日本全国どこにでもあり、認知度は高いものの、知っているようで実はよくは知らないのが"消防団"という存在。果たして世間一般の人々はどのようなイメージを持っているのだろうか。今回、マイナビニュースの読者会員を対象に、消防団に関するアンケートを行った。
回答したのは、全国の20~40歳までの男女300人。その結果、「消防団を知っている」と答えた人は全体の81%と大半の方が消防団の存在は認識していることが分かった。しかし、一方で「知っている」と答えた人の中で「入団したことがある」と答えた人は20.7%に留まるなど、実際に消防団として活動した経験をもつ方は多くないことが明らかに。
そんな消防団に対するイメージとして最も多かったのは「大変そう」で50.2%。次いで「仕事や日々の生活との両立が難しそう」(41.6%)が続き、その仕事イメージがハードであることから敬遠している人が多い様子が伺えた。
現に、入団未経験の人の理由としては「出来る自信がない」(51.2%)「忙しく、時間がとれない」(44.1%)の順に多く、消防団に対するイメージと直結している。だが、「入団の仕方がわからない」(28.2%)、「誰でも参加できるとは思わなかった」(23.9%)という回答も多く、入団方法が分からず、入団できていない方もいるという現状が示された。ちなみに、消防団への入団資格は、一般的に18歳以上でその市町村に居住しているか、勤務している人なら性別・職業を問わず誰でも参加できる(※)。
今回のアンケート結果から、世間の消防団に対するイメージは「大変そう」「仕事との両立が難しそう」といった躊躇や「どうやって参加できるかわからない」といった理由から実際に参加できない人も多いことが明らかになった。
そこでここからは、知っているようで意外に知らない”ホントの消防団”の実態について紹介していきたい。
そもそも消防団とは、消防本部や消防署と同様に消防組織法に基づき、すべての市町村に設置される消防機関。全国でその数約2,200団、約85万人の消防団員が活動している。このうち女性消防団員は約2万5,000人で、全体の約73%が会社員の団員だ。
消防署とは異なり、消防団は火災や大規模災害発生時に自宅や職場から現場へ駆けつけ、地域に密着した経験を活かして消火活動・救助活動を行う、いわば地域における"消防防災のリーダー"といった存在だ。災害発生時以外にも、近年は独り暮らしの高齢者宅への訪問活動などが増え、女性消防団員の活躍の場が広がっている。また、消防団員には自治体から数万円程度の年額報酬や、災害活動や訓練に出動した際の手当てが支給される。
そして、消防団員の中には学生も少なくない。
20歳の男子大学生で、現役の消防団員は「活動自体は年10回程度。土・日がメインですので、学校優先で活動しています。
週4日はおすし屋さんでアルバイトもして、友達と一緒に大好きなボーリングを楽しんだり、学生生活を十分にエンジョイしながら消防団活動を続けています」と話す。
また、幼稚園児の子育てをしながら活動する33歳の主婦は活動を続ける理由を次のように語る。
「消防というと男性のイメージが強いですが、例えば女性を救護するのは時として同じ女性のほうが良い場合もあったりと、女性が求められている部分もたくさんあるのだなと活動を通じて感じました。
一人の女性として人生に自分らしい足跡を残したいという想いもあり、それが私の場合、大好きな消防団なんです」
ほかにも、団員歴9年目の28歳の男性会社員は消防団の活動が仕事や実生活にも役立っているという。「自分でも信じられないくらいポジティブで社交的になりました。火災現場で行う避難誘導や通行人の整理などは1分1秒を争うことなので、もう超積極的にやるしかないんですね。そういう意味では肝が座ったぶん社交的になったのかなと思います」
このように、実際に消防団員として活動している人の話を聞くと、想像しているよりも働く条件のハードルは高くなさそうに思える。しかも仕事やプライベートとも両立できている様子で、何と言っても地域に貢献できて人から感謝されることにやりがいを感じている人が多い。
今回のアンケートでも「地域(地元)に貢献したいと思ったことがあるか」という設問に対し、「はい」と答えた人は60.7%にものぼったが、「(地域貢献)したいとは思っているが具体的には今はしていない」と答えた人も53.7%を占めるなど、地域に貢献したいと考えている人の潜在的な高さを示す結果が出ており、このような方にはピッタリの仕事といえるだろう。
さらに完全なボランティアでなく一定額の報酬も支給される立派な"仕事"でもあり、消火活動や防災、応急手当など実生活に役立つ知識も得られるとなればいいこと尽くめではないだろうか。新年度に向けて、心機一転何か新しいことに挑戦してみたいと考えている人は選択肢の1つとして消防団への入団を検討してみてはいかがだろうか。
消防団参考動画1
消防団参考動画2
消防団参考動画3
(※)消防団への入団資格は、詳しくは自治体ごとに条例で定められています。
[PR]提供:総務省消防庁