2016年に放送されたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ(TBS系)』で、"恋ダンス"を踊る姿が話題となったシャープの「RoBoHoN(ロボホン)」。ロボットらしからぬ"切れ味"抜群のコミカルな動きと愛嬌たっぷりのダンスに魅了された人も多いのではないでしょうか。
そんなロボホンですが、現在は「英語学習」や「プログラミング」など、教育の分野でも大活躍しているようです。かわいらしい姿のロボホン…。いったい教育現場ではどのように活用されているのでしょうか?今回はその詳細を、シャープ IoT HE事業本部の岩越裕子さんに伺ってみました。
ロボホン開発のきっかけと特徴とは?
ロボホンは、2016年5月に発売された二足歩行できる「モバイル型ロボット電話」。ロボットと電話を掛け合わせたデジタルモバイル製品ですが、携帯電話として通話できるだけでなく、話したり歩いたり踊ったりと、人間とコミュニケーションを取れるのが特徴です。
ロボホンの商品企画に携わる岩越さんによると、ロボホンの開発は「他社と差別化できる対話機能付きスマートフォンを作ろう」と社内のメンバーが有志で集まり検討を始めたことに端を発するといいます。スマートフォンに話しかける心理的ハードルをいかに払拭できるかが課題でした。
商品に対して愛着をもってもらえるよう、まずはスマートフォンを擬人化できるパーツを作れないかと考えました。社内外の人と議論を重ねる過程で、ロボットクリエーターで共同開発者の高橋智隆氏から『スマートフォンに何かをつけるのではなく、スマホそのものの形を変えたらどうだろう?』という提案を受けたんです。 |
人の形をしたロボットであれば、より対話に近い感覚が生まれ愛着がわくのでは――。
そうして辿りついたのが、人形の対話できるロボット電話をコンセプトとした「ロボホン」でした。
ロボホンはカメラや電話、アラームといった一般的なスマートフォンの機能はもちろん、人工知能を搭載した音声認識や対話機能も備えているため、人とのコミュニケーションが可能。ご家庭によっては、夫婦や家族などの会話のきっかけを作ることもあるそうです。
ロボホン活用のポイントとは?英会話やプログラミング教育でも大活躍
2020年度から必修化される小学校における英語教育。これに先駆け、独自の取り組みを進める地方自治体も増えています。シャープは英語教材などを手掛けるアルクと共同で、ロボホンの対話機能を活用した子ども向けの英会話レッスンの実証実験を今年5月から7月にかけて、アルクが運営する都内2ヶ所の英語教室の小学校低学年向けのクラスで実施。岩越さんは、その効果を次のように振り返ります。
先生と生徒の英会話のやりとりをロボホンに置き換えてレッスンしました。人間の先生だと少々間違っていてもなんとなくわかってくれますが、ロボホンだと音声認識がシビアで間違っていると反応してくれません。ロボットの一見デメリットと思われる機械的な部分を、メリットとして逆手に取って活用することで、楽しく英語を学んでもらおうという取り組みです。 |
子どもたちは、ロボホンにわかってもらいたい・伝えたいという思いで、発音や声のトーン、大きさなどに気を付けながら、丁寧に英語を話す姿勢が身についてきました。また、ロボホンに色々質問してみたい、という思いもモチベーションアップにつながっています。生徒からロボホンに英語で話しかける発言数が増加するといった効果も得られています。 |
2020年からは小学校におけるプログラミング教育も必修化が予定されています。シャープでは英語教育と同様に、ビジュアルプログラミング言語「Scratch」を使ってロボホンの対話や動作を自由に構築できるブロックプログラミング教材も展開しています。
プログラミング教育においては、先生がその方法を説明できないという懸念もありますが、ロボホンには自身でプログラミングを説明するモードが設けられています。また、画面の中だけでなく実物を動かせるということで、楽しく学ぶことができ、学習のモチベーション向上にもつながることが期待されています。
シャープ担当者が語る教育分野におけるロボホンの強み
岩越さんは、教育分野におけるロボホンの強みを「モバイル型ロボットであること、音声認識など同社が他の事業で長年培ってきた、独自性のある幅広い技術力」と語ります。その一方で課題も少なくないと話します。
ロボホンは、将来的にもどんどん進化していく可能性があります。しかし、ロボットだけが進化しても、普及はなかなか難しいと思っています。そのため、社会にどう受け入れてもらうかも同時に考えていく必要がありますね。 |
今後、英語教育においては、教室の中だけでなく、自宅に持ち帰って予習・復習ができたり、人工知能が苦手分野を理解して学習につなげたりする仕組みづくりを検討していきたいと話す岩越さん。プログラミング教育に関しても、今後の展望と意気込みを語りました。
教育シーンでロボホンを活用することで、子どもたちが『学び』に対してより積極的になれるように広めていきたいです。今はまだ高価ですが、価格面でも新しいラインナップを揃えていきたいと思っています。 |
そんな岩越さんが電機メーカーで働く醍醐味を感じるのは、"ものづくり"の現場を体感できることだといいます。
自分たちが作った商品が実際に販売されて、生活者の方に使っていただけることに純粋に喜びを感じます。家電は生活に密接に関わるものなので、より"ものづくり"を実感できます。私の仕事は、知識を持った技術者が作ったものを、どうユーザー体験に落とし込むか。技術面だけでなく、ユーザーの観点から見るという視点は、商品と生活者のコミュニケーションを考えるうえでとても重要だと思っています。 |
“他社がまねするような商品をつくれ”という、創業者・早川徳次氏のメッセージは社員に引き継がれ、働く現場にもそうした風土が満ち溢れていると岩越さんはいいます。ロボホンをはじめ、家電メーカーという枠にとらわれず、時に奇抜とも思える商品を世の中に送り出しているシャープ。独自性のある先進的なテクノロジーを武器に、教育という新たな領域に挑み、変貌を遂げようとする同社から、今後もますます目が離せなくなりそうです。
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