自分が書いた小説や漫画、イラストなどを発表する場として、投稿サイトが隆盛を極めている。 各サービスそれぞれに特徴を持つ投稿サイトは今や一つのメディアとして存在感を持ち、そこからデビューする作家も珍しくなくなった。
2012年に開設した小説や漫画、イラストはもちろん、評論や写真も無料で投稿できるサイト「upppi(ウッピー)」もその一つ。同サイトは、作品の発表の場だけでなく、読者や他の作家からの評価や感想を聞けることから、自らの技術を高める場としても人気を博している。
無料と有料を選べて、コンテストも充実
『第一回upppiライトノベルコンテスト』で大賞を受賞した相坂桃花さんに聞いてみると、同サイトは「小説、コラム、イラスト、マンガと投稿できる作品が幅広く、無料と有料を自分のスタイルに合わせて活動できるのがいい」と分析する。
さらに「他のサイトよりもコンテストが充実していて、小説の受賞作を選び、その作品の表紙も投稿作品から選ぶといった連動企画があるのも面白いですし、コンテスト中に他の投稿者からアドバイスをもらえて改訂していけるのも珍しい。 何よりコンテストで大賞になると電子書籍化されるのは張り合いがあります」と語る。
コンテストの結果は自分を成長させてくれる
自身もupppiでのコンテストで大賞を受賞した経験を持つ相坂さんは、「コンテストは思うような結果を得られずに心が折れることもありますが、逆に思った以上の結果に胸躍ることもあります。 そのどちらに転がろうとも自分の現状を知ることができますし、そうした経験は作品を作り続ける上で大切なことだと感じています」と話す。
相坂さん自身は「『upppi』のサイトを開いたのがたまたま応募開始日で、“縁”を感じた」ことで応募したそうで、「これを言うと怒られてしまいそうですが、受賞の連絡メールが迷惑フォルダに入ってしまって、サイトでの発表を見るまで受賞したことを知らなかったんです」と笑う。
「『最終選考までは残りたかったな』と残念に思いながら見てみると大賞に自分の名前があり、ビックリして思わずスマホの画面を閉じてしまいました……。その後も3日間くらいドッキリかワナじゃないかと疑いました(苦笑)」。
読者を意識して細部にまで気を使った受賞作
相坂さんの受賞作『トリップ先にお酒と果実がいっぱいあったもんで』は、女子大生の早苗が田舎に住む祖父母の家からとある場所にトリップし、さまざまな騒動に巻き込まれていく。
「テーマがラブコメディ&お仕事ということでしたから、ストーリーが重くならないように気をつけ、細かいところでは少しでも読みやすくなるようルビの入れ方にも気を配りました」。
作者として見どころを聞くと、「地味で平凡な主人公の早苗が自分の身に起きた突然の出来事に対処できず、泣いたり、落ち込んだりしながら、必死に前へ進もうと頑張る姿です。 そして、早苗を支える虎の美青年・永久をはじめとするキャラクターとの掛け合いも楽しんでほしいです。まだいろいろと秘密にしている部分もあるので、今後何らかの形で触れられたらいいなと思っています」。
小説を執筆するコツは“書くことを楽しむ”こと
相坂さん曰く、小説を書くコツは「あまり難しいことは考えず、まずは書くことを楽しむこと」とのこと。
「投稿サイトには、真剣な人だけでなく、書くのを純粋に楽しんでいる人も含めて、いろいろな人がいていいと思います。 書くことが辛いときもあるかもしれませんが、作者の『楽しい』『好き』だと言う気持ちは、きっと読者の方々にも伝わると思います」。
その上で「投稿する前に出力して推敲するのを忘れないように! それだけで出来上がりが十倍くらい違いますよ」とアドバイスする。 「読んでいて『楽しい』『面白い』と思ってもらえるような作品をこれからも書いていきたいですし、『続きが読みたい』と思ってもらえる作品が書けるよう精進していきたいです」。
そう語る相坂さんの受賞作品は、来年「電子書店パピレス」で配信される予定だ。
小説だけでなく、漫画もイラストも写真も、好きで楽しむ人たちが集い、コンテスト受賞作には電子書籍化のチャンスも広がっている投稿サイト「upppi」。 過去には相坂さんが受賞したライトノベルだけでなく、ホラー小説のコンテストが行われ、現在は「恋愛小説&イラストコンテスト」が開催されている。 今後もさまざまなジャンルのコンテストが行われる予定とのことなので、読むのが好きな人はもちろん、書くのも好きという人は、ぜひチェックしてみよう。
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