そろそろマンションの購入を考えようか――そう思っている人にとって気になるのは、マンションの適正価格・資産価値だろう。高い買い物だけに損はしたくないし、転勤や出産・親との同居などの家族構成の変化で手放すことがあるなら、当然高く売れた方が嬉しいからだ。
今回、マイナビニュースでは会員向けに「マンション購入」に関するアンケートを実施。その結果をもとに、住宅ジャーナリスト・榊 淳司さんにお話を伺った。
マンション購入のアンケート結果は予想通り……!?
まずはアンケート結果を見ていこう。マイナビニュース会員は30~50代の男性が比較的多めだが、全体としては若年層からシニアまでまんべんなく年代がバラけている。そこからランダムにアンケートをとった400名のうち、現在までにマンション購入の経験がある人は136名、すなわち34%という結果になった。
では、その136名はどんな事前準備と意識でマンション購入に至ったのか。
購入に際して適正価格・資産価値を気にしたという割合は81.6%、実際に調べたという割合は85.6%で、やはり多くの人がマンションの価値を気にしていることがわかる。
一方で、適正価格や資産価値を気にせずマンションを購入した人のうち、36%は失敗したと感じていることがわかった。
もちろん、購入時にはそれぞれ事情があっただろうから、調べる時間的余裕がなかったのかもしれない。とはいえ、やはりマンションの適正価格・資産価値は知っておくにこしたことはなさそうだ。
そうはいっても、マンションの適正価格や資産価値を判断するのは素人にはなかなか難しい。
そこで、不動産の専門家として多数の著書も出版している住宅ジャーナリスト榊 淳司さんに、マンションの適正価格・資産価値の重要性、調べ方などについてお話を伺うことにした。
マンション価格は今がピーク
――本日はよろしくお願いいたします。アンケートの結果、多くの方がマンションの購入にあたって適正価格・資産価値を気にしていることがわかりました。この適正価格・資産価値というのは、どのように判断すればいいのでしょう。
榊さん:マンションの適正価格・資産価値というのは、非常に判断が難しいのです。多くの中古マンションの売買は個人間取引ですから、極端な話、両者が同意すれば同じマンションの部屋が5000万円でも1億円でもいいわけです。だから一般の方が厳密な意味での適正価格を知りたければ、これはもう不動産鑑定士にお願いするしかないと思います。
しかし、最近ではマンションレビューのようなプロでも参考にする優れたサイトも登場しました。一般の方でも、かなり正確な市場観が掴める環境が整ってきました。
また、マンションの価値は一般的に9割が立地で決まります。ですから、購入する場合はまず場所を絞り込んで、ひたすらその周辺の物件の価格をチェックしていると、適正価格がわかってくるでしょう。
――適正価格・資産価値を知らないと損をすることも考えられますか。
榊さん:第三者にのせられて適正価格よりも高く買ってしまうのを防ぐことはできるかもしれませんね。
――現在から将来にかけて、マンションの価格はどうなるのでしょう。
榊さん:2012年くらいから不動産の価格は上昇しています。理由の一つは建築費の高騰です。20年くらい前までは、だいたい20坪の建物(マンション1室あたり)を造るのに1,000万円くらいで済んでいたのですが、今や2,200万円くらいまで上がっています。なぜ値上がりしたかというと、職工さんが不足しているからです。
また、2011年に東日本大震災が発生し、復興事業で職工さんが東北に流れました。すると都内はさらに工事が進まなくなり、建築費が上がってきたのです。
もう一つの原因はアベノミクスです。不動産が値上がりしても買う人がいるので、どんどん値上がりしてきた。なぜ一般の人が買うのかというと、金融緩和で住宅ローンの金利が下がったからです。アベノミクス以前は金利優遇後で1~1.5%くらいだったのが0.475%くらいまで下がったので、不動産を買う人が増えました。その結果、マンションの価格も上がっていったというわけです。
さらに、2015年から相続税の課税基準が引き下げられたことで、金融資産から不動産への資産シフトが起こりました。2015年には外国人による不動産の爆買いも目立ちましたね。
ほかにも理由があります。2015年にはインバウンドが急増し、ホテルが足りなくなりました。ホテル用の土地をどんどん買った結果、不動産価格は高騰しました。東京オリンピックも決まり、湾岸エリアもこれからさらに上がるんじゃないかということで売れていったのです。
――いろいろな要因が重なってマンション価格が上がっていったのですね。
榊さん:ただし、今がピークでしょう。これ以上、上がる要素がないので今後は下がっていくと思います。実際に今年に入ってからは下がり始めているんです。需要と供給でいうと、マンションは完全に供給過多です。タワーマンションも空室だらけなんですよ。今は崖っぷちで、何かきっかけがあれば、はっきりと下落に入ると思います。
――ということは、待っていればさらに下がるということでしょうか。
榊さん:ただ、マンションの購入って価格だけで決めるものでもないですよね。今買わなきゃいけないとか、個人の事情がありますからね。
中古がおすすめ! マンション選びのポイント
――そうですよね。では今買うとして、マンション選びのポイントはありますか。
榊さん:築10年くらいの中古をおすすめします。どうしても新築に住みたいならお財布と相談ですが、新築って資産価値を計るのが難しいんですよ。マンションの資産価値って、周りにどんな人が住んでいるかでも変わりますからね。上の階に住んでいる人がどんな人かによって価値が落ちることもあるし、管理組合が不正をやった結果、管理費を余分に徴収される……なんてこともあります。あるいは、施工不良もありえます。
――施工不良?
榊さん:たとえば雨漏りです。表に情報が出ていないだけで、雨漏りするマンションってけっこうあるんです。そういう管理状態みたいなものは、だいたい築10年あれば出尽くすんですよ。だから、新築で今後どうなるかわからないマンションを買うより、10年くらいたっている中古マンションの方が資産価値の面から見ても安心でしょうね。
――なかなか判断が難しいですね……。
榊さん:そうなんです。たとえば複数の進学校の学区内というだけで、周辺よりも不動産の価格が高い土地なんかもあります。マンションの適正価格はそうしたいろいろな要因で決まるので、先ほど言ったように、場所を絞り込んで長期間チェックし続けないと見えてこないでしょうね。
――ありがとうございました!
AIがマンションの適正価格・資産価値を教えてくれる「マンションレビュー」
榊さんのお話にもあったように、マンションの適正価格・資産価値を正確に知ることは、なかなか簡単ではなさそうだ。長期間に渡ってチェックするのがベターな方法とはいえ、マンション購入を急ぐ人にとっては現実的ではないかもしれない。
そうした方におすすめなのが、マンション情報サイト「マンションレビュー」。このサービスは、AIがマンションの適正価格・資産価値を瞬時に算出してくれる上に、過去5年以上に渡る、各マンションの販売履歴が無料会員登録のみで閲覧できるため、榊さんのお話にもあった、購入検討エリアや購入検討マンションの販売価格のチェックがピンポイントで簡単にできる。一般の消費者が、購入検討エリアのマンション価格を自分で調べて記録するのは現実的にかなり難しいが、このサイトを使えば1分で把握できるので、忙しいビジネスマンにはありがたいサイトといえるだろう。
ほかにも、「資産価値情報(マンション偏差値)」「各マンションの販売履歴・騰落率(新築時と現在の中古価格の価格変動率)」「賃貸時の賃料履歴」「部屋条件別の自動査定」「居住者の口コミ情報」「エリア内での相対評価(ランキング)」など、様々な角度からマンションの本当の価値を教えてくれる。
実際の住み替えの場面では、不動産ポータルサイトや不動産会社のサイトで気になる物件を見つけたら、そのマンションをマンションレビューで調べて、適正価格と資産価値を確認したり、購入検討エリアのランキングをチェックして、エリア内の資産価値の順位を把握するという使い方になる。マンション購入前に確認することで、「買った後に、相場よりも高く買ってしまったことに気付く」のを防ぐことができる。
そのマンション、買うべきか。
多くの人にとって、人生最大の買物を後悔しないものにするために、本格的な検討の際は、適正価格と資産価値を忘れずに調べていただきたい。
■取材協力
榊 淳司さん
京都府出身。
同志社大学法学部および慶應義塾大学文学部を卒業。
1980年代後半のバブル期以降、四半世紀以上に渡ってマンション分譲を中心とした不動産業界に関わる。
現在は、一般ユーザーを対象に住宅購入セミナーを開催するほか、新聞や雑誌に記事を定期的に寄稿。ブログやメルマガで不動産業界の内幕を解説している。
調査日: 2017年6月28日~29日
調査対象: マイナビニュース会員 男女
調査数: 400人
調査方法: インターネットログイン式アンケート
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