当時好きだった彼女と再会したのは、久しぶりに参加した大学サークルの同窓会だった。
卒業してから10年、彼女は当時と変わらず輝いていた。
そんな彼女を見て、当時の思いがよみがえってくる。あのときは結局、自分の気持ちを伝えられなかった。
でも今なら……。
話してみるとお互いに独身。思わず切り出した。
「今度、二人で食事でもどうかな」
「いいよ。楽しみにしてる」
快くOKがもらえて心が躍る。そうと決まったら店を探さなければ。でも、どんな店がふさわしいんだろう。
もう大人になった2人。おしゃれなビストロか、夜景の見えるレストランか。
何日も悩んだ末に「ここしかない」と決めたのは……。
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再会した彼とのデートは、
まさかの「あの店」
同窓会で久しぶりに再会した彼に食事に誘われ、少し驚いた。昔はそんなに積極的ではない印象があったから。会っていなかった10年間、私と同じようにいろいろな出来事があり、それが彼を良い意味で変えたのだろう。
駅で待ち合わせをして、一緒にお店へと向かう。
当たり前だけど、10年分歳をとった彼はずいぶん大人っぽくなっていた。
そこで連れて行かれた先はまさかの『庄や』。
チェーン居酒屋……おしゃれなお店がよかったなあ。
大人になった彼との初めてのデート。正直おしゃれなレストランを想像していた自分がいる。学生時代にサークルの打ち上げでよく使っていた居酒屋だが、最近はほとんど行くことがなくなっていた。どんな店だったかな……当時はお酒を飲んで騒げれば良かったから、店そのものの印象はあまり残っていないかも。
『庄や』 水道橋店
住所:東京都千代田区神田三崎町2-19-7 大庄水道橋ビル1F・B1F
アクセス:JR 水道橋駅 西口徒歩2分
営業時間:年中無休 11:30~14:00 17:00~23:00
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肩肘張らなくていい、
ぬくもりの空間
店に入ると、なんだか懐かしい空間が広がっていた。
店員さんが
「いらっしゃいませ!」
と元気な声で迎えてくれる。
ほどよくにぎやかで、だけどどこか落ち着く安心感。肩肘を張らなくて済む雰囲気はどこか彼にも共通している。
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「皆、あまり変わってなかったね」
「そう? 昔はよく3人で遊んでたけど、Aくんなんていつの間にか転職しててびっくりした」
そんな先日の同窓会の話をしながら、まずはビールでスタート。
注文すると「ハイ! よろこんで!」と元気な声が店員さんから返ってきた。これこれ、懐かしいなあ。すぐに出てきたビールは、しっかり冷えていて仕事帰りの身体を癒やすのにはぴったりだ。
メニューを見てみると、居酒屋の定番メニューがずらり! しばらく迷ってから、いくつか注文する。学生時代に戻ったようで、なんだか懐かしい。
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「板前がいる町の酒場」
注文した刺身の盛り合わせを食べて驚いた。
おいしい! 新鮮だし、素材も良い。学生の頃は気づけなかったけれど、大人になった今ならこのクオリティがわかる。『庄や』ってこんなに美味しかったんだ。
「お店を『庄や』にしたの、驚いた?」
「最初はね。でも、その理由がわかった気がする」
彼いわく、『庄や』の料理は手作りを心がけていて、厨房には「板前さん」がいるのだとか。
そしてキャッチコピーは「板前がいる町の酒場」。なるほど、それならこの料理のクオリティにも納得。
正直、チェーン店ということで料理にはあまり期待していなかったのだけど、むしろそれは逆。長い歴史を持つからこそ、手ごろな価格で高いレベルの料理を安定して提供できるのだ。
彼が『庄や』を選んだのは、学生時代によく行っていたからというノスタルジックな理由だけじゃないんだ、きっと。
昔は気づけなかった『庄や』の魅力とともに、
彼の魅力に気づき始めた自分がいる――。
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さりげない心配りの数々
――だからこそ『庄や』は心地いい
話しやすい『 庄や』の雰囲気も手伝って、彼との話は大いに盛り上がった。
お酒も進むし、料理もたくさん注文した。そうして2時間ほどたってから気づいたのが「店員さんの気づかい」だ。
接客時の笑顔や気持ちの良い対応、テーブルがいっぱいになる前にすばやく片付けてくれる気配り。
それだけでなく、料理から私が苦手な食材を除いて提供してくれたことには本当に驚いた。事前に彼がお店に伝えてくれていたことにもびっくりだけど、それにちゃんと対応してくれるなんて。こうしたひとつひとつの心配りが、『庄や』の心地よさにつながっているのだろう。
ふとした心づかいに、
彼と『庄や』の魅力が重なった――。
***
お店に着いたときはびっくりしたけれど、美味しい料理をお腹いっぱい食べて、お酒もたくさん飲んで、彼との再会デートは大満足なものだった。10年前には気づけなかった彼の魅力を知ることができて、本当に良かったと思う。
これから彼と紡いでいける物語がどんなものになるのか、とても楽しみだ。
「あなたって、なんだか『庄や』みたいな人だね。」
「え? なにそれ。」
そう言って穏やかに笑う彼に、私はときめきを隠せなかった――。
to be Continued ……
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