読者の皆さんの中には、中高生のお子さんがいらっしゃるご家庭も多いと思う。では、そんなあなたにお尋ねしたい。この2018年4月に高校入学するお子さんが、高校3年生になる2020年度から、大学入学試験の制度が大きく変わることをご存じだろうか?
今回は、新しい入試制度がどう変わるのかと、その対策について、高等学校で英語の指導にあたられている先生にインタビュー。学校ではなかなか聞けない貴重なお話も、盛りだくさんでお届けしたい。
お話を伺うのは、高校英語教育のエキスパートである、トキワ松学園中学校高等学校の英語科教諭、岩谷奈美先生。トキワ松学園中学校高等学校は、東京都目黒区にある私立女子校。創立100年の歴史と伝統を持ち、中高一貫教育のもと、高校では「特進」「進学」「美術デザイン」コースを設けるなど、進学に大変力を入れている。
―― まず、これからの大学受験がどのように変わるのか教えてください。
岩谷先生 :「まず、現在の『センター試験』が2019年度で廃止され、2020年度から『大学入学共通テスト』に変わります(※)。センター試験の出題形式はすべてマークシートでしたが、大学入学共通テストでは、論理力や思考力を問うような記述問題が出題されます。
中でも大きく変わるのが英語。今までの『読む』『聴く』の2技能から、『書く』『話す』を加えた4技能の試験になります。さらに、(移行期間を経て)2024年度以降は、共通テストから英語試験そのものがなくなる予定です」
※ 大学入学共通テストの詳細はまだ検討中で、今後変更される可能性がある。ここでは、2017年7月に文部科学省より発表された「大学入学共通テスト実施方針」を参考にしている。
―― えっ、では、受験生の英語の評価はどうなるのですか?
岩谷先生 :「民間の外部試験がこれにとって代わる予定です。高3の4月~12月の間に受けた外部試験の成績が評定対象となります。たとえば、『英検』や『TEAP(ティープ)』、『GTEC(ジーテック)』、『TOEIC(トーイック)』などですね。一部の私大ではすでに導入されている制度ですが、これが国公立大の試験にも適用されるようになります」
なお、仕組みとしては、外部試験の成績提供システムを新たに設けて、そこに試験結果が集約され、各大学はここから成績を受け取ることになるという。
岩谷先生 :「ただ、大学入学共通テストで採用される民間試験や、各大学がどういう対応をするかは、まだ最終決定はしていないので、常に新しい情報にアンテナを張っておく必要があります」
(編注:今回のインタビューは2018年2月中旬に行いました。大学入学共通テストや英語試験については、状況が変わっていく可能性があります。常に最新の情報を参照いただけますようお願い申し上げます。)