ワコムはこのほど、夏休み企画「クリエイティブ法人ワコム学園 夏季特別研究会」として、「ゲームクリエイターへの道」講座を実施した。カプコンのキャラクターデザイナー、みみま先生とよこやまだ先生を講師に招き、子供たちにゲームのキャラクターデザイナーという仕事について講話した。
カプコンのキャラクターデザイナー、みみま先生とよこやまだ先生を招き、夏休み特別講座が行われた |
デザイナーになるまではどんな子だった?
講師のみみま先生とよこやまだ先生は、カプコンで『モンスターハンターフロンティア』のモンスターや武器・防具のデザイン画、CG制作などを担当しているキャラクターデザイナー。2人はまずは子供たちに、自分たちがどんな子供だったのかを話した。
みみま先生は、「ゲームは1日1時間」という、ごくごく普通の小学生だったそうで、中学の頃も普通に勉強を頑張る子供だった。高校に入ってから、友達がイラストレーターを目指していて、「絵を描くことが仕事になるんだ!」と気付き、絵を描くことが好きだったし、仕事にしたいと思い始めたという。その後、美術大学に進学し、デジタルデザインの勉強をする中で、ただ絵を描くだけでなく、その絵で遊んでもらいたいという気持ちが芽生え、ゲーム会社への就職を考えるようになったという。
一方、よこやまだ先生は、ゲームだけでなく本も好きで、自分で小説の設定を考えて書いたりするときに、主人公やヒロインのイラストを描いてみたのが絵を描き始めるキッカケだった。描いたものはWebに公開していたが、高校生のときにそれを見た人からイラストの依頼が。それが実際に専門学校のイラストとして採用されたことで「絵を仕事にしたい!」と思うようになったという。大学は総合大学の美術科に進学。ゲームを片っ端からプレイし、どこが面白かった、どうすればより面白くなるのかをメモする作業を続けており、大学2年生のころにはゲーム会社に入りたいと決めていたそう。
ゲームができるまで
続いて、実際にゲームを作るためにキャラクターデザイナーがどのような仕事をしているのかについて教わった。ゲームキャラクターは、洋服の下の部分など目に見えている部分以外のところも細かくデザインされていることなどが説明されたほか、デザイナーをはじめ、プログラマー、アニメーター、企画、サウンドデザイナー、デバッカーなど、さまざまな職種の人々が力を合わせてゲームが作られていると語られた。
モンスターハンターの場合、「デザイナーは、企画部のメンバーからアイデアを貰って、ひとりひとりが“こういうモンスターだったらかっこいいな”という、熱い思いをデザインにしていく。細かいメモのようなものもどんどん書き込んでいきます」と、些細なアイデアもどんどん絵にしていくという。
モンスターが出来上がっても、それだけでデザインは終わらない。「モンスターから剥ぎ取ったもので武器や防具が作られるので、そのデザインもやっていかないといけない。そのデザインが出来上がると3DCGデザイナーが立体的なデザインにしていきます」と、制作の進め方が紹介された。
この日は、実際に3DCGデータがプロジェクター上で紹介され、彩色やサウンドが施されて実際にどんな動きのモンスターになるのかを動画で見ることもできた。
実際にモンスターをデザインしてみよう
ひと通り、ゲームができるまでを学んだところで、実際にモンスターデザインに挑戦することに。子供たちは、ペンタブレット「Intuos」を使って、用意されたモンスターのイラストに自分で線を描き加えたり、色を塗ったりしながら、自分ならではのモンスターに仕上げていく。子供たちは奇抜なカラーリングにしてみたり、背中からパイプを生やして水を放出してみたりと、思わずよこやまだ先生も「面白い!」と言ってしまうような力作を完成させていった。
ちなみに、子供たちと一緒にモンスターデザインに取り組んだ、みみま先生がデザインしたモンスターは、背中から木が生えたとても大きなモンスター。その大きさがわかるように、人を描き込んでその大きさがわかるようにしたり、植物をモチーフにしたモンスターなので、子供のころは小さな葉っぱのモンスターになるなど、詳細な設定がわかるようなイラストを描き加えたりなど、プロとしてさまざまなアイデアがちりばめられていた。
ゲームクリエイターになるためには?
最後に、子供たちから「影や光の描き方が難しくてよくわからない」という質問があったが、みみま先生は「太陽の位置や光の位置を考えて、そこから離れたところや何かの下になっているところは少し濃い色に、光が当たっているところは明るい色や白を入れると立体的に見えてくる」とアドバイスしていた。
また、父兄からも「ゲームクリエイターになりたいと子供は言っているが、どんなことをしていけばいいのか」との質問が飛んだ。こちらの質問にはみみま先生は「ゲームだけじゃなくて、いろんなことをやっておくことが大事」と回答。よこやまだ先生は「ゲームをしたときに、何が面白いのか、面白くなかったならどこを変えれば面白くなるのかを考えてみること」と答えた。子供たちはもちろん、父兄も大きくうなずきながら話に聞き入っていた。
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