ミラーレスカメラはここ数年、各社から意欲作が続々と登場し、入門者だけでなくカメラ愛好家の間にも広く普及しつつある。一眼レフと同じようにレンズ交換ができ、ボディが小さくて携帯性にも優れるミラーレスカメラだが、これまでの製品には弱点もあった。

たとえば、AF性能や動体追従性が不十分で、動きの速い被写体があまり得意ではないところ。また、ファインダーや液晶モニターの視認性、ボディのホールド性、各種機能へのアクセス性、高感度画質、細部表現力などにもの足りなさを感じている人もいるだろう。

そんな従来のミラーレスカメラの不満点を徹底的に洗い出し、その一つひとつを独自の技術でクリアした頼もしい製品が登場した。キヤノン「EOS M」シリーズの最新モデル「EOS M5」である。

EOS M5・EF-M18-150 IS STMレンズキット

EOS M5は、2015年に発売された「EOS M3」の上位機種にあたり、画質から機能、デザイン、操作性まであらゆる点をブラッシュアップしている。特に注目すべきは、AFシステムに「デュアルピクセル CMOS AF」を採用したこと。これによってAF速度が従来から大きくスピードアップしたほか、AFの最低輝度範囲はEV2からEV-1に強化されている。

さらに、新エンジン「DIGIC 7」によって、常用の最高感度はISO12800からISO25600に、連写は最高4.2コマ/秒から最高9.0コマ/秒にそれぞれ向上。新機能として、Bluetooth LEによるスマートフォンとの常時接続や、動画撮影時に有効な5軸手ブレ補正機能を搭載している。

外観は、左右のバランスが取れた端正なデザインを採用。軍艦部と底部を輝きのあるグラファイトブラックでまとめることで高級感を与えつつ、前面から側面、背面にかけては手触りのいいラバー素材を配置して、ホールド感を高めている。EVF、液晶モニター、アクセサリーシュー、三脚穴のすべてがレンズ光軸上に配置され、視線からずれることなくスムーズに撮影が行える点もキヤノンのこだわりだ。

視認性と安定感を高めるEVFを標準装備

EOS Mシリーズの製品としては、EVF (電子ビューファインダー) を標準装備したことが新しい。これまでは「EOS M10」などのエントリーモデルがEVF非対応で、上位モデル「EOS M3」は外付けタイプのオプションだった。気軽なスナップにおいても、晴天屋外で撮影する時には液晶モニターが反射して見えにくくなるので、やはりEVFがあったほうが便利だ。

EVFを使えば、ホールド感が安定するほか、動きのある被写体を捉えやすいというメリットもある

また、長めのレンズを装着し、ボディをしっかりと支えて撮りたいときもEVFが重宝する。たとえば、新発売の高倍率ズーム「EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM」や望遠ズーム「EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM」などを使用し、学芸会やコンサート、イベントなどを撮る場合だ。両手でカメラを持ち、自分の額にEVFを押し付けるようにして構えることで手ブレのミスを最小限に防げる。

しかもEVFは、光学ファインダーとは違って、露出やホワイトバランスなどの設定が画面表示に反映するというメリットがある。見たままの映像をそのまま撮影できるので、たとえビギナーでも安心して使えるだろう。

こうした晴天時は、液晶モニターを見るよりもEVFをのぞきながら撮るほうが快適だ。絞り:F8 シャッター速度:1/500秒 感度:ISO100 WB:オート レンズ:EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM (試作機で撮影)