2016年もあっという間に「師走」。年末の恒例行事、年賀はがき作成も近年はお絵かきソフトや、はがきデザインソフトなどの登場で、カラフルでオリジナルな紙面をつくれるようになった。「じゃあ、次は何?」と聞かれたら、今年はこう答えたい。「もう印刷に頼らない。自分でハンコつくっちゃう。しかも3Dプリンターでね」と。
ワコムはこの秋、簡易版のデジタル彫刻ソフト「ZBrushCore」をセットにした「Intuos 3D」を発売した。ワコムストア価格は19,800円(税別)。「約2万円で誰でもかんたんに3D、CGが描ける」というウリ文句のこのセットを使い、"3D・CGド素人"の中年記者が、3Dプリンターでハンコをつくるという無謀な一手に出た。
今回、この企画を実施するにあたり、ド素人中年記者を勇気づける貴重なアドバイスをくれたのは、デザイン・イラスト事務所「HOPBOX」の福井信明先生。福井先生は冒頭、「ZBrushCore」について「イメージとしては粘土細工で遊ぶ感覚に近いと思います。いきなり絵の具で絵を描く要領で立体物を作ることができます。3DやCGの経験がない人でも、すぐ使えるようになりますよ」と、筆者の緊張を優しく解いてくれた。
「もともとは10万円を超えるソフトなので、もちろん操作の面で難しさを感じることもあると思います。そういうのは、すべてなかったことにしてしまえばいいんです(笑)。見なかったことにすればいんです。まずはそこから始めましょう。基本的な機能だけ覚えればいいやと割り切ると、いつしか『あれ、オレこれマスターしちゃってるかも』という域に自然に到達しますから」(福井先生)
そのまま盛るかAltで掘るか
とにかく触ってみようということで、まずハンコのベースとなる"材料"を選ぶ。基本材料は「ライトボックス」の中にラインナップされているから、ここをクリックして立方体の「Cube」を選ぶ。この立方体に、「盛る」、「掘る(削る)」、「延ばす」、「なでる」といったアクションを施しながら、自分オリジナルのハンコをつくっていくというわけだ。
画面上段には「トランスフォーム」「アルファ」「ブラシ」「ドキュメント」「ドロー」……と小難しい単語が並び、下段には「ClayBuildup」「Standard」……と、これまた触る前からビビってしまうツールが並んでいる。
ここは福井先生の言葉を思い出し、難しいことは考えず、出てきた立方体(Cube)にペン(Standardを選択)で描いてみる。すると、立方体の面に、いま流行りの"盛土"ができるじゃないか。
さらにここからは、ハンコをつくるというミッションだから、掘る(削る)というアクションをメインに進めたい。実は、盛るから削るにチェンジするのも簡単だ。Altキーを押しながらペンを進めると、"盛土"ではなく"溝"ができる。1本のStandardブラシで盛る・削るが直感的にできることに、思わず「うおーっ、スッゲー」と思ってしまう。