経済発展が著しい東南アジアを中心に、世界で活躍するグローバル人材へ。「早稲田ナンヤンダブルMBAプログラム」では、そんなキャリアビジョンの実現を応援しています。すべての授業を英語で展開し、日本トップクラスの早稲田大学ビジネススクールと、アジアトップクラスのナンヤン工科大学ビジネススクールで、MBA(経営学修士)のダブル取得を目指すプログラムです。
楽天株式会社で新規事業開発を担当する向井秀明さんは、このプログラムを経てキャリアアップを実現した一人。受講を決意した背景や、シンガポールと東京での学び、そして現在のキャリアにつながったMBA取得の意義について、お話を伺いました。
エンジニアとしてのスキルだけではなく、経営視点も身に付けたい
――初めに、これまでの向井さんのキャリアについて教えてください。
私はもともと自動車が大好きで、大学時代は工学部で機械系の勉強をしていました。1社目に就職したのはレーシングカーの設計をしている会社。レースエンジニアとして日本のトップカテゴリーのレースや海外の有名レースを転戦する、まさに夢追い人でしたね。
やりたいことは実現できていたものの、将来のキャリアや収入を考えるとより幅広い世界を知る必要があると感じ、製造業向けのコンサルティングを展開する会社へ転職しました。その後、MBA取得のために1年間海外留学し、楽天へ入社したという経緯です。
――現在、楽天ではどのような仕事を担当されているのでしょうか?
新サービス開発室に所属し、まったく新しいビジネスを立ち上げることをミッションにして活動しています。スマホを使って簡単にクレジット決済機能を導入できる「楽天スマートペイ」や、フリマアプリの「ラクマ」、「楽びん!」という20分で商品が届くサービスなどは、この部署から生み出された新サービスです。
直近では「ドローン・プロジェクト」を担当し、世界初の試みである「ドローンによる配送サービスの実現」を目指して、プロジェクトのリーダーを務めています。先日は、ゴルフ場でドローンに物を運ばせるサービス運用に成功しました。ドローンが安全に飛行し、運搬できることを証明して、世間の見方や国の規制を変えられるよう動いていきたいと考えています。
「そら楽」で利用しているドローン |
――MBA取得を目指したきっかけは何ですか?
レースエンジニアからコンサルティング会社に転職して、経営者とお会いする機会が多くなりました。経営者が抱えるさまざまな課題に対して、エンジニアとしてのスキルだけでソリューションを提供していくことに限界を感じたのが大きな理由です。経営視点を身に付けることが必要だと感じていました。海外留学への憧れや、「もっと英語力を磨きたい」といった思いも同時にありましたね。
それまでの現場レベル以上の英語力を身に付けるため、猛勉強
――ビジネススクールに通い始める際に、「早稲田ナンヤンダブルMBAプログラム」の他にも検討していたところはありましたか?
ありました。私の場合は「英語力を完璧にしたい」という思いも強かったので、英語のプログラムがあるビジネススクールを探しました。また、31歳という年齢だったこともあり、なるべく学習期間が短いほうが良いと考え、1年制のプログラムを中心に検討したんです。条件に当てはまるところはイギリスにたくさんありましたね。同じようにシンガポールや香港にも魅力的な候補がありました。
「早稲田ナンヤンダブルMBAプログラム」は1年制のプログラムであり、何より日本のトップスクールである早稲田大学と、シンガポールのトップスクールであるナンヤン工科大学の両方の学位を1年で取得できるプログラムというのは、世界中の候補の中でもひときわ魅力的でした。
――向井さんは海外でレースエンジニアとして活躍されていた経験をお持ちですが、英語力にはもともと自信がありましたか?
それは……微妙ですね(笑)。エンジニアの現場は専門用語が多いので、それらと基本的な単語をつなげれば意思疎通ができるんです。個人的には、TOEICで600点以上の能力があれば、なんとかなる世界だと思います。でもそのレベルではビジネスにおける正しい交渉ができませんし、より複雑なテーマの議論には参加できないんですよね。
「早稲田ナンヤンダブルMBAプログラム」はTOEFLで100点を超えることが入学条件なので、2年かけて勉強し直しました。スピーキングもある試験なので、私にはかなり高いハードルでしたね。
ネイティブの洗礼を、非英語圏出身の仲間とともに乗り越える
――助走期間を経ていよいよ入学したときの第一印象は、いかがでしたか?
ナンヤンビジネススクール通学時の向井さん |
初日にオリエンテーションがあって、担当はインド人の教授だったんですが、話している内容がまったく理解できなくて。ネイティブの生徒がほとんどなので、話すスピードがものすごく早くて、非英語圏から来た生徒に対しても容赦ないんです。「あ、これ終わったな……」と思いました(笑)。
何を言っているのか分からないし、次に何をやればいいのか分からない。しかもまだオリエンテーションの段階ですからね。実際の授業が始まったらどうなるんだろうと。
――事前に猛勉強していても、やはりネイティブの会話は違うという。ある種の洗礼を受けたわけですね。
はい。1カ月が過ぎ、「ミッドターム」という最初の中間試験が訪れる時期には徐々に分かるようになってきました。2カ月が過ぎる頃には不安はなくなっていましたね。
仲間の存在も大きかったんですよ。「早稲田ナンヤンダブルMBAプログラム」の場合、入学直前に1カ月間の無料英語スクールが開かれるんです。MBAを取得することに特化した英語の授業を、1カ月間びっしり、毎日組んでもらえるんですね。そこで、「英語弱者の2強」と言われている日本人と韓国人、他にもタイ人など非英語圏出身の仲間たち約20名と知り合うことができました。仲間同士で支え合う風土があって、本当に助けられましたね。
キャリアアップに直結し、仕事にもフルに生かされているMBA
――早稲田ビジネススクールとナンヤンビジネススクールでの学びの中で、特に印象に残っていることは何ですか?
それぞれで強く印象に残っている授業が一つずつあります。
早稲田大学ビジネススクールのほうでは経営戦略の授業があり、ボストン・コンサルティング・グループ出身のトップコンサルタントの方が講師を務めていました。日本人のトップコンサルから経営戦略を学べるというだけで高揚感がありましたが、内容もとても面白くて。実在したケースを読み解いていくときにも、小難しいセオリーの解説だけではなく、「人間関係のこじれ」「社内の雰囲気」など、属人的な部分での課題についても教えてくれるんです。定量的な分析やフレームワークだけでなく、現実世界の経営における問題点や、その解決方法をたくさん学べました。
ナンヤンビジネススクールでは「インターネットビジネスを知る」という授業がありました。当時世の中に出てきて成功し始めていた「Skype」などのサービスについて、そのビジネスモデルや裏側をすべて解説してくれるんです。ユーザーに無料でサービスを提供しているのにしっかり儲けていて、世界中の人々の生活を便利にしている。その授業を通じてIT業界に強い興味を持つようになり、楽天に入るきっかけとなりました。
――そうした学びは、現在の仕事にどのように生かされていますか?
楽天に入社した当初は既存サービスの海外展開がミッションで、実際にシンガポールでの支社立ち上げなどに関わりました。ナンヤンで学んでいた経験があったので、現地での交渉には自信を持って当たることができましたね。
今は新規事業立ち上げを担当しているので、MBA取得を通じて学んだことを生かす機会がたくさんあります。どの業界に、どんなサービスを、どのようなポジショニングで展開するか。ビジネスモデルは? 儲け方は? さまざまな要素を分析して社長や外部の投資家に提案するという仕事なんですが、この一連の流れはまさにMBAの知識が役に立ちますね。
――転職とキャリアアップに、「早稲田ナンヤンダブルMBAプログラム」での学びと経験が大きく生かされているのですね。
もともとアジアで学ぶプログラムを選んだのは、キャリア戦略の意味合いもあったんですよ。欧米でMBAを取得した人はたくさんいて、レッドオーシャンの状態ですが、アジアで取得している人はまだまだ少ない。今後さらなる伸びが期待される市場でもあり、「アジアのエキスパート」は多くの企業が求めていると思いますが、アジアMBA人材はまだ少ないんですよね。
グローバル人材に求められる「英語力」とは
――向井さんは、日本人のビジネスパーソンがグローバル環境で活躍するために、どんなことが必要だとお考えですか?
やはり、ベースとなる英語力は絶対に必要だと思います。「議論で言い負かされない自信」を持って、どんな展開になってもひるまず、きっちり言い返せるようにならないと通用しません。
それに加えて、ともに仕事をする相手の出身国の特徴をとらえて、文化的な背景も理解した上でコミュニケーションを図ることが大切だと思います。例えばインド人の考え方やコミュニケーションの取り方には、一定の傾向があります。それを知っているか知らないかで、交渉の成果はまったく違ったものになる。国籍に合わせて対応する柔軟さや理解力は、とても大切ですね。私自身は、一緒にランチを食べたり、雑談をしたりという日常の中で学んでいきました。
――英語のコミュニケーション能力を測る指標としては、何が有効なのでしょうか?
うーん……。これは一概には言えないですね。資格のスコアだけでは測りきれない部分もあると思います。私は自社の採用にも携わっていますが、個人的には「海外でMBAを取得した」という人は安心できます。必死の思いで授業に参加して、議論をして、レポートを提出して、さまざまな国の人と関わって……。その経験があれば、英語力は相当磨かれているはずですから。実際に、私と同じプログラムを学んだ人が楽天に入ってきてくれたのですが、とても心強い思いをしています。
グローバル視点と経営目線を生かし、ハイレベルな仕事に挑戦
――向井さん個人としては、今後どのようなキャリアビジョンを描いていらっしゃいますか?
まずは担当しているドローン・プロジェクトを成功させたいと思っています。外を見ればいつもドローンが飛んでいて、物を運ぶといえばドローンが当たり前。そんな未来につながる産業革命を自分自身が主導したいですね。
長期的には、世の中を便利にする新規事業をより少ないリソースで効率良く、かつ高いレベルの成功確率で実現できるようなフレームを生み出したいんです。ベースとしてのMBAの知識が必ず必要になってくるので、学んだことをしっかり生かして、自分のキャリアの軸にしていきたいと考えています。
――海外で活躍される機会もますます増えていきそうですね。
そうですね。ドローンを使った物流の実用化は世界初の試みなので、海外の大手経済紙などから取材を受ける機会も増えています。9月にはドローンに関するアジアカンファレンスがシンガポールで、10月にはワールドカンファレンスがロンドンで開かれるんですが、それぞれの場で講演する機会もいただいています。世界に向けて情報を発信し、日本発のサービスをグローバル展開していくことに、積極的に挑戦していきたいですね。
――ありがとうございます。最後に、これから早稲田ナンヤンに通いたいと考えている方に向けてメッセージをお願いします。
私のキャリアは、早稲田ナンヤンで取得したダブルMBAなしには実現しなかったと思います。グローバルな視点や経営目線を持つことができ、ハイレベルでエキサイティングな仕事に携われるようになりました。
あの1年間の投資は、一瞬で回収できたと思っています。私のレコメンドとしては、「やりたいと思ったなら、ぜひ挑戦してください!」という感じですね。
早稲田大学ビジネススクール 夜間主プログラム卒業生インタビュー
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