2016年3月に発売され、好評を博したカシオのSmart Outdoor Watch「WSD-F10」(以下、F10)。その第2弾「WSD-F20」(以下、F20)が発表された。待望のGPSを内蔵しながら税別価格を51,000円と、前モデルのF10(税別70,000円)より低価格に抑えるなど、潜在ユーザーの背中をさらにひと押しする製品となっている。また、今回から新たに「PRO TREK Smart」のブランドネームを冠したのも注目すべきポイントだ。そこで、商品企画を担当された新規事業開発部の岡田佳代氏、そして元祖PRO TREKのモジュール開発に携わる時計事業部の牛山和人氏の両名を迎え、お話を伺った。余談だが、岡田氏は登山歴5年、牛山氏は登山歴10年・登山ガイドの資格保有のベテラン登山愛好家でもある。
「低消費電力GPS」と「カラー地図」を「単体で」使える!
――まず、F20の特長や前モデルであるF10からどう変わったか教えてください。
岡田氏: 最大の特長として「低消費電力GPSの内蔵」と「カラー地図をウオッチ単体で使える」ことが挙げられます。これはF10からの大きな進化です。
GPSを内蔵したことで、F20単体で位置の測定やスピード計測ができるようになり、F20に内蔵したアプリの可能性が広がりました。しかも、あらかじめスマホ経由でカラー地図をF20にダウンロードしておくことで、スマホがなくても現在地を地図上ですぐに確認できます。つまり、スマホが圏外になってしまうような山中でも、地図と位置情報が必ず使える。これは大きなアドバンテージです。
――F20が単体で(スマホと連携せずに)使えると、ほかにどんなメリットが考えられますか?
岡田氏: スマホを持って行くのがためらわれるシチュエーションですね。たとえば、水没が心配なカヤックや、水濡れと転倒時の衝撃が心配なスキー、スノーボードを楽しむときなど。
私自身、開発中のF20を持ってカヤック教室に参加してみたのですが、初心者向けのコースでも想像以上に揺れるし、水も被ります。「スマホを持ってカヤックに乗るのは怖い!」と実感しました。その点、F20ならスマホをロッカーに預けてしまえるので安心です。それに、オールの手を止めたときにボタンひとつで現在地を確認できる。単体で使えるのは、やはり便利ですね。
なお、F20はF10同様、5気圧防水に加え、MIL-STD-810G(米国防総省が制定した米軍の物資調達規格)に準拠しており、落下や振動など過酷な環境下における試験をクリアしています。アウトドアやスポーツでの利用シーンがさらに広がるでしょう。