栄養があって、安くて、あらゆる料理に使えるたまご。普段、何気なくお店で手に取っていますが、おいしく調理するための食べごろ、たまごの正しい置き方があることをご存知でしたか?
マイナビニュースでは読者の方からそんな、たまごに関するさまざまな疑問を募集。今回は、その中から特に多かった疑問を解消してもらうため、日本の養鶏産業の発展・普及活動をされている、たまごの専門家である一般社団法人「日本養鶏協会」さんに聞きました。
保存方法のギモン
Q.たまごを加熱して食べるのであれば、常温保管でも大丈夫?
A.冷蔵保存をしておいた方が良いです。
本来、たまごの内部は無菌であり、さらに白身は細菌等微生物を防御する酵素や成分を有してヒヨコに育つ黄身を保護しています。しかし、目に見えないようなヒビでも、殻に損傷があればこれらの微生物防御システムは、簡単に壊れてしまいます。また、食中毒を引き起こすとされる、サルモネラ菌には介卵感染(※)する種もあり鮮度が低下すると繁殖を始めます。このような微生物汚染リスクを考慮するとできる限り冷蔵保管をお勧めします。
(※)保菌メンドリを母とする親子間の垂直感染によって卵内にサルモネラを含んで生まれること。特に問題となるサルモネラ属菌の汚染は3万卵に1卵の割合であり、菌数も少なく、産卵の時点では生食できます。
Q.卵のとがった部分、丸い部分、どちらを上にして保管するのか正しいの?
A.丸い部分を上にして保管した方が良いです。
パック詰のたまごの向きをよく見ると、卵のとがった方(鋭端)を下に、丸い方(鈍端)を上向きにして収納されていることが分かります。この理由は、まずこの姿勢が卵の座りがよく、安定していることがあります。まるい方を下にした場合は、そこに存在する気室(殻の内側に付着した2枚の膜がはがれて空気の部屋を作っている)が上方に移動します。採卵後数日経過したたまごは、黄身の周りを支えている濃厚卵白が水様化し、卵黄が卵中を浮き上がった際に殻の内側に接触してしまうため、とがった方を下にしているのです。購入したたまごは、それほど長期にわたって保存しないことを考慮しますと、冷蔵庫の中では横にしてもどちら向きに立てても構いません。
注)気温との関係があり日数を特定できませんが、一般に数日で卵黄が卵白中を浮き上がって殻の内側に接触することはありません。
おいしいたまごのギモン
Q.生みたての新しいたまごの方がおいしいの?
A.ゆでたまごは、少し時間をおいた方がおいしくできます。
一般に産みたての新鮮なたまごがおいしいと言えますが、ゆでたまごは、しばらく置いた方がおいしく食べられます。新鮮卵白に豊富に含まれる二酸化炭素ガスが加熱により膨張し、卵殻膜を卵殻に強く押し付けて容易にはがれにくくします。また、ゆでたまごの白身のつるんとした食感も妨げられてしまいます。15度であれば3日間、5度であれば9日間くらい放置すると卵中の二酸化炭素が放出されてゆで卵がおいしくできます。また、かきたま汁も卵白が適度に水様化した卵液が糸状になりやすく、できあがりが良いといわれます。
Q.白い卵と赤い卵がありますが、それぞれ栄養価は違うの?
A.栄養価の違いはありません。
殻の色調から白色卵を「白玉」、褐色卵を「赤玉」、その中間的な淡褐色卵を「ピンク卵」とか「薄赤玉」と呼びますが、この違いは遺伝によるもの、つまりは鶏の品種によります。卵の栄養価につきましてはどちらもヒヨコが1羽発生するだけの栄養が含まれており成分組成は安定したものです。したがって殻の色による栄養価の違いはありません。
生産についてのギモン
Q.日本全国で1日に何個くらい卵が生まれている?
A.1日に約1.13億個のたまごが生まれています。
2014年2月の調査では、全国のたまごを産む鶏の羽数は約1.33億羽で、日本の人口1.27億人より若干多い羽数です。これらの鶏が毎日1個ずつ産むわけではないので、平均産卵率85%と仮定した場合、1日に約1.13億個のたまごが産卵されていることになります。
Q.どうして、ニワトリは無精卵を生むの?
A.メスの鶏が産むたまごは「卵子」であって温めてもヒヨコはかえりません。
メスの鶏とオスの鶏を一緒に飼って交尾後に生まれた卵が「受精卵」(有精卵とも言う)となり、この卵をあたためるとヒヨコがかえります。無精卵も有精卵も、私たちにとって卵の栄養的価値に違いはありません。そのため、メスの鶏だけを飼って産ませた無精卵を食用にしているというわけです。
Q.たまごの値段が30年前とあまり変わっていないのはなぜ?
A.実は、現在の方が値段は安くなっています。
30年前の1985年(昭和60年)の年間鶏卵相場価格はMサイズ(全農東京)でキロ当たり270円でした。今年の1月~6月のMサイズで217円となっており、過去の方が高かったわけです。過去と現在の価格が違う理由は、鶏の生産性の改善がなされたからです。鶏舎構造、飼料、ヒナ、鶏の健康管理等が改善されたことにより、一羽当たりの鶏が産卵する量が増加していることと、鶏の生存率が改善され、コストダウンされたということです。これは鶏卵生産者のみならず、関係業界あげての努力の結果といえます。
Q.地域によってお店に並ぶ日は違うの?
A.場所によりますが、遅くとも産卵の翌日にはお店に並びます。
鶏卵の産地と消費地との距離によりますが、東京都区内のスーパーで販売されている卵の産地としては、千葉県、茨城県、群馬県、栃木県産が多いです。これらの県産の卵は朝に産卵された後、洗卵・選別・パック詰めされ、午後に出荷され、スーパーの物流センターに夕方から夜にかけ到着し、そこから翌朝にはそれぞれのスーパーに配送されることが多い様です。つまり遅くても産卵日翌日にはスーパー店頭に陳列されます。産地と近いスーパーでは産卵日当日の午後や夕方に陳列されることもあります。
まだまだ、気になる疑問はありますが、今回はここで!
お店でたまごを選ぶとき、家でたまごを食べるとき、今回の知識を思い出してさらに、おいしくたまごを味わってみてください!
※イラスト・写真は本文と関係ありません
(マイナビニュース広告企画:提供 日本養鶏協会)
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