面白そうだ! 使ってみたい! とにかく写真を撮ってみたい――。そんなふうに撮影意欲をくすぐるカメラにはそうそう出会えるわけではありませんが、今回、久しぶりに刺激的なカメラにめぐり会いました。キヤノンの新作コンパクト「PowerShot SX740 HS」です。

  • キヤノン「PowerShot SX740 HS」

特に心を動かされたのは、その光学性能のスゴさです。PowerShot SX740 HSは、奥行き39.9mm、重量299gという薄型軽量ボディながらズーム倍率はなんと光学40倍に対応。35mmフィルム換算の焦点距離は、ワイド側が24mm相当で、テレ側は960mm相当にもなります。

つまり、胸ポケットに入れて気軽に持ち歩けるサイズと重量にもかかわらず、広角から超望遠まで幅広くこなせるのです。その圧倒的なスペックを知った瞬間に、もう撮りたくなって撮りたくなって仕方ありません。この抜群の携帯性は旅行用にも最適です。

広角も望遠も軽快なフットワークで楽しめる

思い立ったが吉日。さっそく新幹線に飛び乗って撮影旅行に行くことにしました。ここからは、旅で撮った写真を見ながらPowerShot SX740 HSの実力を見ていきましょう。

  • 旅撮影では、荷物を最小限にして軽いフットワークで歩き回ることが大切。PowerShot SX740 HSは、そんな旅用にうってつけの薄型軽量ボディです

まず向かったのは、観光スポットランキングでも常に上位に入っている神社です。日曜の昼ということもあり、世界中からやってきた大勢の観光客でにぎわっています。正直なところ、あまりの人の多さに一瞬気持ちが折れかけました。

しかし、今回の旅のお供PowerShot SX740 HSなら心配は無用です。たとえ自由に動き回れなくても、どんなに人が多くて邪魔になったとしても、光学40倍ズームを状況に応じて調整することで、人がいない部分のみを切り取るようにして撮影できます。以下の作例は、風景のおいしい部分のみを抜き取った写真です。これらを黙って見せれば、大混雑の中で撮ったとは誰も気づかないでしょう。

  • SNSでもおなじみの千本鳥居。手前が影に、奥が明るくなった部分をギリギリのフレーミングで切り取り、その神秘的なイメージを強調しました

  • 連続する「奉」の文字部分をクローズアップにして画面にリズム感を与えています

  • 鳥居の赤は、その背景に緑を写し込むとコントラストが際立ちます。発色は、誇張を抑えた素直な色です

  • 千本鳥居に加えて石段の部分をズームアップして圧縮。実際には、前後は人だらけですが、写真からは静粛な印象を受けます

  • ズームのテレ端を使って吊り灯籠を圧縮。細部の質感まできっちりと再現できています

  • 光学40倍ズームには、どんなシーンでも絵にしてしまう圧倒的な利便性を感じました

  • あえて-1の露出補正を加えてアンダー気味にすることで、重厚感のある表現を狙ってみました

  • 逆光でもゴーストやフレアは目立たず、高コントラストな写りが得られます

  • 望遠だけでなく、広角撮影も便利。24mm相当という広い画角を生かして遠近を強調し、ダイナミックな構図にまとめました

  • こちらは、左の写真の狛犬のみを光学40倍で撮影した写真。左の写真は1倍ですので、40倍の威力が伝わるはずです

  • 液晶モニタは、上方向に最大180度まで可動するチルト式。ローアングル撮影のほか自分撮りも楽しめます

  • 参道で見つけたネコをローポジションから撮影。あえて周辺に何も入れない、切り詰めたフレーミングを選択することで眼の表情を強調しています

  • 置物など小さな被写体は、近寄ってワイド側で撮りがちですが、あえて離れた位置からテレ側で撮るのも効果的です

  • 食べ物や飲み物を撮る際は、通常よりも明るく鮮やかな色になる「料理モード」で便利です。ズームは約9倍(約216mm相当)の位置を使用。背景には美しいボケが生じています

この神社では、PowerShot SX740 HSの光学40倍ズームとチルト可動式液晶が大活躍し、都会のラッシュアワー並みの混雑にもかからわず狙いどおりの写真を撮影できました。さらにいえば、猛暑の中で1200段以上の石段を登って神社の頂上まで行けたのは、299gの軽量ボディだからこそです。