PCゲーマーの頭を悩ませるゲーミングPCのスペック問題。予算が許せば性能が高いほうがよいのはもちろんだが、遊びたいゲームに対してあまりにもオーバースペックなPCを選ぶのは、コストパフォーマンスが良いとは言えない。今回は、マウスコンピューター「G-Tune」ブランドのゲーミングモデル3機種を比較し、スペックごとの性能を比較してみよう。
ゲーミングPCに付きまとうスペック問題
ゲーミングPCのスペックの観点は3つある。1つ目は、遊びたいゲームが動くかどうか。2つは遊びたいゲームで高いグラフィックス設定を実現できるかどうか。3つ目は高いFPSで遅延の心配なくゲームが遊べるかどうか。
いずれの観点でも性能が高いモデルのほうが満足度が高いのは言うまでもないが、ハイエンドモデルほど価格の高さがネックとなる。フラグシップからグレードを1つでも下げれば、価格は大きく変わるのがPCの世界だ。G-Tuneの3モデルのベンチマークから、ゲームでのパフォーマンス差を比べてみよう。
今回、比較用として用意したのは、NEXTGEARシリーズの「NEXTGEAR i650PA7-SP2」とNEXTGEAR-MICROシリーズの「NEXTGEAR-MICRO im570GA5-SP2」、LITTLEGEARシリーズの「LITTLEGEAR i310SA7-SP2」の3機種。マザーボードとケースの違いがあるものの、ゲームの動作に影響を与える大きな違いは、CPUとグラフィックスカードだ。価格は「NEXTGEAR i650PA7-SP2」が189,800円(税別)、「NEXTGEAR-MICRO im570GA5-SP2」が142,800円(税別)、「LITTLEGEAR i310SA7-SP2」が119,800円(税別)となる。
Core i7-6700KとGTX 1080を搭載した「NEXTGEAR i650PA7-SP2」
「NEXTGEAR i650PA7-SP2」は、CPUにCore i7-6700Kを採用。4コア8スレッドで動作し、定格クロックは4.00GHz、ターボ・ブースト時には最大4.20GHzまで伸びる。グラフィックスカードは、NVIDIAの「GeForce GTX 1080」だ。
「NEXTGEAR i650PA7-SP2」のCPUはCore i7-6700K。ターボ・ブースト時のクロックは最大4.20GHz |
「NEXTGEAR i650PA7-SP2」に搭載されたグラフィックスカードは、Pascal世代のハイエンドモデル「GeForce GTX 1080」 |
ミドルタワーケースを採用しており、マザーボードはATX。チップセットはZ170 Expressで、DDR4メモリ8GB×2(計16GB)を内蔵している。ストレージは480GBのSSDと3TBのHDDを標準搭載し、電源容量は700Wだ。ミドルタワーケースとあって拡張性は充分。自分で何かパーツを追加したり、日ごろのメンテナンスも容易に行えるだろう。
Core i7-6700とGTX 1070を搭載した「NEXTGEAR-MICRO im570GA5-SP2」
「NEXTGEAR-MICRO im570GA5-SP2」は、CPUにCore i7-6700を搭載。こちらも4コア8スレッドで動作するが、定格クロックは3.40GHz、ターボ・ブースト時は最大4.00GHzとなる。グラフィックスカードはNVIDIA「GeForce GTX 1070」。
CPUにCore i7-6700を搭載した「NEXTGEAR-MICRO im570GA5-SP2」。ターボ・ブースト時の最大クロックは4.00GHz |
「NEXTGEAR-MICRO im570GA5-SP2」に搭載されたグラフィックスカードは、Pascal世代のアッパーミドルモデル「GeForce GTX 1070」 |
ミニタワーケースを採用しているため、マザーボードはmicroATX。チップセットはH110 Expressで、DDR4メモリ8GB×2(計16GB)だ。ストレージは240GBのSSDと2TBのHDDとなり、電源容量は500Wとなる。大きさと拡張性のバランスをとったミニタワーモデルで、高い性能や拡張性は欲しいがあまり大きなPCが置けないといったときに適している。
Core i7-6700とGTX 1060(3GB)を搭載した「LITTLEGEAR i310SA7-SP2」
「LITTLEGEAR i310SA7-SP2」は、CPUにCore i7-6700、メモリにDDR4を採用したモデルとなる(今回のレビューにあたり、試用機としてDDR3メモリ搭載モデルを用いている)。グラフィックスカードにはNVIDIA「GeForce GTX 1060(3GB)」を搭載する。
GeForce GTX 1060には、CUDAコア数とグラフィックスメモリの容量が異なる2モデルがラインナップされているが、G-Tuneでは3GBメモリを搭載したカードを採用。それが手ごろな価格に反映されている。
「LITTLEGEAR i310SA7-SP2」のCPUはCore i7-6700が採用されている |
「LITTLEGEAR i310SA7-SP2」に搭載されたグラフィックスカードは、Pascal世代のミドルレンジモデル「GeForce GTX 1060(3GB)」 |
小型のキューブ型のケースを採用して、マザーボードはmni-ITX。チップセットはH110 Expressとなり、DDR4メモリを8GB×2(計16GB)搭載する。ストレージも他の2機種同様に240GBのSSDと2TBのHDDとなり、電源容量は500W。ゲームPCとしてはかなり小型で、設置スペースを大きく削減できる。また、ケース上部のハンドルによって家の中で持ち運んで移動させることも可能だ。
つまり、焦点はCore i7-6700KとCore i7-6700のターボ・ブースト時の最大クロック0.2GHzの違いと、グラフィックスカードの性能の違いということになる。なお、GeForce GTX 1080/1070/1060(3GB)のインタフェースはともにDisplayport×3、HDMI×1、DVI-D×1という構成。PCI-Express補助電源は1080と1070が8ピン×1仕様、1060(3GB)が6ピン×1仕様だ。
インタフェースは3モデルともDisplayport×3、HDMI×1、DVI-I×1でまったく同じ |
PCI-Express補助電源は、1080と1070が8ピン×1、1060(3GB)が6ピン×1仕様。なお評価機のGTX 1080は電源投入時にロゴマークがLEDによって光る仕様だった |
「3Dmark」で見るG-Tune3機種の違い
まずは、Futuremarkの定番3Dベンチマーク「3Dmark」のFire Strikeの総合スコアを比較してみよう。
解像度が上がるごとにスコア差は少なくなっていくが、概ねCPUとグラフィックスカードの性能差に準じたスコアが見て取れる結果となった。なお、3DMarkのDirectX12世代用新テスト「Time Spy」の結果は以下の通りだ。両モデルとも同じ世代のグラフィックスカードなので、アーキテクチャによる違いはなく、純粋にCPUとGPUの性能差が表れている。