「はじめまして~! どうぞよろしくおねがいします~!」そんな声とともに全身ピンクの「カワイイ大使」、木村優さんが登場すると会場は瞬時に明るくハッピーなオーラに包まれた。
今回はそんな木村優さんに新しいワコムのペンタブレットWacom Intuosを使ってもらいながら自身の創作に対する思いや、それを実現するためのプロセスなどを伺った。
現在、Wacom Cintiq Proを使って『ピスタとチオ』という漫画の制作を進めているそう。そのきっかけはどういったものだったのか、どのような作品になるのか詳しく伺ってみた。
「心のままに生きる、それが原宿」
――そもそも『ピスタとチオ』とはどういった作品なのでしょうか。
木村さん:「もともと『ピスタチ汚さん』という全裸の豆のキャラクターがいたのですが、あまりにもファッション性に欠けるというのがあって。(笑)
自分で作ったアニメとファッションを融合させて世界へ発信するのが私の一番の夢だったので、「ピスタチ汚さん」を2つに分けて、可愛くてファッション性のある「ピスタ」と「チオ」が生まれました。
『ピスタとチオ』のストーリーは「心のままに生きる、それが原宿」をテーマに掲げています。もしも日本の総理大臣が実業家出身で、しかもそれが製薬会社で、遺伝子で政権を支配したらという、今私たちが生きる日本のパラレルワールドのお話です。
私の生きてきた原宿やロリィタファッションの世界観の中に、政治や医学など自分が興味のある真逆な要素を突っ込んだのは、これがありのままの「木村優」の姿なんだと世の中に叫びたかったからです。私はそもそも原宿が好きな人達って、好きな服を好きに着て「これが自分だ!」って表現したい人達なんだと思うんですよ。原宿は「ありのままの自分を表現したいという衝動」の総称だと思うんです。
その純粋な気持ちや情熱が「原宿」という文化を作り上げたんだと私は分析しています。 自分が着たいから着る!以上!という感じ。
私が外務省さんから原宿ファッション日本代表の「カワイイ大使」に選んでいただいたのもそれは結果であって、大前提として着たいから着る!やりたいからやる!っていう純粋な衝動が根底にあったからこそ国を動かし世界を動かしたんだと思います。大事なのは自分の心であり、自分がどうありたいかなんです。
パリのジャパンエキスポに参加させていただいた時、世界はこんなにも日本のカルチャーに興味を持ってくださっているんだと驚きました。
そこから、アニメを自分で作りたい!『ピスタとチオ』をアニメにして、そこから彼女達の洋服をリアルクローズとして世界に発信していこうと決めました」
“原宿”を舞台にすると”秋葉原”ではウケない!?
――なんとも壮大なスケールの夢ですね。
木村さん:「そうですよね(笑)。わたし自身その時は周りにアニメ業界の知り合いなんて1人もいなかったので、右も左もわからず体当たりで企画を持ち込みするしかなかったのですが、アニメ化には莫大なお金が必要だということを知って絶望的になっていました。
でもよくよく考えたらブランドを作る時だって相当な困難を乗り越えて来ているので、アニメだって同じだと思ったんですよね。
そしてついにご縁をいただいて先日初めて『ピスタとチオ』に出資を検討してもよいというお声がけをいただいたんです。
でもここに来てまた己を試されるようなハプニングが起こったんですよね。(笑)
ここまでくるのに9年かかってますから、本当に嬉しかったです。でもここに来てまた己を試されるようなハプニングが起こったんですよね。(笑)
“原宿”を舞台にすると”秋葉原”のお客さんはつかないから舞台を変更した方がいい、男性が嫌がるからBL要素は抜いた方がいい、など、私が表現したい核の部分を変更するようにご提案いただいたんですね。
アニメ制作の魅力は多人数で制作するところにあると思うんです。でもその多人数の心がバラバラな方向を向いてしまうような環境であればそのプロジェクトは絶対に失敗すると私は思いました。
なので本当に有り難いお話だったのですが、このまま無理矢理アニメ制作の話を進めるのは辞めました。
私は『ピスタとチオ』を一人で漫画化してネットで無料公開する事にしました。漫画を読んで『ピスタとチオ』のストーリーや信念を一緒に表現したい!と心からわくわくして手を挙げてくださった方とアニメを作ります。
作品作りは本来そうでなければ作る意味が無いと思っています。着たいから着る!の心が国を動かしたように、作りたいから作る!であるべきなのです」
――すごい決心をされたんですね。漫画としてスタートするとのこと、作画はどのように行なっているのでしょうか?
木村さん:「今まさにWacom Cintiq Proを使って『ピスタとチオ』の制作を進めています。悩みに悩んで今年の1月の半ばに購入したのですが、これまで使用していた古いIntuosからの進化がすごくて魔法使いになったような気分でした。
私はレイヤーを膨大に作ってしまう方なのですが、Wacom Cintiq Proになってから画面も大きくなったのでとても使いやすいです。とにかく描き心地が紙と変わらない、というか、紙より遥かに描きやすくて感動でした。
作品としてはただ可愛いだけでは私には物足りなくて、ダークなものが可愛さの中に見え隠れしたり、狂気や刹那も表現できたらいいなと思っています。全ては陰と陽。光があれば必ず影があるというのが私の作品の特徴です。
もしかしたら作品を作るにあたっていきなりWacom Cintiq Proを使うのはハードルが高いと感じる人もいるかもしれませんよね。そんな方は、まずは私のようにWacom Intuosから始めてみるといいと思います。アイディアを形にできる喜びをきっと感じられるはずです」
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彼女が立ち上げたロリィタブランド「KawaiiHolic.」のデザインにもそういった要素が多分に盛り込まれているそうなので、ぜひサイトを訪れてみてほしい。
次回はいよいよ最新版Wacom Intuosを使用し、実際に作画を行ってもらう。
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