近年、奨学金制度を利用する学生が増えています。最も多くの人が利用しているのは独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の「貸与型奨学金」。大学生への貸与割合は、平成16年度の23.3%(大学生の4.3人に1人)から10年後の平成26年度には38.7%(2.6人に1人)に増加しています。(※)※日本学生支援機構「日本学生支援機構について」より抜粋。
労働者福祉中央協議会(中央労福協)が行った奨学金に関するアンケート(以下、同アンケート)によると、34歳以下の方の2人に1人が奨学金を利用しており、借入額は平均312.9万円。そのうち6割が有利子の貸与型奨学金を利用しているという結果が出ています。
また、同アンケートでは、日本学生支援機構の奨学金制度の34歳以下の利用者に対して、奨学金の返還条件や滞納リスクなどの理解度を聞いたところ、約4割が「理解していなかった」と回答しています。
奨学金には返済義務のある「貸与型奨学金」のほかに返済不要の「給付型奨学金」がありますが、日本では、一部の大学や企業、地方自治体が運営している「給付型奨学金」は募集範囲が狭く、利用できる人数は限られています。
その他、教育資金をサポートする仕組みには「教育ローン」があります。こちらも返済義務があることは「貸与型奨学金」と同じですが、返済は基本的に保護者が行いますので、奨学金制度とは仕組みが異なります。
それぞれの制度の特徴を正しく理解し、自分や保護者に合った制度を利用することで、少しでも将来の負担を軽減したいものです。
「貸与型奨学金」と「教育ローン」の違い
貸与型奨学金の特徴
貸与型奨学金とは、一般に学生が自立して学べるように、学生本人がお金を借り、在学中の学費や生活費の不足分をカバーするもの。借りるお金は一括して受け取るのではなく毎月定額を受け取り、卒業後に本人が返済します。
最も多く活用されている日本学生支援機構の奨学金には、無利子の第一種奨学金と利息のつく第二種奨学金があります。第一種奨学金は成績が優秀で経済的理由により修学困難な学生等に貸与され、第二種奨学金は第一種奨学金よりゆるやかな基準によって貸与されます。
いずれにしろ奨学金は経済的な理由で修学が困難な学生等を対象としていることから、保護者の収入によって制約が設けられています。また借りることができる金額は、学校の種類や国公立・私立の別、通学形態(自宅、自宅外)などによって決まっています。
なお、近年は大学を卒業しても厳しい雇用環境の中で十分な収入を得られる仕事に就けず、奨学金を返済できない人が増えていて社会問題になっています。
出典:労働者福祉中央協議会(中央労福協) 奨学金に関するアンケート調査結果 ※2015年実施 |
教育ローンの特徴
一方教育ローンは、原則として学生の保護者がまとまったお金を一括で借り、一般的にはその直後から元利金を合わせて一定の期間内に分割して保護者が返済するものです。奨学金が保護者の収入が一定以下であることが条件になっているのに対して、一般的に教育ローンは、保護者に一定以上の安定した収入があることが条件になります。
教育ローンは、日本政策金融公庫が取り扱う「国の教育ローン」や民間の金融機関が取り扱うものがあり、借入額や返済期間は、各金融機関が定めている限度額や期間の範囲内で、借りる人が自由に決められます。
なお、教育ローンは一般的には無担保のローンですが、利用目的が限定されており、年利が5~18%程度のカードローンと比較すると低利でお金を借りることができます。
日本学生支援機構「奨学金ガイドブック2016」を元にファイナンシャルプランナー 中村宏氏が作成 |
大学卒業後の子供に負担をかけたくなければ「教育ローン」を活用する!?
奨学金は、仕送りやアルバイトでは不足する生活費などを補う手段に適しています。しかし、奨学金をたくさん借りると、卒業後、本人の負担が大きくなります。社会人のスタート時から多額の借金を抱えることになり、そのあと長期間に渡って返済しなければなりません。
20代から30代は一般的に結婚や出産、マイホーム取得などのライフイベントがありますが、奨学金の返済負担のために、予定したとおりのライフイベントを実現するのが難しくなるかもしれません。また、収入が少ない場合には奨学金を滞納してしまう可能性もあります。
一方、教育ローンは、受験準備費用や入学金、新生活準備金、授業料など、一時的に必要なまとまったお金を調達するのに適しています。また、奨学金を使う予定をしていながらお金が間に合わない時や、収入条件等を満たさず奨学金が借りられない場合は、教育ローンを活用することになるでしょう。
教育ローンの活用例
Aさんの世帯プロフィール
Aさんは、長男が遠方の私立大学に進学することになり、教育費や仕送りに不安を感じていました。受験費用以外に、長男の大学進学の準備に240万円ほど貯蓄をしていましたが、それではまったく足りません。
2年後には長女の受験・進学が控えており、その資金準備も必要です。そのため長男には、奨学金を借りてもらうことにしました。ただ、将来の長男の返済負担が重くならないよう、奨学金の借入額は月額5万円(年額60万円)に抑え、足りない分に関しては教育ローンで補うことにしました。
教育ローンには、比較的低金利で借りることができる日本政策金融公庫が取り扱う国の教育ローン(教育一般貸付)があります。子供1人につき350万円まで、返済期間は15年以内で借りることができます。なお、現在(平成28年10月現在)の金利は年1.90%です。(※)ただし、子供の数により世帯年収(所得)の制限があるため、収入(所得)が多い世帯は借りられない場合があります。※日本政策金融公庫ホームページより。
ろうきんの教育ローン
その他、民間金融機関も教育ローンを取り扱っていますが、今回はろうきんの教育ローンをご紹介しましょう。
ろうきんの教育ローンには、[カード型]と[証書貸付型]の2種類。
「教育ローン[カード型]」の特徴は、“在学中、限度額内であればいつでも繰り返し利用ができること”。教育資金は、入学金や授業料だけでなく、入学時のアパート・下宿の入居費、部活動の費用、資格取得費用、海外留学費用など幅広く、必要な時期にその都度コンビニATMなどで簡単に引き出す(借りる)ことができます。また、在学期間中の返済は利息のみとなります。
「教育ローン[証書貸付型]」の特徴としては、借入金の受け取りが一括か分割か、在学中に元金を返済するか、金利タイプは変動金利型か固定金利型かなど、各ご家庭の事情に合わせて選択ができることが挙げられます。また、奨学金利用者には、奨学金が振り込まれる前に必要になる入学金等に対応したつなぎ融資が可能です。
また、ろうきんは1つの口座でキャッシュカードが2枚発行でき、全国のろうきんはもちろん、銀行、信金、コンビニやJR東日本の駅構内にあるビューカードのATM等、様々な場所のATMが使え、かかった手数料は、その場でご自分の口座に即時キャッシュバックされるので(※)、仕送り口座に適しています。
※キャッシュバックの内容は各ろうきんで異なりますので、お取引のろうきんのホームページでご確認ください。
貸与型奨学金も教育ローンもお金を借りることには変わりはなく、借りたお金は返さなければなりません。卒業後の子供に大きな奨学金の返済負担をかけたくない時は、教育ローンを活用する方が懸命かもしれません。
(マイナビニュース広告企画:全国労働金庫協会)
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