2019年9月1日、ジュンク堂書店大阪本店で発売された「ニッポンのしゅくだいドリル」。介護・人権・防災など、日本が抱える社会課題を解決するアイデアを考えるというユニークな内容のドリルだが、実はこのドリルを制作したのは大阪人間科学大学の学生たちだ。制作の背景には、若い世代ならではの問題意識と切り口があった。

  • 大学生たちはなぜ「ニッポンのしゅくだいドリル」を制作し、ワークショップを開催したのか?

大学を学びの場からチャレンジの場へ!大阪人間科学大学の未来科プロジェクト

大阪府摂津市に位置する大阪人間科学大学は、対人援助の専門職業人の育成を目指す大学。プロフェッショナルとなるための専門的な能力を身につけるだけでなく、専門性を活かし社会課題の解決に取り組む人材を育てる教育・育成に力を入れている

そんな大阪人間科学大学で2019年に立ち上がったのが「未来科プロジェクト」。あらゆる組織や人々が関わり、1人の人間としてどのように社会課題に向き合っていくかを考え、解決に取り組んでいくプロジェクトだ。

2025年には3人に1人が高齢者という時代を迎える日本。大学生たちは「社会における人口減少と高齢化の課題に1番向き合わないといけないのは私たちの世代だと思う」とプロジェクト立ち上げの経緯を語った。

大学生が作った答えのないドリル「ニッポンのしゅくだいドリル」

「未来科プロジェクト」の第1弾として8月に発表したのが、答えのないドリル「ニッポンのしゅくだいドリル」だ。大人から子どもまで、日本社会が向き合わなければならない課題を考えるきっかけになればと制作したという。

特徴は全ての問題に対して正解がなく、人によって答えはもちろんのこと、同じ問題でも焦点を当てるポイントが異なってくるということ。「これが悪い、これがいい」という議論をするのではなく、それぞれの角度から課題に向き合える方法はないか、考えることを楽しくできる方法はないかと考えた結果がドリルという形式だった。

  • 答えが1つでないからこそ、さまざまな議論が起こり、社会課題について真剣に考える時間が増える

ドリルの問題は大学教員や現場で働く人に課題をヒアリングした大学生が作成している。解き方はいたってシンプル。問題の気になる部分に⻩色いラインを引き、次にどうすれば解決できるかをイラストや文章で自由に表現し回答する。シンプルだからこそ大人から子どもまで楽しめるドリルが完成した。

小学生らしい奇抜な発想で溢れた「ニッポンのしゅくだいワークショップ」

ドリルを活用したプロジェクトは前述の通りすでに始まっている。「ニッポンのしゅくだいドリル」の販売を記念し、8月24日、9月1日、16日の3日間に渡りジュンク堂書店大阪本店と丸善京都本店で「ニッポンのしゅくだいドリル ワークショップ」を開催。

車いすバスケットボール選手の根木慎志氏、ワンテーブル社代表の島田昌幸氏、Join for Kaigo社代表の秋本可愛氏を各会のゲストに招き、大阪人間科学大学の大学生が講師役として参加者の小学生たちとドリルを用いて課題と向き合った。

介護や防災の課題に対し、小学生から「水がない時に食べ物にかけるだけで、水分の多い食べ物の味に変えられる粉」や「災害用移住空間付きのロケットで移動できない人を運ぶ」「障害を体験できるテーマパーク」など、講師役の大学生や保護者たちも驚く斬新なアイデアが発表された。

参加した小学生の保護者は「普段学校では学ばないようなことを一生懸命考える子どもの姿を見て、成長を感じることができた」と感想を語っている。

大切なのは、「自分ごと化」してもらうこと

このドリルを用いた活動が「社会の課題に目を向け、一緒に考えてくれる人が増えるきっかになれば」と思いを寄せる大阪人間科学大学の大学生たち。今後は集めたアイデアの実現を目指すという彼らの活動にこれからも注目したい。

  • ドリルで生まれたアイデアは専用のサイトでも順次公開される予定


[PR]提供:大阪人間科学大学