GoogleでGoogle File System (GFS)の開発に携わり、その後Nutanixを創業したアントレプレナーが、爆発的に増大するデータの管理について全く新しい発想で開発したソリューションを提供するCohesity(コヒシティ)が日本で本格的に始動した。
Cohesityは、基幹業務が利用するデータ以外のセカンダリーデータが増大する状況に対応するため、これまでのバックアップ・リカバリー だけではなく、ファイルサービス、アーカイブ、ソフトウェア開発/テストなどにも発展可能なプラットフォームを提供するベンチャー企業だ。ベンチャーと言っても創業から既に6年、1,000名以上の従業員を擁してソフトバンク、Sequoia、Google Venture、Cisco 、HPEなどから投資を受けるほどのテクノロジーカンパニーである。
本稿では、Cohesityが2019年4月25日に東京品川で開催したパートナー向け説明会をレポートし、Cohesityのソリューションの特長、差別化ポイントなどについて紹介したい。
増大するセカンダリーデータを包括的に管理できる
冒頭のプレゼンテーションに立ったのはCohesityの創業者で、CEOでもあるMohit Aron氏だ。
同氏が 日本現地法人を立ち上げたのは2018年11月とまだ間もないが、既にSB C&S、ネットワールドをディストリビュータに、ソフトバンク、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、アルファテック・ソリューションズ(ATS)をリセラーとしてパートナーシップを結んでいる 。同氏のセッションは、日本市場に対する熱い意気込みとともに、データが増大する現在のIT部門における状況について確認するところからスタートした。
まず、Aron氏は基幹業務システムが取り扱うプライマリーデータ以外に多くのデータが発生していることを説明した。
特徴的なのは、仮想化にともなう仮想マシンのイメージデータ、ビジネスでも活用が進む動画データ、ソフトウェアの開発やテストのために必要なデータ、アクセス分析のためのログデータ、更にそれらを機械学習により応用するためのビッグデータなど、基幹業務とは別の、つまりセカンダリーデータが企業内に急激に増えているとのことだ。
セカンダリーデータはこれまでさまざまな場所に分散され、適切に管理されてこなかった。それがビジネスにネガティブな影響を与えていると同氏は指摘した。またデータ管理の場所もこれまでのオンプレミスのストレージだけではなくクラウドサービスのストレージも視野に入れて管理が必要であるという提言は、企業側が把握することが難しいシャドーITにおいてデータ管理が疎かになっている実情を反映したものと言える。
Cohesityは、それらの分断され増大するセカンダリーデータを統合されたプラットフォームで、包括的に管理が行えるという部分に強みがあると解説した。
特に強調したのは「スマートフォンのような技術革新で実現する」という部分だ。これはCohesityのソリューションがセカンダリーデータのバックアップやリストアの機能だけにとどまらず、ファイルサービスやアーカイブによる長期保存、ソフトウェア開発に適したコピーデータ管理、大量データからの検索や機械学習を使った解析や予測などの様々な用途が、スマートフォンが持つシンプルな使い勝手と共通した点を表現している。
いわば電話、カメラ、メッセージング、データ通信、ゲームなど様々な用途に使われるスマートフォンに例えてCohesityのソリューションが高機能でありながらも使いやすさ、拡張のしやすいプラットフォームであるというメッセージである。これまでのバックアップ専用ソリューションから検索や機械学習などの付加価値を備えた次世代のセカンダリーデータストレージとして境界線を超えたソリューションであることを強調した。
特にオンプレミスのデータからパブリッククラウド上のデータまで包括的に管理ができるという点は、レガシーなバックアップソリューションのベンダーと比べ先行しているのではないだろうか。この日に配布された「Cohesity Cloud Backup Service for Google Could」のプレスリリースにはGoogle Cloud Platform(GCP)とネイティブに連携したバックアップサービスであり、GCPのマーケットプレイスから利用開始が可能なこと、GCPの管理コンソールから管理ができることなどが紹介され、単にバックアップを行う対象としてのGCPではなく、統合されていることによる親和性などを説明した。
その後、ユーザー事例として世界有数のホテルチェーンであるHyattにおける導入事例を紹介。データ管理のプラットフォームとして世界中のデータセンターにCohesityが導入されMicrosoft Azure(Azure)とのインテグレーションなども実現した。
Aron氏の日本市場に対する熱い意気込みを語った講演はここでプレゼンテーションを終え、Cohesity Japanのシステムズエンジニア 東一欣氏のプレゼンテーションに移った。