猫と暮らすうえで欠かせない「ペットフード」。選び方によって健康状態も大きく変わるため、気にかけている方も多いのではないでしょうか。マイナビニュースが会員250名に行った「ペットフードに関するアンケート」でも、「ペットフードは、ペットの健康にどれほど影響すると思いますか?」という質問で「とても影響する」「影響する」と回答したのが合計で217人と、9割近くもの人が「ペットフード」に気を使っていることがわかりました。
ペットフードは、ペットの健康にどれほど影響すると思いますか? |
しかし、数あるペットフードのなかから、どのようなものを選べばよいか悩む人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、獣医師の山本宗伸氏、ペットフードメーカーを代表するロイヤルカナン ジャポンの原田洋志氏を迎え、猫の食事と健康に関するお話を伺いました。
(左から)ロイヤルカナン ジャポンの原田洋志氏、猫専門病院 Tokyo Cat Specialists院長の山本宗伸獣医師 |
ペットフードはすべて同じではない。栄養素を確認することが大切
――今回行ったアンケートでは、犬や猫を飼っている多くの読者が「ペットフード」に気を使っていることがわかりました。私も実家で猫を飼っているので気になるのですが、そもそも「ペットフード」にはどのような種類があるのでしょうか。
原田 使用する目的別に総合栄養食、食事療法食、間食、その他目的食の4種類に分けられます。総合栄養食は、ペットフード公正取引協議会の定める基準を満たし、毎日の主食として必要な栄養素を満たしたフードです。
間食はしつけなどに使うおやつ、その他目的食はサプリメントなどです。食事療法食は特定の病気になったペット用に栄養バランスを調整したフードで、獣医師の指導のもと与えるものです。
――なるほど。では、健康な状態の猫の場合は、必要な栄養素を満たしている総合栄養食が適しているということですね。
山本 ただ、総合栄養食のなかには、余分に取りすぎると結石の原因になるマグネシウムやリンなどが多く含まれたペットフードもあります。そのため、選んだペットフードのミネラルバランスなどは改めてチェックしたほうが安心でしょう。
原田 また、妊娠授乳期、成長期、高齢期など成長段階でも必要な栄養素は異なります。各段階に合わせた総合栄養食、間食、一般食の種別はパッケージに記載されているので、参考にして選ばれるとよいと思います。
山本 獣医師の立場としては、安いからという理由で猫用以外のフードを代用されている方はすぐやめていただきたいですね。猫は必須アミノ酸の要求量が犬などより高いので、不足が続くと心臓や代謝の病気を引き起こす場合があります。猫用のフードはちゃんと猫に必要な栄養素を考えて作られているので、それ以外を使うのは避けるべきです。
――栄養素をしっかり見てフードを選ぶのが大事なのですね。その他、山本先生はフードの選び方に関して、どのようなアドバイスをされていますか?
山本 健康な状態の猫には、成長段階を軸にアドバイスします。まず生後4カ月頃までの子猫は口が小さくお腹も壊しやすいので、食べやすいキブル(粒)サイズで消化率が高く、質の高いタンパク質が得られるものがベストです。
また、適切なカロリーを与えることも大事ですね。この時期は心配になるくらい大量に食べますが、ここで栄養不足になると身体が弱くなりやすいので、たくさん与えても問題ありません。
一方、歳を取った猫は痩せてくると筋肉量が減り肥満になりやすくなります。猫はタンパク質をたくさんとる動物です。なので、オーナーさんは老齢用のペットフードに変えて除脂肪体重を意識しつつ、筋肉量を維持した健康的な体型を守ってあげてください。
――病気を患った猫の場合はどうでしょうか。
山本 猫はフードが治療のカギとなる病気が多いです。例えば、腎臓病や糖尿病、尿路結石をはじめとする下部尿道器疾患などは薬以上に食事が大事なんですよ。一方で糖尿病と腎臓病のように、症状は似ているのに食事療法食の組成が真逆という場合があります。使い方を間違えると悪化させる可能性もあるので、必ず獣医師に相談してほしいですね。
体型の変化はペットフードを見直すサイン
――ペットフードの選び方についてよくわかりました。では、今度はペットフードを見直すタイミングなどがありましたら教えてください。
山本 下痢や便秘が続いたら一度見直してください。便秘の場合は水分含有量の多いウェットタイプや、水分を保持して便を柔らかくしてくれる可溶性食物繊維の入ったフードに変えるとよいでしょう。
また、体型が変化したときも見直すべきタイミングです。毛の長さで隠れがちですが、特に痩せた状態に気をつけてほしいですね。さらに、健康な猫でも7歳を超えると人間の45歳の中年期位になりますので、そこも見直すタイミングのひとつですよ。
――マイナビニュースのアンケートでは「ペットが太った、または痩せたと感じた場合、どのような対策を取るか」という質問で、「ペットフードの量を見直す」という回答が半数以上ありました。先ほど体型のお話も出ましたが、実際のところ量の見直しだけで大丈夫なのでしょうか。他にポイントがあれば教えてください。
山本 量だけではなく、フード自体を太りにくい組成のものにすることが大事です。特に7歳以前の健康な猫は食欲旺盛なので、太りやすい栄養素である脂肪や炭水化物よりもタンパク質の多さを基準にフードを選ぶよう薦めています。現在、室内飼育の猫の40%は肥満傾向にあると言われていますので、オーナーの方も気を付けてフードを選んでいただければと思います。
――40%も肥満傾向とは……驚きました。肥満の増加は時代や環境が影響しているのでしょうか。
山本 時代や環境によるものもありますが、避妊去勢率の高まりも関係あると思います。手術後はホルモンバランスが変わるので、必要なカロリーは減るのに食欲が増します。
そのことに気づかず同じフードをあげていると太っていきますので、術後は意識して食事量を調整する必要があります。ロイヤルカナンさんには、肥満猫用や避妊去勢手術をした猫用フードもありますよね。
原田 はい。体重管理用ですと適正体重を維持するフード、食事療法食扱いの減量用フードの2種類があります。どちらも一番の特徴は腹持ちのよさです。タンパク質で満足感を与え、食物繊維で満腹感をできるだけ持続させる。栄養管理のカギはお腹を空かせにくい食事なんです。
避妊去勢手術した猫用では、カロリーを抑え、より必要な栄養素を補完する組成になっています。
――ロイヤルカナンさんはその他、ペットフードにどのようなこだわりを持っていらっしゃいますか?
原田 弊社のペットフード製造の基本テーマ「ヘルスニュートリション」は、「一頭でも多くの犬や猫を最善の栄養状態にしたい」という考え方が基礎になっています。この考え方のもと、毛の長さや口の大きさなどにも考慮して各ペットフードの栄養量や栄養バランスを変えています。
例えば、口が小さくて食べる速度が遅いペルシャ猫には舌で拾いやすい小さな形のもの、食べる速度が早すぎるシャム猫には大きめで丸呑みしにくいチューブ型のキブルのものなど、犬・猫併せて200種類以上の様々なペットフードを製造しています。
山本 子猫の時代は消化しにくい形や材料だと下痢気味になったり、食べる割には筋肉がつかなくて痩せてしまったりします。問題を放っておくと成長が止まったり、発情が来なかったりと発育に影響が出やすくなるので、バリエーションで調整できるのはいいですね。
原田 水分含有量の面でも水分の少ないドライ、多いウェット、中間のセミモイストとソフトタイプがありますから、体質や好みで選んでいただくといいと思います。
「安心・安全」にもこだわったロイヤルカナンのペットフード
――アンケートでは、フードを買う際の重要ポイントとして「安心・安全」も挙がっていました。ロイヤルカナンさんではどのような品質や安全の管理を行なっていますか。
原田 原材料の調達からお客様の手に届くまで製品の品質管理を一貫して行う「TQM」という総合品質管理システムを導入しています。原材料は工場に入る直前に基準を満たしているか検査し、サンプルはすべて管理されているので問題があればすぐ確認できます。
また工場にはHACCP(ハサップ)に基づく食品衛生の安全管理体制も敷かれていますね。犬猫の健康を維持するための製品を製造する以上、安全であることは大前提ですから。
山本 食の安全性はオーナーさんともよく話すのですが、皆さんかなり厳しくチェックされていますし、フードを選ぶ基準にされている方が多いです。TQMの導入は初めて知りましたが、素晴らしいシステムですね。積極的にお伝えしていこうと思います。
原田 こういった取り組みはWebサイトの「ペットフードの品質と安心・安全」項目でも詳しくご紹介しているので、あわせてご覧いただくとよいかと思います。
ロイヤルカナンジャポンの「ペットフードの品質と安心・安全」に関する取組みはWebサイトで紹介されている ※画像クリックでWebサイトへ |
――今回のお話で、ペットフードの選び方、またロイヤルカナンさんのペットフードに関するこだわりがよくわかりました。最後に、読者の方々へメッセージをそれぞれお願いします。
山本 まずは原材料の安全性と品質管理の点で信頼できるメーカーさんを選ぶこと。その中から年齢と品種で選んでフードが合えばそのまま続けることが大切だと思います。もし胃腸が特に弱い、普通のフードですら太る体質なら獣医師に相談してください。猫が楽しく暮らせるか、おいしく食べられるかどうかを一番に考えてあげてほしいです。
原田 お店には多くのペットフードがあるので、迷われる方も多いと思います。その場合は動物病院の獣医さんやペット専門店の方など専門家のアドバイスを受けられることをお薦めします。家族の一員である猫が健康でいるためにも、フード選びの際は今回のお話やペットフードの「品質と安心・安全」を徹底している弊社の製品のことを少しでも思い出していただけると嬉しいですね。
ペットが健康でいるためにはペットフードが重要。ロイヤルカナンジャポンのWebサイトでは、健康状態のチェック・食事の管理方法について解説されているので、ペットの健康に不安がある方は一度ご覧いただきたい |
調査時期: 2016年11月29日~11月30日
調査対象:マイナビニュース会員
調査数:250名
調査方法:インターネットログイン式アンケート
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