ヴォーカル・竹中雄大の伸びのあるハイトーンヴォイスと、メロディアスで力強いサウンドが特徴の5人組バンド「Novelbright」

2013年大阪にてオリジナルメンバーで結成後、メンバーチェンジを経て、地道に活動を続けていたが、昨年7月、「崖っぷちどチクショーTOUR」と題した路上ライブツアーを行ったところ、その動画が瞬く間にSNSで拡散。若い世代を中心に今、最も注目されているアーティストだ。

今年に入ってテレビの音楽番組でネクストブレイク1位として紹介されたり、さらにはSpotifyが注目する新進アーティスト「Early Noise 2020」にセレクトされるなど、新しい時代の担い手として大ブレイク目前の彼らに、今の心境とその視線の先にある未来を尋ねた。

  • ■Novelbright
    Vo.雄大の心を震わす圧倒的な歌声、1度聴いたら忘れられない確かなメロディワーク、細部まで練りこまれた楽曲アレンジに定評がある、大阪出身5人組ロックバンド。左から、Gt.沖聡次郎、Dr.ねぎ、Vo.竹中雄大、Ba.圭吾、Gt.山田海斗。
    ▼公式サイト:http://novelbright.net/
    ※記事後半では彼らのオリジナルプレイリストも紹介中!

インデックス

分たちはずっと変わらない

――去年の1月に圭吾さんが加入して現体制となりましたが、バンドとしてこの1年を振り返ってみると、かなりのスピード感だったのではないでしょうか。

ホントにすごい勢いで、僕らも何が何だかわからないです。とにかくこの流れについていかないとなって思っています。


僕は中学から、他のメンバーも高校くらいからバンドをやっていたこともあり、長い下積みがやっと報われる時が来たなという感じはありますね。これから先はその勢いを止めずに行きたいです。


ついこの間までバンド活動よりアルバイトをしてる時間の方が長かったので、アーティストとしてやっとスタートラインに立てました。ここから音楽に専念してもっともっと一人前になれるよう努力をしていきたいですね。


僕らは関西を中心にずっと地下活動をしてたわけですけど(笑)、地上というか路上に出て、ようやく色々な人に見つけてもらえた1年でしたね。数カ月前に東京に出てきて、スピード感について行こうかなぁって……。


「行こうかなぁ」って……もっと気合い入れろ(笑)。


ハハハ。そう思いながら練習と楽曲制作に明け暮れる日々です。


出来ることが増えて、色々な目線で物事を見られるようになりましたが、それでも気持ちだったり、やろうとしていることは昔から全然変わってなくて。ずっとバンドを始めたてのテンションですね。


いまだに楽屋でモノマネとか小中学生が喜ぶようなしょーもない下ネタで爆笑してます。


でも、そういう感じで僕ら一生やっていきたいです(笑)。


楽で初めて“対価”がついた

――さっき(インタビューが始まる前)も思いましたけど、本当に仲がいいですよね(笑)。では、みなさんが一躍注目を集めるきっかけとなった路上ライブツアー「崖っぷちどチクショーTOUR」ですが、こちらを通じて得られたものは何ですか。

路上ライブという“リアル”でお金を稼いでみて、改めてファンの方たちの力というか温かさを感じましたね。あとはメンバーと一緒にいることの強さ、ここが自分の帰る場所だと実感できて。バンドの知名度が上がったこと以上に、人との繋がりの大切さに気づけましたね。


僕の中で絶対に忘れられないのが、最初に行った福岡で1週間の路上ライブが終わった後、小倉駅の駐車場に停めた車の中で、くしゃくしゃになったお札や小銭をみんなで数えて分けた時ですね。


(路上ライブで稼いだお金だけで生活していたので)
「1週間これで暮らせるなぁ」って。


自分たちが今まで信じてやってきたことに初めて対価がついて。「音楽」をやってるってすごい実感出来て、泣きながら抱き合いました。あ、泣いてたのは僕だけでしたけど(笑)。


僕、高校の時は帰宅部で、当時は部活なんて面倒くせえって思う側だったんですよ。だから、青春らしい青春を味わってなくて。文化祭とかも出なかったし。


えーっ!?


そのときは「みんなで頑張ってるやつダサッ」みたいな、ちょっと変な中2病があって。そんな俺のほうがダサいんですけど(笑)。だから、路上ライブツアーは僕の中で初めての青春らしいことだったんですよ。


毎日20曲、30曲全力で歌いきって、雨の日は屋根のある場所を探して、狭い宿に泊まって生活をしたり。お金もないからみんなで激安スーパーで買い出しして、冷蔵庫パンパンに食材詰めて。たまにお金が多くもらえた日なんかは「ちょっとラーメン行っちゃう?」みたいな。そんな一致団結して何かに向かっていく経験が、部活ではないけど僕の中では青春を取り戻せた感覚でしたね。


路上ライブからSNSで拡散っていう、今までにない広がり方を実際に経験してみて、決して前例にとらわれる必要はないんだなって痛感しました。

大げさかもしれないけど、音楽面でも生活面でも、誰かがやってるから正しいというのではなく、自分なりのやり方を貫いてうまくいくこともあるんだなって。今後もその精神は僕らの活動に生かされると思います。


車の運転も、機材の積み込みや運搬も全部自分たちでやってたんですよね。


台車とか押してったもんなぁ。仙台の商店街とか歩いてたわ。なんか懐かしいな。


そういう経験があるから、支えてくれる人たちがたくさん増えても、感謝することは忘れないんやろうなって。


ええこと言うやん。あー、なんかまためっちゃ思い出したわ。ギターアンプ2つ抱えて台車押してなぁ。


急に雨降ってきて。


「アンプを守れ!」って(笑)。


傘さしながらライブをしたこともあったし。


あったあった!


アカペラで歌ったことも……すみません、ちょっと思い出に浸ってました(笑)。


S NSを使いこなす新世代の音

――Novelbrightを語る上で、もうひとつ「SNS」というキーワードがあると思うのですが、活用方法や取り組む姿勢など、どのように考えていますか?

もともとSNSでバンドを広めようとは思ってなくて、とりあえず趣味で「ちょっとバズったら面白いな」っていう程度の感覚だったんです。路上ライブの時も、「雄大めっちゃ歌が上手いから女性キーの曲を歌ったらバズるんじゃね?」みたいなノリで他人のふりしてSNSにアップしたら(反響が)ガーンって行って。それきっかけでメンバー全員が意識して取り組むようになったんです。


――なるほど。

路上ライブの動画だけでなく、それぞれが定期的に更新して、自分がどんな人なのか個性を出しながら発信することは意識しています。「(写真の)素材が欲しいからちょっとこれ撮って」みたいなこととか。


この曜日のこの時間なら伸びる、とかね。


歌の動画を投稿する時も、長い文章を添えてしまうと反応が鈍くなるので、分かりやすく一文だけポンと載せる。「え? 何やろ?」という感じで、興味を惹くにはどんな文章がええやろうって、毎回メンバーで話し合って考えてましたね。


――もしかしたら、新世代は“SNSを使いこなすこと”が、大事になってくるかもしれませんね。ところで、今やストリーミングで音楽を聴くというスタイルが一般的になりつつありますが、みなさんの場合はいかがですか。

僕らはもうみんな、基本ストリーミングで聴いてますね。


もちろんCDにはCDの良さがあると思います。でも今はグッズというか記念品のような感覚になってますよね。CDを取り込んで聴くという人も少ないですし、やっぱり聴くとなるとストリーミングの方が断然利便性が良いので。


――昨年、Spotifyのバイラルチャートでも8週1位になられましたよね。

「やった!」っていうより正直「何で?」っていう感じでした。


驚きの方が強かったですね。


そもそもトップ10に入った段階で「トップ10ってヤバない?」みたいな。ランキングに売れてる人しかいないし。その中で1位になった時はもう言葉にならなかったです。


びっくりしたよね。


4週連続1位になっても「まだおるやん!」ってなって。


「これ、更新されてないんちゃうか?」って(笑)。


――また、マネージャーさんが再生回数や時間帯などを分析する「Spotify for Artist」というアナライズ機能を常にチェックしているそうですね。

僕らは「そういうのがあるんだな」と参考にしています。


それを見て何かあれば必ずストリーミング再生に影響するんだなっていうのは知りました。


SNSに自分たちが歌った動画を上げて、それがある程度伸びると、次の日のチャートではその曲のランキングが上がってたりしますからね。


まだチャートに入ってない曲を歌った動画をアップしたら、その曲がチャートインしたり。


トリーミングが当たり前に

――みなさんの世代(平均年齢24.4歳)はストリーミングで音楽を聴くことがもはや常識ですか?

もう当たり前ですよね。


常識が変わったと思います。


紅白やいろんな音楽番組のランキングにもストリーミングのポイントが加わっているし、この1、2年くらいで変わったと思いますよ。


でも、CDもストリーミングもどっちにも良さがあるよね。


もちろんCDでしか味わえないものもあるから、これからもCDは出していきたいです。


今、レコードが流行っているのと同じように、CDが良い、みたいな流れになる可能性はあると思いますね。


――これまでにあいみょん、Official髭男dismなども選ばれた、Spotifyが注目するネクストブレイクアーティストとして「Early Noise 2020」に選ばれたことについてはいかがでしょう。

選ばれた人が確実に売れるという流れがあるので、今年選ばれたということは……「俺らも売れるのかな?」って期待しています(笑)。


僕ら、周りのみなさんがおっしゃるほど盛り上がっている実感があまりないんですよね。


生活も変わってないし。


居酒屋行っても有線とかで僕らの曲流れてるのまだ聴いたことないです。


俺あるよ。


俺も。


俺も。


俺も。


マジっすか? 海斗くん飲みに行かんやん。


なんやねん(笑)。


ンバーが選曲したSpotifyプレイリスト公開

――今回、みなさんにはオリジナルプレイリストを作成してもらいましたが、それぞれの曲を選んだ理由をコメントいただけますか。

【Novelbright オリジナルプレイリスト】


「Rewrite The Stars」は映画『グレイテスト・ショーマン』のサントラ収録曲です。僕は歌が圧倒的に上手い人が好きで、ミュージカル映画も好きなんです。この曲は男女のデュエット曲で、本当に好きで。ライブ前に大音量で聴くと気持ちが高ぶるんですよ。「うわ、歌うまっ! よし、俺も今日は歌姫だ!」って(笑)。

「Still Into You」は僕が大好きなバンドのParamoreの曲です。一昨年、9年ぶりくらいに来日した時に観に行ったんですけど、衝撃的すぎて。今まで見たライブの中で一番刺さりましたね。Paramoreの曲の中で好きな曲がこれです。


僕はピアノとストリングスが使われている曲がめちゃくちゃ好きで。特に音楽を聴く時は割と感傷に浸りたいことが多いんですよ。

だから、ライブとか終わってみんなと「これからも頑張ろう」って話をした後に、Aimerの「ポラリス」とかを聴くとグッときます。Nanoの「Nevereverland」は、そんな自分の好きな音をバンドとして昇華するならこうやろ、っていう、とても好きな1曲です。


去年くらいに初めてBillie Eilishを聴いて、すごく好きになりまして。ここまで好きになるとは思わなかったくらいハマったんですが、その中でも1番好きな曲が「COPYCAT」です。

この曲は音源と、ライブと、たまにアコースティックでもやるんですけど、それぞれ全然違う曲かのような個性があるんですよ。僕らもそこを目指してやってるので、すごく参考にもなります。


実は僕、中学生の頃まで全然音楽に興味がなくて、周りの話について行けなかったんですよ。仲が良かったクラスの子に「なんかオススメの音楽ない?」って聞いたら、勧められたのがGReeeeNだったんです。カラオケでも十八番で毎回必ず歌っています。


僕は高校1年からギターを始めたんですけど、当時はヘビーメタルがめちゃくちゃ好きで。「歪んでない音楽は音楽じゃない」くらい偏った考えを持っていたんですが、Lee Ritenourはそんな僕の固定概念を吹き飛ばしてくれて、年齢や国籍、肌の色とか関係なく「いいもんはいいんやな」って教えてくれたアーティストなんです。


- Noevlbright Recommend Playlist -
・Rewrite The Stars - Zac Efron & Zendaya(雄大さん選曲)
・Still Into You - Paramore(雄大さん選曲)
・ポラリス - Aimer (圭吾さん選曲)
・Nevereverland - Nano (圭吾さん選曲)
・COPYCAT - Billie Eilish(海斗さん選曲)
・BE FREE - GReeeeN(ねぎさん選曲)
・Captain Fingers - Lee Ritenour(聡次郎さん選曲)

N ovelbrightが今年初めてやってみたいことは?

――3月にはファンクラブ発足、5月にはフルアルバム発売、6月には東名阪Zeppツアーと、ものすごいスピード感で突き進んでいくみなさんですが、この勢いだと年末あたりはどうなってるでしょう。

えっ……? 年末? 紅白ですか?(笑)。


出たいですね。


今年の夢は「Mステ出演」です!


Mステは出たい。いや、出よう。


言うのはタダやし。


無理やったら来年出よう(笑)。


――夢を叶えるためにメンバー全員が東京に進出して新しい生活をスタートさせていますが、生活や雰囲気の違いに戸惑いはありますか?

当然いろいろな違いはありますけど、1番困ったのは、肉まんにつける“カラシ”ですね。


――どういうことですか?

僕も東京に来るまで知らなかったんですが……関西だと当たり前なんですよ、肉まんにカラシがつくのが。で、東京のコンビニで肉まんを買ったらカラシがついてなかったので「つけてください」ってお願いしたら「ないです」って言われて。目の前におでんが売ってるのに「ない」と冷たく言われて、もうどうしようかと。


その時、僕も一緒だったんですけど、僕は岐阜出身でそのことを知っていたので、「落ち着けよ、雄大」とたしなめました(笑)。


カラシがないと肉まん食べるモチベーションが下がってしまうので、カラシは絶対に必要です(笑)。


僕はこっちに来て、関西より個人で経営してる飲み屋さんが多いなって印象がありますね。


いや、そんなの大阪だって個人店なんぼでもあるって。


それは単にねぎくんの周りだけなんじゃない?


調べたら関東も関西も変わらないって。


そうだって。


あの、僕が話してるのでちょっと黙ってもらえますか。(メンバーの嵐のようなツッコミを浴びながら)最近はそういうこじんまりした飲み屋を探すのが好きです。


年こそは◯◯◯されたい

――最後に、バンド名の一部でもある「Novel」=「新しい」にちなみ、メンバーのみなさんが今年初めてやってみたいこと、挑戦してみたいことを教えて下さい。

トライアスロン。あ! 言ったらやらないといけなくなるか。でも、水泳とランニングは普段からやっているので、あとは自転車だけかなって。でも、海泳ぐのちょっと怖いんですよね。底の方って暗くて何がいるか分からないじゃないですか。


だいたいサメおるよ、だいたい。


でしょ!(笑) 


僕は格闘技……キックボクシング始めてみたいですね。圭吾はあれちゃうん? ギャル男系雑誌に載る(笑)。


確実にバズるだろうけど、それはちょっと勘弁して。(周りに言われてちょっと嫌がりつつ)……せめて1日ホスト体験で(笑)。


僕はアニメオタクというか、『遊戯王』のカードゲームが大好きで。今年は公式大会に出場して良い成績残して、ドイツで行われる世界大会に出場したいですね。


僕は初めて“声かけ”をされたいです。僕以外のメンバー全員、街で声をかけられたことがあるんですけど、僕だけまだ1回もないので。


海斗くんはSNSでも他のメンバーより「いいね!」の数が少なくて、「俺の何がダメなんやろ……」って気にしてるんですよ。


なぜだろう、みんなと同じ生き方をしてるはずやのに……(笑)。


一同爆笑。


――(笑)。これからの音楽での活躍はもちろん、それぞれの目標達成も気になりますね。私たちも応援しています! Novelbrightの皆さん、本日はありがとうございました。

👉 Novelbrightさんの取材中の様子はこちら【動画】
【Novelbright オリジナルプレイリスト】

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