利便性の高いNASはそれだけ需要も高く、多くのメーカーから製品が発売されている。しかし、ただ単にネットワーク上にドライブを構築するだけではなく、機器によってさまざまな機能が搭載されている。特にNASを専門とするメーカーの製品は機能が豊富だ。台湾を本拠地とする「Synology(シノロジー)」は、その中でも高いシェアを誇る人気メーカーだ。今回はマルチメディア再生に力を発揮するSynologyの最新モデル「DiskStation DS216play」をご紹介しよう。
DS216playは、柔軟な対応ができるNASとしての設定に加え、メディアサーバーとして画像、動画、音楽ファイルを再生、配信、管理する数々の機能を搭載している。年末年始といえば特番続きでテレビが楽しくなる時期だ。このタイミングに合わせてメディア再生に強いNASを導入すれば、チャンネル争いが起こる家庭でも楽しい年越しが過ごせるに違いない。本稿は、そんなDS216playが備えるマルチメディア機能を主題として進めたいと思う。
NASってどんな役割を果たすもの?
そもそも「NAS」とはなんだろうか。正式名称は「Network Attached Storage」といい、省略のために3つの単語の頭文字を取った名称がNASだ。このネットワークアタッチドストレージは、名称のとおりネットワークにつながるストレージ(HDDやSSDなど)のことを指す。メーカーによっては「ネットワーク対応HDD」といった書き方をしている場合もあるが、基本的な役割は同じと考えて良い。
NASには、ローカルエリア(家庭内/企業内など)ネットワークにつながっている複数のPCやスマートフォンからアクセスすることができ、ファイルを読み書きできる。また複数の機器からアクセスが可能なため、ユーザー間でファイルの共有も可能だ。例えば、お父さんが撮影した写真をNASに保存しておけば、他の家族は自分の持っている端末からその写真を観賞できる。家族や社員一人一人がネットワーク機器を複数所有する現代において、NASの重要性はより増していると言っていいだろう。
4K Ultra HDに対応したメディアセンター機能を備えるDS216play
DiskStation DS216play(以下、DS216play)は、2台のSATAストレージを搭載することができるNASキット。サイズはW100×H165×D225.5mmとなる。機能は豊富過ぎてとてもすべてを語り切れないが、"Play"の名称からもわかる通り、注目すべきはマルチメディア機能。今回はマルチメディア再生を目的として、本機の魅力に追っていこう。
最大の特徴はハードウェアベースのコード変換エンジンを搭載しているところで、4K Ultra HDのリアルタイムコード変換が行える点だろう。もちろんDLNAによってメディアセンターとしての役割を担うことができ、最新のH.265(HEVC)コーデックへの対応も果たしている。これらの処理を支えているのは、動作クロック1.5GHzのデュアルコアCPUと、1GBのDDR3メモリだ。
DS216playのフロントパネル。LEDランプは、上からステータス、LAN、DISK 1、Disk 2、電源となる。LED周辺以外は細かい粒状の突起が特徴の梨地加工が施されている |
背面には有線ギガビットLAN×1、USB 3.0×1、USB 2.0×1、ケンジントンポートを搭載。HDDの熱は92mmファンにより排出される |
カバーを外した状態のDS216play。2台ぶんのストレージを搭載できるSATA端子と3.5インチベイが内部に確認できる |
付属品は電源アダプタと電源ケーブル、そしてLANケーブル。この他、セットアップ用のマニュアルと取り付けネジが同梱されている |
NASキットにはストレージが同梱されていないため、使用するHDDやSSDは別途用意する必要がある。今回は、Western Digitalの省電力HDDシリーズ「WD Green」の3TBモデル「WD30EZRX」を2台用意した。DS216playを開き、この2台をSATA接続してネジ止め。カバーを付け直してこちらもネジ止めすれば、使用準備は完了だ。続いてセットアップに移ろう。