【この記事にはNHK連続テレビ小説『半分、青い。』のネタバレを含んでいますのでご注意ください】
「ねえ、小林さん、朝ドラ観てる?」
私のドラマヲタぶりを知っているのか、4月から始まったNHK連続テレビ小説『半分、青い。』(毎週月〜土曜8:00~)について、各所で感想を聞かれることが多かった。それもダントツで40代の男性に。聞けば毎日録画をするか、出勤前にチェックしているという。毎日物語の展開が気になるって、かわいいな。
これまで男性が朝ドラを話題にすることは、少なくとも私の周囲では皆無に等しかった。じゃあ、なぜ『半分、青い。』は、中年男子からの支持率が高かったのか? 改めて考えると自分なりの回答が見えてきたので、その一部を紹介していきたい。
▼永野芽郁と原田知世 - 新旧のマドンナに胸を焦がす
作品に夢中になった理由として、中年男子が必ず挙げてくるのが原田知世さんの出演だ。ヒロイン・楡野鈴愛(永野芽郁)の幼なじみである萩尾律(佐藤健)。その母親役・和子として原田さんは登場した。
ふんわりと優しさにあふれた外見なのに、時折学園ドラマの先生のような説教じみたことを言ってしまうのが癖。病気になり自分の死を覚悟した和子が、鈴愛に律の成長記録を託すシーンは涙が止まらなかった。
「育児日記や。律が生まれた時からず~っとつけとった。 おばさん、これ結構おかしいんやけど律が大きくなるまでつけとった。(中略)鈴愛ちゃん、これおばさんが死んだら律に渡したってくれん?(第124話)」
そんな、たおやかで強い女性を演じていたのが原田さん。アラフォー世代の男子にとっては、永遠のシンデレラと言っても過言ではない。そして女性から見れば、50歳という年齢も相まって、神域に到達しているのではないかという錯覚にとらわれる。未婚ということだけは公表されているけれど、私生活はヴェールに包まれたままの名女優さん。その謎めいた存在感こそが中年男子の心を掻き立てたのだろうし、そんな天使が毎朝拝めるのなら、そりゃあ朝ドラにも夢中になるわけだ。
そんなオーラを、継承してるのが永野芽郁さんだと思う。「芽郁ちゃんがやたら可愛いから観るんだ!」と豪語する出版社の編集部員もいた。媚びない、動じない雰囲気が印象的な永野さん。我々凡人が踏み込めないような領域を、彼女は理解してカメラの前に立っているような気がするんだよな……。朝ドラ卒業後の進路にも注目だ。
▼“ロンバケ”という恋愛文化の懐古に浸る
男性がドラマをよく観ていた……という時代を振り返ると、一番に挙がってくるのは“月9”だろう。まだメディアの数も限られていて、情報源のすべてがテレビに集約されていた20年ほど前。猫も杓子もいい子ちゃんになって、21時に帰宅。そして“月9”に夢中になった。
なかでも、キムタクこと木村拓哉さんの人気を不動のものした『ロングバケーション』(フジテレビ系・1996年)。この作品の脚本を手がけたのが、『半分、青い。』の脚本家でもある北川悦吏子さんだ。作中にも『ロンバケ』のシーンを彷彿させる演出がちょくちょく登場し、話題に上がった。
「恋っていうのは探すもんじゃなくて、出会ってしまうもんなんや。恋はするもんじゃなくて落ちるもんなんや(第16話)」
「楡野、描け。(失恋に)泣いていないで、いや、泣いてもいいから描け。マンガにしてみろ。物語にしてみろ。楽になる。救われるぞ。創作は、物語を作ることは、自身を救うんだ。私はそう信じている。物語には人を癒やす力があるんだ(第62話)」
北川さんは、ドキッとするセリフをドラマへ落としていく。それは、中年男子たちの世代を青春時代へ引き戻してくれるかのようだ。彼女が「半分、雨」とか「半分、晴れ」とかありがちな表現ではなく、あえて「青い」とつづった世界観。そういうドンと刺すようなダイレクトさが、視聴者の気持ちを突いたのだと思う。
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10月になると、新しく安藤サクラさん主演の『まんぷく』がスタートする。そして私たちはまた視聴する。そうやって朝ドラはぐるぐる回る。毎朝15分のお守りみたいなものでもあり、「観続ける」という達成感にニンマリできる朝ドラを秋本番でも期待したい。
※この記事は2018年9月16日時点で執筆されたものです。
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