ホクショー株式会社(以降、ホクショー)は「最適なモノの流れを創造する」をコーポレートスローガンとする物流搬送システムメーカーだ。
あらゆる企業の業務効率化に取り組んできた同社は、事業拡大のために白山工場内に第三工場を新設。同時に、自社の業務に不可欠なパソコンの刷新も同時に図ることになり、小型パソコン「NUC(Next Unit of Computing)」の大規模導入を実施した。
結果、業務効率化や省スペース化など、数々の効果を実現したという。そこで実際の企画・導入を担当したキーマンたちに話を伺った。
物流システムで社会に貢献する企業
ホクショー株式会社は、石川県金沢市に本社を置く北陸を代表する企業。
物流に留まらずあらゆる業種に向け、垂直搬送システムや自動仕分けシステムといったスタンダード製品の提供。さらには、生産ラインシステムなどを提供するシステムエンジニアリング製品や、それらの設備運用をサポートするメンテナンスサービスまで幅広く対応し、その活躍は「最適なモノの流れを創造する」という同社のスローガンを体現している。
「物流システムというと、輸送業などをイメージされると思いますが、それだけではありません。身近なところでは、例えば、遊園地のウォータースライダーに使うボートを上まで持ち揚げるシステムや、旅館やホテルで食事を階下、あるいは階上へ配膳するためのシステムなども提供しており、あらゆるモノを速く正確に最適な形で移動・搬送できるシステムを、私たちは創造しています」と説明する中川氏。
我々にとっても、とても身近なサービスを陰で提供してくれているのがホクショーなのだ。
同社は、2019年度に向けて石川県白山市にある工場施設内に第三工場を新設、同年9月に本稼働させる予定※となっているが、社員が使うパソコンの刷新も同時期におこなうことが決まったのだという。(※取材時、2019年7月)
「そもそも2020年にWindows 7のサポート終了が決定していることもあり、それに伴うパソコンの入れ替えが検討されていました。
また、Windows 7パソコンの中には長期にわたり使用しているものもありますし、故障対応も多くなっていたので、第三工場の稼働を前にWindows10パソコンに見直そうということになったのです」と宮井氏は説明する。
2018年8月、パソコンの刷新をおこなうべく動き始めた情報管理課を主軸としたプロジェクトメンバーは、新しいパソコンの選定をはじめることになった。
省スペース化を目指して
同社で使うパソコンは事務用のパソコン、営業スタッフや機器調整スタッフなどが納入先での業務に使うノートパソコン、製品開発用のCADを扱うPCワークステーションの3種類に分類される。この中で省スペース化として大きく改善が求められたのは、事務業務に使うパソコンだった。
「社員数は350名ですが、パソコンは総数450台に膨らんでいました。機器調整スタッフの中には、納入先でもCADデータやプログラムを開く必要があったりと、社内ではデスクトップパソコン、納入先ではノートパソコンの2台持ちのスタッフもいたことから、数量的な効率化も果たさなければなりません」と宮井氏は語る。
「スペック的にはWindows 10をスムーズに動かすための十分なメモリ量はもちろん、事務スタッフが直接CAD図面を扱うことはありませんが、プレビューは必要なので、ある程度のプロセッサーパワーが求められます。また、ちょうど価格が安定してきたタイミングだったのでM.2 SSDの採用なども視野に入れていました」と岡田氏は語る。
これらのスペック要件はすべてユーザーがストレスを感じずに運用できることを主眼としたものだ。
「それともうひとつ重要なのは、省スペース化です。業種的に事務職でも机の上に図面を広げることがあるのですが、デスクトップパソコンだとどうしても机上が狭くなります。それを嫌う社員はパソコンを床置きしているのですが、そうなると今度はホコリを吸い込みやすくなり故障率が上がるという問題があったのです」と宮井氏は語る。
Windows 10がスムーズに動き、省スペース化も実現できるパソコンを探していたちょうどそのとき、ひとつの回答を持ってホクショーを訪れたのがユニットコム(パソコン工房)だった。
「事情をお話ししたあと、ユニットコムさんが持ってきてくれたのが“NUC”でした」と語る岡田氏。
手の平の上に乗るサイズの小型パソコンは、その見た目とは裏腹に高いスペックと省スペース性を両立した、まさにホクショーが望んでいたパソコンだった。
「最初はパソコンがこのサイズに収まっていることが、すぐには信じられないぐらいでした(笑)。機種選定時に各部署の代表社員にレビューをしたのですが、これを見たある社員は『いつになったらパソコンを持ってきてくれるのですか?』と不思議がっていたほどです」と岡田氏は語る。
NUCならではの省スペース性とスペックの高さを評価したホクショーは導入を決定。事務用パソコンに必要な134台をNUCへとリプレースすることになった。
ユニットコム(パソコン工房)が導入を支援
導入にあたり、各部署で使うソフトウェアの動作検証などもしなければならず、ある程度の期間が必要だったのだという。
「2018年の夏にはユニットコムのNUCを導入することが決まっていたのですが、そこで操作するアプリケーションは実に様々です。
基本となるOfficeソフトウェアやグループウェア、基幹業務システムなどとは別に、部署ごと、チームごとに使うソフトウェアもあるので、総数でいうと4、50種類ぐらいはあります。組み合わせも様々だったので動作検証には時間が必要でした」と当時を振り返る宮井氏。
ホクショー 情報管理課は約半年を掛けてこれを実施。その甲斐あって、ベースとなるソフトウェアの組み合わせが決まった。
これを受けて、ユニットコム(パソコン工房)は自社工場でキッティングを実施。ホクショーとユニットコム(パソコン工房)の協力体制により、導入が決まった134台の事前設定を実施することができたのだという。
「これは本当に助かりましたね。導入時の設定作業への負担が大幅に削減できました」と感想を語る岡田氏。
今回用意されたNUCは、新工場の事務所を含め全社に設置される。
「作業効率を上げるためにデュアルティスプレイを利用していますが、ディスプレイマウントのブラケットを少し加工して、そこに取り付けています」と宮井氏。
ワイドディスプレイの裏面だとメインスイッチやUSBポートの操作に課題があったため、ホクショーが金具を用意して、ディスプレイ背面にありながらベゼルに近い位置に移動させることで操作性を向上させている。
「NUCの導入によって、業務効率化という部分で影響は大きいと思いますが、なかなかベンチマークをとることが難しい値でもあります。
しかし、パソコンの運用を考えると机上に置かなくて済むようになったのですから、スペースに対するストレスは完全になくなりました。
また、SSDによるOSやソフトウェアの起動時間も大きく減らすことができています。
こちらもベンチマークはまだ行えていませんが、これまで始業時の起動やデータ処理をじりじりと待っていたのと比べ、現在は使う側が逆に急かされているイメージに近いのかと思います(笑)」と笑顔で手応えを語る中川氏。
工場内のパソコン運用にも好影響
「第三工場や各事務所で使うパソコンは、ほぼ場所を固定して使えますが、今後設置していく第一工場、第二工場のパソコンは、生産状況によって組立レイアウトが変わります。
その際、従来のデスクトップパソコンに比べて小型で移動も容易なため、運用性はさらに向上しそうです」と語る宮井氏。
ホクショーでは、新しく作った第三工場の本稼働後、第一、第二工場も順次リニューアルさせていく予定となっている。それが終わった順にNUCを活用していくが、本体サイズの制約がほとんどないため、工場内のレイアウトの自由度は確実に向上しているという。
「今までは工場内で使うデスクトップパソコンには、無線LANユニットを後付けして対応させていましたが、NUCには最初から内蔵されているので、ケーブルレスでネットワークに参加できるのも大きなメリットです」と岡田氏も言葉を続ける。
無線LANユニットが内蔵されていることで、将来のIoT化にも対応できるという。
「これまではパソコンに障害が発生すると台車を押して駆け付けていましたが、NUCは片手で移動できるので、それをしなくて良くなりそうです。
ノートパソコンよりも軽いわけですから、これを持ち歩くスタイルもありかもしれませんね(笑)」と岡田氏も導入の手応えを語る。
「今回のNUCの導入により、パソコン環境が大きく変わりました。450台に膨らんでいたパソコン台数も、最終的に350台前後へと適正量に落ち着かせることもできました。
私たちの会社でも働き方改革を推進しています。
これからは省スペースのNUCを活用し、生産効率を高めるための業務改革を推進していこうと考えています。工場の新設や従来の施設のリニューアルなど、就業環境も大きく改善されていきますので、これまで以上に仕事に対してやりがいを感じてもらえる職場づくりを続けていきたいですね」と中川氏は最後に語ってくれた。
ユニットコム(パソコン工房)もホクショーの今後の飛躍を後押しすべくサポートを続けていく。
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