セブン‐イレブン・ジャパンは7月9日、免税手続きがスピーディーにできる"免税サービス"を7月中に1,000店舗に拡大し、インバウンド拡大プロジェクトを本格始動すると発表した。

7月9日の記者発表

日本に住む私たちには、「コンビニが免税店」と言われても、ピンとこないが、実際にはどのようなサービスが行われているのか、そして外国人観光客にどう利用されているのか。セブン&アイ・ホールディングス・広報センターの清水克彦氏とセブン銀行・業務推進部の森田靖弘氏に聞いた。

外国人観光客にとっては「セブン‐イレブン=免税店」

――そもそも、コンビニで免税品を売っているなんて、考えたこともありませんでした

セブン&アイホールディングス・広報センター 清水克彦氏

清水氏 そうですね。日本に住んでいる方には免税という意識はあまりないかもしれませんが、外国人観光客の方々にとってコンビニは、ATMでお金が下ろせたり、お土産等も買える便利なお店というイメージも強くなってきているようです。

――外国人観光客には、どんな商品が売れるのですか?

清水氏 化粧品や菓子類、カップ麺で、お土産に人気です。化粧品については、やはり日本製の品質の良さが海外でも高く評価されており、"メイド・イン・ジャパン"を目印に目的買いで買いに来られる方が多いです。

昨年10月に日本の免税店制度が変わり、対象商品に、食料品や化粧品などの消耗品が加わりました。コンビニにはそういった品々が多く並んでいますから、外国人観光客の方にとっては一度にいろんなものが買える便利な店と認識していただいているようです。

――デパートや量販店などとは違い、コンビニだったら24時間買い物できますね

清水氏 その通りです。外国人観光客の方からは「昼は観光するので、買い物するなら夜がいい」という声も多いようです。

免税対応店舗のスマートな使い方

――免税サービスはどのように利用すればよいのですか?

清水氏 特別な手続きは必要ありません。消耗品をお買い求めいただく場合、合計5001円以上だと消費税が免税になります。レジで精算するときにパスポートなどを提示していただければ、免税の書類(購入記録票)を発行するので、ご出国の際、その書類を税関に提出していただくだけで免税手続きが完了します。

レジで免税対応を行う様子

――デパートなどでは「買い物をした後、サービスカウンター等で免税額を払い戻してもらう」のが一般的ですが、セブン‐イレブンでも同様ですか?

清水氏 いいえ、あらかじめ消費税抜きの金額をお支払いいただくので、2回お金をやり取りすることはありません。

実は、昨年12月から免税サービスを先行導入していたお店では、レジの横にパソコンを1台置いて免税処理をしていたので10~15分かかっていました。免税分の金額も、一度お預かりしてから返金するシステムだったので、お客さまにとっても煩雑だったのです。7月からはレジで一括処理できるようになり、所要時間を5分程度まで短縮できるようになっております。

――7月末時点で、免税対応店は1,000店舗ということですが

清水氏 外国人観光客に人気のある観光施設やホテルの周辺、それに空港やターミナル駅などを中心に免税対応店を展開しています。ニーズのある店舗に導入していきますので、まず1,000店舗に導入し、今年度中に3,000店舗まで拡大予定です。

免税店・セブン-イレブンならではの強み

――観光客は「このセブン‐イレブンは免税店かどうか」をどのように見分けるのですか?

清水氏 店の入り口付近に「TAX-FREE」ののぼりとステッカーがついていますから、ひと目で認識できます。また、台湾の旅行雑誌等でも「浅草雷門前のセブン‐イレブンは免税サービスをしている」などと紹介されているようです。個人のSNSなどでも情報が拡散していきますから、海外でのセブン‐イレブンの免税サービスの認知度は、ますます上がっていくと予想しています。

免税対応しているかどうかは、ステッカーやのぼりで確認できる

――今、日本中がインバウンド需要を取り込もうとしていますが、そんな中でセブン‐イレブンならではの強みとは?

清水氏 大きくは3つあります。
1つめは、セブン‐イレブンの店舗が、外国人観光客の方が集まる、観光地や交通の要所、宿泊施設の近く等、様々な場所にあるということです。免税サービスだけでなく、外国人観光客の方々にとって利便性の高いサービスや商品を身近な店舗で提供できるという点は大きいと思います。

2つめは、セブン銀行のATMです。セブン‐イレブンの店頭に設置されているATMは、海外で発行されたキャッシュカードやクレジットカードなどに対応しているので、コンビニで日本円がおろせます。特に欧米のお客さまはこのサービスをよくご存知で、「セブン‐イレブンはお金をおろすのに便利な店」という認知度が高いのです。

3つめは、無料Wi‐Fi「セブンスポット」がほとんどの店舗で利用できることです。無料Wi‐Fiは、外国人観光客の方から非常にニーズの高いサービスですので、真に「近くて便利」なお店として重要なサービスのひとつだとかんがえております。

その他に、セブン‐イレブンでしか買えない限定商品があることも大きいと思います。例えば、コーセー様との共同企画商品の「雪肌粋(せっきすい)」の洗顔クリーム(80g・税抜460円)は台湾や中国の方に圧倒的な人気がありますが、日本のセブン‐イレブンでしか手に入らないため、これを目当てにご来店される方もたくさんいます。今回、新たな免税対応のシステムを導入したことで、「どの国のお客さまが何をどのくらい購入したか」というデータも集積されますから、その情報を今後の品揃えや商品開発にも活かしていければと考えています。

脱・マネー後進国ニッポンを目指して

外国人観光客にとって、セブン‐イレブンは免税店であり、日本円がおろせる便利な店……。日本人にとっては意外すぎるイメージだが、セブン銀行ではかなり前からインバウンド対策を強化してきたのだという。

セブン銀行・業務推進部 森田靖弘氏

――セブン銀行のATMはいつから海外で発行されたカードに対応しているのですか?

森田氏 2007年から対応を始めました。オリンピック開催に向け、海外で発行されたカードが使えるATMを増やしていく必要がありますが、全国すべてのATMで対応しているのは、セブン銀行とゆうちょ銀行だけです。セブン銀行のATMはセブン‐イレブンに行けば、すぐに利用できます。また、空港・駅・商業施設、観光地など様々な場所への設置も拡大しています。

――日本にある多くのATMでは、海外のキャッシュカードで日本円がおろせないなんてまったく知りませんでした

森田氏 そうなんです。海外の旅行情報誌では「日本は海外のキャッシュカード・クレジットカードなどでATMを使えない国」と紹介しているものもあります。この古い情報を打ち消すべくコツコツPRをした結果、欧米の方にはよく知られるようになりました。しかし、急増するアジア系の観光客の方々には、残念ながらまだあまり認知されていません。

――外国人観光客にとって、日本国内で現金を調達するメリットは?

森田氏 多額の現金を持ち歩かなくてよいことです。アジア系の方は自国の空港で両替してから日本にいらっしゃる方も多いのですが、どうしても紛失や盗難のリスクがあります。また、国によっては現金の持ち出し制限もありますから、手持ちのお金がなくなるとせっかくの旅行中にお買い物できなくなってしまいます。

セブン銀行ATMは、2015年12月頃より、対応言語を12言語に拡大する

――実際のところ、ATMを利用する人は増えていますか?

森田氏 セブン‐イレブンの免税店化で、セブン銀行のATMを利用する外国人のお客さまは確実に増えていくと考えています。2014年度は400万件以上のご利用がありましたが、今年度は1.5倍の600万件以上に伸びると予測しています。

利用されているカードブランドを見ると、2~3年前はVISAが多かったのですが、最近は銀聯が急増しています。銀聯は、中国を中心としたアジア圏のお客さまが利用しているカードですから、これらの国々からのお客さまが急増していることが分かります。 また、外国人の方々がATMを利用するエリアを見ると、各地の都市部から、徐々に地方にも広がり始めています。

観光庁の発表によると、2014年の訪日外国人による消費額は2兆278億円だった。一方、2014年度にセブン銀行のATMから海外発行カードで引き出された金額は2,000億円以上あり、計算上では消費額全体の約10%に該当する。セブン銀行のATMは、日本のインバウンド需要拡大を陰ながらバックアップしているのかもしれない。

(マイナビニュース広告企画:提供 セブン銀行)

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