新しい校内ネットワークの運用がはじまってから、さまざまな面で効果が出ているという。まず、ネットワークが混雑したり、セッション数の問題で接続が切れたりといったトラブルがなくなった。つまり、システムの問題で授業の進行が妨げられ、教員や生徒が授業中に大きなストレスを感じることがなくなった。これは、目には見えないものの、教育の実際の現場における最も重要な成果だという。
もちろん赤木氏は、こうした安定したネットワーク品質を保つためにさまざまな対応をとってきた。たとえば、2013年秋に外部からDDoS攻撃を受け、RTX1200が高負荷のままインターネット接続ができなくなるトラブルがあった。自前のサーバーでルーターを構築し、その場をしのぐ一方、発売されたばかりのヤマハのファイアウォール製品「FWX120」に目をつけ、すみやかに導入した。同製品は、DDoS攻撃対策として、CPUの高負荷を避けるために最初にパケットフィルタリングを行うことが特徴だ。
新しい校内ネットワークの成果としては、作業効率が大きく向上したことも挙げられる。スイッチ制御GUI(L2MS)機能や無線の見える化機能を活用することで、1人で300台規模のデバイスを管理できるようになった。特に、無線の場合は、物理的にかなり距離の離れたところに設置した機器を人手で設定しなければならないことがあるが、そんなときでも、特にネットワークの専門知識のない人に手伝ってもらいながら、作業をこなすことができる。
「ネットワークの調子が悪いとき、数百メートルも離れた寮にまで状況を見に行かないといけないことがあります。そんなときでも、スイッチ制御GUIを使うと、手元でどこが悪いのかがわかります。どの機器のどのポートのケーブルが外れているかまでわかるので、あとは、電話で寮生に状況を伝えて、ケーブルを差し込んでもらう、といったことができるのです」と赤木氏。
WLX302に備わる範囲指定型自動チャンネル選択機能も活用している。同機能は、他の電波と干渉しないように、使用するチャンネルを指定した範囲で自動的に変更できる機能だ。実は、茗溪学園の近隣には気象研究所があり、場所によってはレーダーによる電波干渉を受けるケースがある。無線の見える化機能と範囲指定型自動チャンネル選択機能を利用することで、安定した無線LAN環境を提供できるようになった。
新しい教育の可能性をネットワークが広げる
ネットワークを活用した新しい取り組みにも積極的だ。たとえば、WLX302のマルチSSID機能を利用して、寮生や教員の個人端末のBYOD(Bring Your Own Device)にも対応した。マルチSSIDは、2.4GHz帯と5GHz帯それぞれ8個ずつのSSIDを登録できる機能で、SSID毎に暗号化や認証方式を設定できる。WLX302は簡易RADIUSサーバーを備え、またActive Directoryと連携も可能であるため、エンタープライズレベルの安全なBYOD環境を追加投資なしに構築できるのがメリットだという。
また、無線LANを体育館や柔道場にまで拡大し、授業に活用している。これは、教員や生徒のニーズからはじまったものだという。スポーツの実習では、言葉で説明するよりも、映像を見せたほうが意図が伝わりやすい。柔道場や体育館でタブレットを使って、実際の身体の動きや試合の映像などを動画で確認しているという。
さらに、IoT的な取り組みも進めている。具体的には、シューズにセンサーを取り付け、誰がどのように体育館を動きまわっているかをリアルタイムに確認する、といった取り組みだ。大学などでは徐々に取り入れられつつあるが、中学高校の教育の現場で活用しているのは、全国的に見ても稀有な例と言える。
「センサーの活用は教員から提案されたものです。体育施設にも無線LANを整備してほしいという声からはじまり、それを実現することで、新しい提案がどんどんと生まれていきました。教育の現場ではITは道具です。なかにはかなりシビアな要求もあります。ただ、それにきちんとこたえていくことで、道具の新しい利用方法が次々と生まれていきます。ユーザーの目線に立つという意味では、ヤマハが製品づくりで大事にしていることと同じかも知れませんね」(赤木氏)
今後の展開としては、無線LAN機器の敷設範囲を広げ、校庭など電波が届いていないところをカバーすることなどを挙げる。ネットワークを道具として使いこなすことで、新しい活用法をさらに探っていく構えだ。
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