根付いているのだ。
日本で1993年に8府県10クラブでスタートしたJリーグも、現在はJ1、J2、J3で合計39都道府県56クラブまで拡大した。地域密着を理念に掲げるJリーグは、サッカーを通じた地域経済への貢献にも力を注いでいるが、ヨーロッパや南米と比べると地域に完全に溶け込んだクラブはまだ少ないのではないだろうか。
そんな中、熱烈に地域連携に取り組んでいるクラブがある。松本山雅FCだ。同チームが目指す「スポーツクラブと地域の新しい関係性」について、松本山雅FCの運営会社社長 神田文之氏と、事業PRパートナーであるquod,LLC (以下、quod)の共同代表 中川雅俊氏に話を聞いてみた。
チームにビジネス色が少ない。サポーターが自分色に染められることが強み
サッカーJ2リーグに所属する松本山雅FCは、1965年に長野県選抜の選手を中心に結成された。選手たちがよく通っていた松本駅前の喫茶店「山雅」がチーム名の由来で、県リーグや北信越リーグといった地域の社会人リーグに所属していた。
チーム発足当初のサポーターは選手の家族がほとんどで小規模だったが、今ではスタジアムの収容率90%を超えるほど熱狂的なサポーターに愛されている。
――松本山雅FCが地域の人々に愛される理由はなんだと思いますか?
地域の社会人リーグを起点とし、親会社のない市民クラブの松本山雅FCには、クラブチーム側からクラブがこうあるべきだという一方的な特徴づけ、いわゆるチーム色を強いることはありません。 |
神田氏が大事にしているのは「サッカークラブと地域の人々、どちらも主役」という想いだ。松本山雅FCを応援してもらえるのは、クラブが地域の人々に向き合うからこそ。この姿勢を大事にすることで、より地域と一体になれるチームをつくりたいと話す。
サッカーで地域が元気になる。その先にあるゴールとは?
スポーツによる地域活性化で、必ずといっていいほど耳にするのが「スポーツを通じて地域を元気に」といった類の言葉だ。しかし、地域が元気になるとは具体的にどういうことなのだろうか。
――松本山雅FCとquodが目指す地域活性化とはなんですか?
チームと地域の盛り上がりだけでなく、産業の潤いと地域へ新しく参加してくれる人をいかに増やすかということでしょうね。松本山雅FCにはそれを実現する可能性があると思うんです。 |
そこまでやらないと、松本山雅FCというクラブ自体も強くなれません。日本にはまだ前例がないけれど、「サッカークラブによって地域を良い方向に変えられる」と伝えていかなければならないと思います。 |
最終的には地域がサッカークラブを強くして、サッカークラブがあることで地域が盛り上がるといった姿を目指していきたいですよね。 |
そのためにも、まずはクラブとして「松本山雅FCは公共財」という共通認識を持たなければなりません。 |
真面目さと面白さが並走するクラブに
――これから松本山雅FCとquodはどのような関わり方をしていくのでしょうか?
良くも悪くも松本山雅FCは真面目にやってきたので、quodさんに面白みを加えてもらいたいです。 |
僕たちの取り組みがすべて成功する必要はないと思っています。松本山雅FCの強みは、チャレンジできる環境があること。それがほかのサッカークラブや、ほかのプロスポーツチームがチャレンジするためのヒントや、きっかけになればと考えています。 |
我々が目指すのは、ヨーロッパや南米のようにサッカークラブが地域に溶け込んだ姿。 |
松本山雅FCとquodの取り組みは、サッカークラブと地域だけの取り組みではなく、日本全国のプロスポーツチームと地域の新しい関係性を築くための礎となるプロジェクトなのかもしれない。
[PR]提供:🄫松本山雅FC