日本初の映画やアニメ会社、テレビ局などのコンテンツホルダーによる直営型映像配信サービスとして、9月30日に開始した「bonobo(ボノボ)」。松竹、東宝、東映、KADOKAWA、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン、TBSテレビといった日本を代表するコンテンツホルダー6社が参加し、1タイトルから購入やレンタルが可能なネット配信サービスだ。サービス開始にあたり、運用会社であるパケットビデオ・ジャパン株式会社の加藤徹社長に、サービスの内容や今後の展望などについて話を伺った。
映像配信サービス「bonobo」とは |
―「bonobo」とはどのようなサービスなのでしょうか?
映像コンテンツのポータルサービスを提供しています。
その第一弾として、9月30日の朝9時に映像配信サイトをスタートさせました。
ネット配信サービスの中でも、2つのサービスを行っています。1つ目が、1本ごとに課金する都度課金型のサービスです。例えば、48時間の視聴期間で500円をお支払いいただくというような、いわゆるレンタル型の映像配信です。
そして、もう1つが映像を購入していただけるサービスも提供しています。これは、DVDやBD(ブルーレイディスク)のパッケージを購入いただくのと同じで、一度購入していただくといつでも映像を見ることができるというものです。料金はだいたい2,500円から5,000円近いものまでありますが、いつでもどこでも、どのようなデバイスでもずっと視聴が可能です。
―サービスを始めるに至った経緯を教えてください。
映像配信ビジネスというのは、まだまだ拡大の余地が日本においてもあると考えています。映像ビジネスは欧米では今、パッケージ販売からオンデマンド配信にすごい勢いでシフトしてきているのですが、日本ではまだまだパッケージ販売が主流であり、オンデマンド配信が市民権を得ていないような状況です。最近はアメリカからの映像配信サービスが次々と日本に参入してきていますし、マーケット自体が活性化してきているところです。しかし現在、日本に参入してきているサービスは、月額固定料金で映像が見放題というサービスなんです。
一方、我々が提供しているサービスというのは、映像見放題のサービスよりもかなり前の段階で映像配信ができる仕組みなのです。当然料金が高いものもありますし、見放題ではありませんが、いち早く見たいというユーザーの方にとってはメリットを感じていただけると思います。
―配信形態以外で、他の映像配信サービスとの違いは何でしょうか?
我々の場合、コンテンツホルダー直営型のサービスとなっています。 直営型のサービスというのは業界でも初めての試みですので、まだこれからですが、日本の映画業界において、映連(一般社団法人日本映画製作者連盟)に加盟されている大手4社さんが最初から参加してくださっているというのは、実は我々自身がとても驚いています。 ユーザーから見れば、その分、安定的に作品が配信されるメリットがありますし、配給元もユーザーとの距離が近くなり、ユーザーの嗜好に合わせたコンテンツを配信することが可能です。
―なるほど。他にはどのようなサービスを展開する予定なのですか?
はい、単にサイト上で映像配信を行うというだけではなく、映像情報ポータルサイトを12月に開設する予定です。映画からテレビドラマ、アニメ、音楽番組なども扱いたいと思っていますが、それらの様々なデータを網羅したようなポータルサイトを考えています。「bonobo」というサイトに来ていただければ、ユーザーの方がその映画のタイトルについてだけではなく、上映されている劇場やオンエア情報、レンタルや購入チャネルに至るまでいろいろな情報を取得できるようにしたいと思っています。
将来的にはこのサイトで映像パッケージを販売することも想定していますし、パッケージを購入するとネット配信でも視聴ができたりといった特典が付けられるようにも考えています。逆に、映像配信で購入した場合にも、パッケージを割引でご購入できるような仕組みも構築していくつもりです。
例えば、ネット配信映像を500円でレンタルした方が、2,500円のパッケージを購入したくなったとします。その際は、通常のパッケージ料金からネット配信映像分を割引して、2,000円でパッケージを購入することができるといった仕組みです。
さらに、将来的には映画の前売りチケットに特典映像などの配信をつけ、本編とはまた違った映像を楽しむことができるサービスなども構想中です。
―今は映画が中心のラインナップですが、今後は他のジャンルにも拡大していくのでしょうか?
最初は映画が中心ですが、12月頃からはアニメ作品のラインナップが充実する予定となっています。アニメはネット配信と非常に親和性の高いコンテンツですので、そのボリュームを増やしていきたいと思っています。直営型のサービスですので、できるだけ多くのアニメ制作会社様に参加していただけるよう努めています。
テレビ局については、現状ではTBSさんに参加していただいて現状では映画が中心のラインナップではありますが、当然テレビドラマにも広げていきたいです。
今は全体で300本弱ぐらいを展開していますが、12月には約3,000タイトル、来春に向けては最低でも7,000タイトルぐらいまでに増やしていく予定です。本数も大切ですが、弊社の場合は劇場公開後から早い段階で見られるのもメリットとしてあります。購入型の映像配信サービスを提供しているのは弊社だけではありませんが、将来的には弊社のユーザー限定の特典映像が付けられるようにするなどの差別化も図っていきたいと思っています。
―欧米の会社も次々に日本に参入し、マーケットが拡大していくと見られているとのことですが、日本では映像配信サービスがなかなか浸透・定着しにくいともおっしゃっていました。日本のサービス会社としてこのような傾向をどのように分析されていますか?
日本はパッケージ需要というのがすごくあります。アニメファンの方とかは明らかにそうですが、物として持っていたいとか、同じ作品を2つ買って1つは視聴用に、もう1つは保存用にというように所有欲を満たす部分ですね。そうした精神的な面での物理的な需要というのも大きいので、一足飛びでそれがクラウドにシフトするというのは難しいと思います。そういう意味では、パッケージに配信権を付けるということで、配信で視聴するという習慣がまず浸透していけばと思います。それで我々が提供する情報ポータルの中に"マイページ"というのを設けて、ネット上にあるものもパッケージで所有しているものもすべてまとめて管理していただけるようにしていきたいと思っています。将来的には、クラウドが全部預かっているというようなスタイルが理想です。
クラウドで預かっておくほうが、いろいろな面でやはりメリットがあると思います。いつでも、どこでも、どんなデバイスからでも見られるというのは当然ですが、将来、特定のデバイスがなくなった場合にもクラウドで預かっておけばフレキシブルに対応できます。映像フォーマットがすべて4K、3Dに移行した場合にもクラウド側でアップデートして対応できるのでユーザーにとってもメリットが大きいと思います。
―最後に今後のサービスの展望や目標についてお聞かせください。
コンテンツのネット配信は、定額制のものが主流になってきており、制作者側に利益が還元されにくく、映像文化やマーケットそのものが縮小してしまうという負の側面があります。
そこで、「bonobo」を通じて、作り手の側にもきちんと利益が分配できるような仕組みを作ることで、マーケットそのものを良い循環をもたらすことができればと考えています。そうすることで、さらにいいコンテンツが生まれて、楽しむ側にとっても利益につながっていきます。映像配信のプラットフォームをクラウドで提供するサービスを通して、映像業界において様々な役割を果たしていきたいと思います。
(マイナビニュース広告企画:提供 パケットビデオ・ジャパン株式会社)
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