「投資」に対して、難しい、資産家がやるものというイメージを持っている人も少なくないだろう。しかし、実際のところはどうなのだろうか? 今回は本来の投資の目的や投資に踏み出す際の考え方、投資信託の活用法について、日本で投資信託を開発しているピクテ投信投資顧問の今福氏に話をうかがった。

マイナビニュース(以下、MN): 「投資は怖いもの」と敬遠する人が少なくないと思うのですが、その原因はどこにあるのでしょうか?

今福啓之さん(以下、今福さん): やはり、元本割れのリスクがあることが大きな原因の1つだと思います。損をするくらいなら預金した方がいいという考えで、資産のほとんどを預金で固めている方も少なくないですよね。ただし、これには盲点があります。現在(*)日本のインフレ目標は2%ですから、資産を2%以上の利回りで運用できないと物価上昇に追いつけず、実質的に資産が目減りしてしまうことになるのです。投資というと「儲けるため」にやるものと思われがちですが、自分の資産を守るために、誰にでも必要なものになりつつあると知っていただきたいですね。
(*)2015年6月

MN: 投資を始めるにあたって、最初に考えるべきことを教えてください

今福さん: 最近ピクテは「『欲張らない投資』から始める全体設計」という考え方を提唱しています。資産を「預金」と「欲張らない投資」、「育てる投資」、「スパイス的な投資」の3層の投資に分け、「今何が一番上がりそうか」などではなく、全体を俯瞰する考え方です。短期で利益を狙うのではなく、長期的な視野に立ちつつも、それぞれ3層の投資の目的に合った投資信託(ファンド)を選び、預金と投資を合わせたトータルで目標リターンを目指すというスタイルです。人気のファンドを選んだり、短期的な運用成績で選ぶのではなく、自分にとっての投資の目的を3層にわけて考えることで、どんなファンドを選ぶべきかが見えてくるのではないでしょうか。

MN: 資産の全体設計について、もう少し詳しく教えてください

今福さん: 下図は、資産の全体設計を表したものです。まず「預金」は、どんなに利息が付かなくても、置いておくべき資金。そしてそれ以外が、投資に回す部分です。この投資に回す部分をさらに「欲張らない投資」、「育てる投資」、「スパイス的な投資」の3つに分けるというのが基本的な考え方になります。

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中でも運用のコアとなるのが、「欲張らない投資」と「育てる投資」の2つ。「欲張らない投資」は預金の一歩先くらいの位置づけですから、文字通り欲張らずにインフレ率に勝てる程度の利回りを目標とするイメージです。 投資するのは、株や債券など幅広い資産に投資するバランスファンドなどが良いですね。バランスファンドの中でも、リスクを抑えて安定運用を目指すものがおすすめです。 ただし「欲張らない投資」の期待リターンだけではインフレ率に勝つのが精いっぱいですから、多くの方にとっては「育てる投資」も必要となります。こちらはもう少し高い利回りを狙い、中リスクのバランスファンドや、投資先が分散化された世界株式ファンドなどを活用することが多いです。 最後の「スパイス的な投資」は、単一国や単一通貨のファンドなど、その時々の旬なものを対象としたファンドでさらに高い利回りを狙う投資を指します。ただし、こちらは誰にでも必要なものではありませんから、大多数の方は「預金」と「欲張らない投資」、「育てる投資」の3つを意識されるのがよいと思います。

MN: 一般的に「怖い」と思われているのは、この「スパイス的な投資」ということでしょうか

今福さん: 確かに投資というと、高いリターンを狙いに行く「スパイス的な投資」を思い浮かべる人が多いですね。このため、資産を分類するにあたって「預金」か「スパイス的な投資」かの二者選択で考えてしまう方が多いのが現状です。しかし、前述のとおり「スパイス的な投資」は全体設計をするうえではあくまでオプションです。資産の分類の仕方を考える手順としては、まず預金分を確保したうえで、次に「欲張らない投資」に振り分ける金額を決め、残りを「育てる投資」に分配する。つまり図の左から右に考えていくのが基本となります

MN: 「欲張らない投資」と「育てる投資」におすすめというバランスファンドにはどのようなメリットがあるのでしょうか?

今福さん: バランスファンドは株や債券など複数の資産(アセット)に分散して投資をしますので、1本買うだけでバランスよく投資先の分散を図れることが大きなメリットだと思います。ただし、バランスファンドといっても組み込まれているアセットや運用方法は各々異なりますし、想定されるリスク・リターンも異なります。特に「欲張らない投資」は安定的な運用を目標としますので、明確に低リスクの運用を目指したバランスファンドを選ぶことが大切です。ラップ型とかバランス型といっても千差万別ですから。

MN: 最後に、投資に踏み出すためのポイントを教えてください

今福さん: 投資は怖いという人に対して、よく「1万円から気軽にチャレンジ!」のように言われますが、私はちょっと違うと思っています。自分の資産を守る投資の場合、金額で怖さを調整するのではなく、全体を俯瞰してしっかり考え、まずは「欲張らない投資」から始める。そのために必要な情報をとってしっかり納得して始める--そうしたスタンスが大切だと思っています。まずは「預金」から「欲張らない投資」へ。「欲張らない投資」に慣れたら、次は「育てる投資」に進んでみる。一歩ずつ踏み出していくことで、だんだんと投資が身近なものになっていくと思いますよ。

今後の資産運用に必要なのは、預金部分と投資部分をトータルでとらえる全体設計だと話す今福さん。「預金」か、「スパイス的な投資」かの両極でとらえるのではなく、その中間に位置する「欲張らない投資」と「育てる投資」をコアに据えるという考え方は、リスクを抑えながら資産形成をしたいと考える若い世代からも支持を集めそうだ。

今福さんのプロフィール

今福啓之 ピクテ投信投資顧問 執行役員 マーケティング・コミュニケーション部長
日系大手証券会社に10年間勤務した後、内外の資産運用会社でマーケティングを担当。ピクテではマーケティングとPR全般を統括する。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)。

(マイナビニュース広告企画:提供 ピクテ投信投資顧問)

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