多くのノートPCが抱える弱点のひとつに、デスクトップPCよりも処理性能が低いというのがあるのだが、処理能力の点でもデスクトップに匹敵するモデルがユニットコム(パソコン工房)から登場した。今回はその「STYLE-15FX063-i5-KSX」を紹介しよう。

  • ユニットコム(パソコン工房)の「STYLE-15FX063-i5-KSX」
    第8世代インテル® Core™プロセッサー搭載

デスクトップPCがノートPCよりも高い性能を実現できるのは、基本的にデスクトップPCが消費電力や冷却のことを(あまり)考えなくていいからだ。CPUもGPUも高性能なモデルは、消費電力や発熱量が高く、それを支えるために電源も冷却システムも大型のものが必要。デスクトップPCの場合、どちらもある程度融通がきくが、ノートPCの場合は本体のサイズや重さに制約がある。

そのため、ノートPC用のCPUやGPUには、モバイル用の消費電力が低いものが搭載される。デスクトップ用のCPUが65~80W程度の熱設計電力(TDP)であるのに対し、ノート用は8~15W程度と大きな差があるのだ。この省電力を実現するために、コア数やキャッシュメモリ量、クロック周波数などをダウングレードしており、性能にも影響が大きくなる。

ところが今回紹介する「STYLE-15FX063-i5-KSX」は、ノートPCながら、CPUにデスクトップ用のCore i5・8400を搭載。一般的なノートPCよりも、さまざまな部分で高速な動作が期待できるのだ。

ちょっと大柄ながら充実した基本装備

「STYLE-15FX063-i5-KSX」は、使い勝手の良いスタンダード型が人気のSTYLE∞ Nクラスシリーズのモデル。15.6型の非光沢フルHDディスプレイを搭載するシンプルなノートPCだ。

光学ドライブは搭載していないが、いわゆる薄型モデルではなく、最厚部で約36mmある。もっともこの厚みには後述するように意味があり、光学ドライブを搭載したオールインワンモデルと同程度なので、問題はないだろう。

CPUは前述したように、Core i5-8400を搭載。これはインテルの第8世代Coreプロセッサーである「Coffee Lake」世代のもので、6コア・6スレッドで動作クロックは2.8GHz、ターボ・ブースト時は4.0GHzに達する。3次キャッシュに相当するスマートキャッシュは9MB搭載しており、TDPは65Wという設計だ。

同世代のノート向けCore i5プロセッサーと比較すると、例えばCore i5-8250Uの場合、4コア・8スレッドで動作クロックは1.60GHz、ターボ・ブースト時3.40GHzとなり、スマートキャッシュは6MB。TDPは25Wと半分以下ではあるが、通常時の動作クロックが1.2GHzも遅く、スマートキャッシュの量も少ないことから、性能には差が出るはずだ。

ただし、「STYLE-15FX063-i5-KSX」のチップセットはCoffee Lake用としてはローエンド向けのIntel H310で、バススピードはDMI2.0となり、最大5GT/s。デュアルチャネルメモリはサポートしているが、2スロットまででメモリの拡張性がやや心もとないことや、M.2スロットもNVMeをサポートしないなど、足回りはコストを抑えるための影響が出ている。

とはいえ、このあたりはノートPCという制限の多いハードウェア上では大きな問題にはならないだろう。ストレージには240GBのM.2 SSDを搭載し、2.5インチベイが1つ空いている状態(BTOでHDDやSSDを搭載可能)。メモリは標準でDDR4-2400メモリを8GB搭載しており、最大で16GBx2の32GBまで搭載が可能だ。

GPUにはNVIDIA GeForce MX150(GDDR5メモリを2GB搭載)を採用。MXシリーズ自体がゲーム用ではなく、通常作業を快適に行うことを目的としているのだが、CPU内蔵GPUよりはゲームにも使えそうだ。ゲームを重視するのであれば最初からゲーミングノートを買えばいいわけで、主な用途は仕事や学業、でもたまには息抜きにゲームや趣味に、といった使い方にはピッタリだろう。

  • キータッチはストロークがやや浅めだが、特に問題はない。テンキーとの境目にあたる右側のキーが小さめだったり、配列がややズレているのは気になる人がいるかも

キーボードはテンキーも含めたフルキーボード。やや詰め込み気味のレイアウトで、カーソルキー周りやBack Spaceキー周りで少々混乱する人もいるかもしれないが、キーそのものは押しやすい。タッチパッドはホームポジションに合わせてあるため、若干左寄りに配置されている。感度、操作感ともに及第点だ。

ディスプレイはフルHDの15.6型非光沢液晶パネルを採用。外部インタフェースは、向かって左側にVGA、HDMI、USB 3.0 Type-C、USB 3.0、USB 2.0。右側に電源、ギガビットEthernet、USB 2.0、マイク、イヤフォン、SDXCカードリーダーとなっている。電源ポートが右側に付いているのは少々珍しい。

  • 特に広視野角タイプというわけでもないようだが、普通に使っていて見え方に問題は感じられなかった。100万画素のWebカメラも内蔵している

  • 左右の外部インタフェース。USBは3.0までの対応で、USB 3.1には非対応だ

  • 電源ポートが右側に付いているのは少々珍しい。ケーブル類の取り回しには若干気をつけたい

  • 底面のスリットからは両側に大きなファンが見え、デスクトップ用CPUの発熱を冷却するためにかなり努力していることがうかがえる(このファンの分、厚みも増している)

  • 底面には容量4300mAhのバッテリーを搭載。バッテリー駆動時間は約4.8時間とさほど長くないが、前述したようにデスクトップでの利用が中心であれば問題ないだろう

  • CPUの消費電力が高いこともあり、ACアダプターも120Wと大容量のものが付属する。アダプター本体も比較的大きいため、やはり家の中などの移動が前提となるだろう