ペガシスが提供する動画ファイルのエンコードや映像編集を行える人気ソフト「TMPGEnc Video Mastering Works 6」に新たな機能が追加された。その機能とは、天球カメラで撮影したVR動画の一部を切り出し、2Dの映像にできるパノラマ展開フィルターだ。今回、リコーの全天球撮影カメラ「RICOH THETA(リコー・シータ) m15」を使って、同機能を試してみたので紹介しよう。

TMPGEnc Video Mastering Works 6

今回、リコーの全天球撮影カメラ「RICOH THETA(リコー・シータ) m15」を使って、同機能を試してみたので紹介しよう。

話題を集めている、全天球カメラRICOH THETA m15。同カメラで撮影した動画を簡単に編集できるソフトTMPGEnc Video Mastering Works 6が、ペガシスから販売された

定番エンコードソフトの最新版

「TMPGEnc Video Mastering Works」は、映像フォーマット変換、圧縮、編集などが行える定番エンコードソフト。本稿で紹介する最新版のTMPGEnc Video Mastering Works 6ではH.265/HEVC による8K映像出力に対応、フィルター機能もさらに充実した。RICOH THETAで撮影した動画は、前述のVR動画の一部を切り出し、2Dの映像にできる「パノラマ展開」というフィルターで編集可能だ。

このTMPGEnc Video Mastering Works 6、あまりに多機能なソフトのため紹介したいことは山ほどあるが、本稿では主にパノラマ展開フィルターの使い方に焦点を絞って、機能を紹介していきたい。

TMPGEnc Video Mastering Works 6は、映像フォーマット変換、圧縮、編集などが行える定番エンコードソフト。Windows 8.1/ 8/ 7 SP1(64bit)で利用できる

RICOH THETA m15とは?

まずはRICOH THETA m15の概要からおさらいしていこう。同製品は、撮影者の周囲360度をパノラマ撮影できる全天球カメラだ。撮影後は、ファイルをスマートフォンやPCなどに転送することで、全天球イメージを上下左右にぐるぐる動かして閲覧できる。静止画のみならず、動画撮影にも対応している。両サイドに魚眼レンズがついており、それぞれのレンズで180度+アルファの撮影ができる。同時に撮影した2枚の写真を繋ぎ合わせることで、パノラマ写真を生成する仕組みだ。

本体のサイズは42(幅)×129(高さ)×22.8mm(奥行き、レンズを除くと17.4mm)、質量は約95g。両サイドに魚眼レンズがついている。カメラ中央部にシャッターボタンを配置する

静止画はJPEGで、動画はMOV(映像:MPEG-4 AVC/H.264、音声:LinearPCM)で保存される。最大で3分間の360度パノラマ動画(音声付)が撮影可能。動画は最大約40分までカメラ本体に撮りためられる。外部インターフェースとして、底面にmicro USB端子を備える。

底面にはmicro USB端子とカメラの三脚ネジを備える(写真左)

RICOH THETAの抱えるジレンマ

RICOH THETA m15は、日常の様々なシーンで活躍してくれる。例えば旅行先で、苦労してパノラマ写真を撮影した経験はないだろうか。カメラを構えながら身体をぐるぐる回転させなければならず、正直、気恥ずかしいものがある。しかしRICOH THETAなら、通常の画角では収まり切らない巨大な大聖堂も、どこまでも続く浜辺の海岸線も、シャッターを1回押すだけでカメラに収めることができる。また動画撮影機能は、色々なことが同時進行で起こる場面でもパフォーマンスを発揮する。例えば誕生パーティで、テーブルの上に小さな三脚を立てて撮影すれば、一堂に会した参加者の笑顔を映像に残しておける。子どもが玩具で遊ぶ様子を、親の表情と一緒に撮影するのも良いだろう。座談会で、あるいはバンドの練習スタジオで、人の輪の中心にRICOH THETAを置いて撮影する使い方もオススメだ。

RICOH THETAで撮影した静止画。アイデア次第で用途が広がる

こんなRICOH THETAにも泣き所はある。それは、撮影した映像を人に見せるには相応の手間がかかるということ。例えば旅行先で撮った動画を友人に見せたい、あるいは子どもを撮った動画を実家の両親に見せたい、といった場合、相手側のPCにもRICOH THETA専用ソフトをインストールしてもらわなければならない。映像をYouTubeにアップロードしてURLを連絡する方法もあるが、実はパノラマ動画をアップするにはプログラミングの手間がかかる。撮影に手間がかからないRICOH THETAにおいて、閲覧に手間がかかるというのは大きなジレンマだ。もっとも、専用ソフトをインストールしていないPCでも、動画ファイルを開けないことはない。

RICOH THETA専用ソフトでは、360度パノラマで撮影した静止画や動画を閲覧できる。動画閲覧の際は、MOVファイルがMP4ファイルに書き出される仕様

専用ソフトを使わずにMOVファイルをそのまま再生すると、玄関の覗き窓から見たような円形2つからなる映像が表示される。アングルは固定されており、任意に変更はできない。また専用ソフトで書き出されたMP4ファイルを、専用ソフトを使わずに再生すると、世界地図をメルカトル図法で引き伸ばして表現したような映像になる。どちらの映像も非常に見辛いため、再生には適さない。

専用ソフトを使わずにMOVファイル(写真左)とMP4ファイル(写真右)を開いた様子。どちらの場合も、アングルは固定となる

そこで活躍するのが、RICOH THETAで撮影した動画を編集できるTMPGEnc Video Mastering Works 6だ。

パノラマ動画を自由に編集

TMPGEnc Video Mastering Works 6にRICOH THETAで撮影した動画を取り込むと「カット編集」ウィンドウが開く。ここでは動画のコマを参照しながら、動画の開始位置・終了位置の設定、不要なカットの削除、クリップの分割などが行える。別々のタイミングで撮影された複数の動画ファイルを繋げることも可能だ。

RICOH THETAでは動画の連続撮影時間が3分間と限られている。このため複数のファイルが乱立しがちだが、このソフトなら簡単に1本にまとめられる。さて必要なカットだけ残したら、「フィルター」で各種フィルターを適用する。パノラマ展開フィルターの「表示設定」タブでは、寄りの映像か、引きの映像かを調整できる。「天頂設定」タブでは、元映像の天頂位置が想定位置でなかった場合などに、左右方向・上下方向・回転といった調整を加えられる。

パノラマ展開フィルターの利用イメージ。視野角の調整や、左右方向・上下方向・回転といった調整を加えられる

「コントロール」タブでは、キーフレームを利用して映像の視点移動を記録することができる。プレビュー上の映像をドラッグすることで、自動でキーフレームの記録がされていくので、フォーカスしたいシーンに視点が切り替わる映像を簡単に作成することができる。

キーフレームを追加することで任意の視点に切り替えられる。こちらが利用イメージ動画だ

「出力設定」ではDVD、Blu-ray、モバイル、YouTubeなどに最適な出力フォーマットを選択できる。MPEGやMP4、FLV、WMV、Quick Timeなど対応している拡張子も幅広い。またサイズやアスペクト比率、フレームレートなど細かい調整も行える。映像を見せたい相手の環境に合わせて、最適な形式にファイルを変換できるのが嬉しい。

ちなみに筆者も、3分弱のファイルを編集し、出力まで行ってみた。手持ちのごく標準的なスペックのノートPCでも楽に作業を完遂できた点、UIが分かりやすく、説明書を読まなくても作業が進められた点などが、とても気に入った。

出力設定では各種メディア向けに出力フォーマットを選択可能。対応している拡張子も幅広い。サイズやフレームレートなど、細かい調整も行える

実際にTMPGEnc Video Mastering Works 6で編集した動画を以下に掲載する。

筆者がTMPGEnc Video Mastering Works 6で編集した動画

本稿ではRICOH THETAの概要と使い方、RICOH THETAの短所をカバーできるTMPGEnc Video Mastering Works 6の機能について紹介してきた。360度パノラマ撮影が行えるというユニークな機能が注目を集めるRICOH THETAだが、撮影した映像を視聴する際の不自由を克服するソフトとして、TMPGEnc Video Mastering Works 6は最適の製品と言えるだろう。

(マイナビニュース広告企画:提供 株式会社ペガシス)

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