「はじめまして~! どうぞよろしくおねがいします~!」そんな声とともに全身ピンクの「カワイイ大使」、木村優さんが登場すると会場は瞬時に明るくハッピーなオーラに包まれた。
今回はそんな木村優さんに新しいワコムのペンタブレットWacom Intuosを使ってもらいながら自身の創作に対する思いや、それを実現するためのプロセスなどを伺った。
「自分はなんて価値のない人間なんだろう」
――木村さんがこのような活動をすることになったきっかけについて教えてください。
木村さん:「中学受験をしてエスカレーター式の進学校に通っていました。毎日毎日勉強とテストの生活で、当時はただ言われるがまま必死に勉強して、自分の人生を生きれていなかったなと思います。
自分の意思でやってないことは本当に身につかないというか、中学を卒業する頃には成績がガタ落ちしていたんですね。
そこで自分はなんて価値のない人間なんだろう、と思ってしまって。高校に上がる時に初めて自分の意思でエスカレーター進学をやめ、自由な校風の一般校を受験しました。
当時はアフロヘアにしたり、奇抜な服を着たり念願のバンド活動を始めたりと、周りから密かに『ビジュアル系』というあだ名で呼ばれてました(笑)」
ワコムとの出会いは「魔法みたい」
――一番初めにワコムさんを使ったのはWacom Intuosの前身となるFavoと伺いましたが。
木村さん:「小学校からアナログで漫画を描いていたこともあり、9年前に弟のおさがりのFavo初めてもらって、何これ!魔法みたい!と感動しました。
私は『色彩』にとても関心が集中しているというか、絵を描くならカラーじゃないとダメ! みたいなのがあって。コピックや着彩用のペンをたくさん揃えるのも、子供からすると結構な額なので大変なんですよね。
当然紙も消しゴムもスクリーントーンだってタダじゃないわけで、それに対してデジタルならそれが全部タダ! 色も全部揃ってる! しかも何度も消せる! というのが単純に驚きの連続という感じでした。シャープペンを持つようにデジタルペンを持って、同じように描くだけなのに可能性が無限大!
それでデジタル作画に夢中になり、のちにIntuos 3にバーションアップして本格的に服のデザインなども始めました。
なので、いま何かを作りたい、描いてみたいって思う人は、Wacom Intuosみたいにツールもすごく進化していますし、アイデアを形にできるはずです。私からしたら今の子がとってもうらやましく思えますよ!(笑)」
――服のデザインというと、最近ではお菓子屋さんの制服デザインを担当するなど益々ご活躍と伺いました。
木村さん:「もともと可愛いものや、突拍子もないものが好きだったのですが、洋服を作り始めた時は、実はブランドを立ち上げたい!というのではなく、当時バンド活動をする中で、とにかくお金がなくて自分の着ないパジャマをリメイクしてお洋服を作り、CDの横で売ってツアーを回る活動費にし始めたのが最初でした。
今思うとおかしいんですが、自分の衣装にもお金がかけられないから、安くて可愛いお菓子を縫いつけたりしてアレンジしていたんです(苦笑)」
”ピンク”のルーツは?
――木村さんといえば、いまや”ピンク”がトレードカラーです。
木村さん:「外務省さんから原宿の文化を世界に広める『カワイイ大使』の候補に選んでいただいたのがきっかけですね。
『これが決まったら自分を見てもらえるチャンスだ!』と思ったので『ブランドをやりたい』という企画書とお菓子がついた服を持っていったんです。そしたら、君みたいに『原宿』を自ら体現している人は他にいないと選んでいただいて。
活動が始まって初めてパリに行った時、ピンクの髪をしていったらみんなから「サクラちゃん」って呼ばれたんですね。今思えば当時忍者アニメが世界的にヒットしていて、その登場キャラクターがピンクの髪で「サクラ」っていう名前だったからだと思うんですが。(笑)
でもその時は『嬉しい!私、サクラの花のような日本を代表するクリエイターになりたい!』って思ったんです。
海外の人にとって、日本人の顔って薄いので覚えづらいというのもあったので、だったら今度は全身ピンクで行ったら記憶に残るんじゃないかって。そこが始まりだと思います」
まずは自分を表現するためにチャレンジを!
――なるほど、ピンクは日本からではなく海外から、だったんですね。
木村さん:「活動をしていく中で、あるディレクターの方に『優ちゃんは何歳までピンクやるの?』と聞かれたことがありました。私が『いや~あと5年くらいですかね~(苦笑)』と中途半端な返事をしたら、『優ちゃんは死ぬまピンクです。今はただの”ピンクを着ている人”かもしれないけど、100年やったらそれは文化になるよ』って言われて。
そこで初めて『え、いいんだ。わたし死ぬまでピンクでいていいんだ』って、すごく嬉しかったんです。いつの間にか年齢とか、世間体とか気にしてた。でも、そのディレクターさんの言葉で、やっぱり自分はピンクやこのカラフルな世界が大好きでそこにいたいと願っているんだなって改めて気づいたんです。
周りの人がいて、アドバイスがあって、やっと自分という形が見えてきたという感じです。
私のように、やりたいことや個性を認めてほしいと思っている人はいっぱいいると思います。だけど、他人に認めてほしいとか、誰かにかけて欲しいと思う言葉は、本当は自分自身にかけてもらいたい言葉であり、本当に認めてもらいたいのは自分自身なんです。自分のやりたいと思う気持ちを許してあげる、なりたい自分になれるという事を認めてあげる。その上で行動を起こせば、必ず夢は叶います。
先程も言いましたが、表現するためのツールが今は充実してますし、まずはぜひチャレンジしてみてほしいですね」
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紆余曲折を経て、現在のスタイルに近づいてきた木村優さん。次回は現在の活動にフォーカスしてお話を伺っていく。
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