机上工場の担い手として - ローランドDGの新型3Dプリンター&切削加工機

豊富な実績とノウハウをつぎ込んだ切削加工機「SRM-20」

2000年に発売されロングセラーとなった、ローランドDGの切削加工機「MDX-15/20」。その後継機にあたる「SRM-20」は、同社のコンセプトである「Desktop Fabrication」を実現するために、大幅なモデルチェンジが敢行された。サイズがコンパクトになる一方で、切削スピードは2倍に向上。使用できる材料は、アクリル、ABS、木材、ケミカルウッド、ワックス、発泡材など多彩だ。また、オフィス利用を実現するために粉塵・騒音対策用のフルカバー構造を採用。錦見氏によると、「ここは最も試行錯誤を繰り返した部分」とのことだ。

なお、「ARM-10」と同様、「SRM-20」にも出力用ソフトウェアが標準で付属される。こちらには、CAMソフト「MODELA Player 4」、2次元切削ソフト「iModela Creator」、簡易加工ソフト「ClickMILL」の3種類と、ユーティリティーソフトの「VPanel for SRM-20」が用意されており、さまざまな用途に応じた切削加工がサポートされている。1986年にローランドDGが初めて切削加工機を発売してから約四半世紀。その間に蓄積したノウハウを惜しみなく投入した、期待の新モデルである。


切削加工機「SRM-20」(写真左)と、標準付属のソフトウェア4種(写真右)

幅広い普及が期待されるリーズナブルな価格帯

3Dプリンターを中心に、活性化しつつある3次元造型機の市場。だが近年、新たにリリースされる製品は個人での利用を想定したものが多く、低価格ではあるが、業務で使用するには機能や性能の面でやや物足りない。また、製造業などで利用されている製品は、高機能・高性能ではあるが非常に高価であり、簡単には手を出せない。

「私たちが目指すDesktop Fabricationを可能にするためには、ビジネスユースにも耐えうる性能と、一般のオフィスにも導入できるリーズナブルな価格が求められます。今回の新製品では、その2つが両立できたと自負しています」(錦見氏)

新たに登場したローランドDGの3次元造型機。注目の価格は、「ARM-10」が68万円、「SRM-20」が48万円となっている(各税抜)。発表会に集まった販売代理店の担当からも、「これまで少なかった中価格帯の製品なので、クライアントにも提案しやすい」との反応が多く寄せられたそうだ。

国内メーカーだからこその安心サポート

ローランドDGが世に送り出した3次元製造機の新シリーズ「monoFab」。これが、ものづくりの市場において注目を集めている大きな要因の一つが、国内メーカーによって製造された製品である点だ。現在では、多種多様な3次元造型機が発売されている。だが、それらの多くは海外メーカーによって製造された輸入品である。

その場合、特に問題となるのがサポート面だ。トラブルが発生した際に、迅速に対応してくれるサポートがないと、安心して業務に利用できない。もちろん、海外メーカーの製品でも、ほとんどは国内販売店によるサポートがある。だが、トラブル内容を本国に問い合わせたり、修理は海外のテクニカルセンターで対応するなど、どうしても手間や時間が掛かりがちだ。

ローランドDGには、業務用インクジェットプリンターと切削加工機によって、四半世紀以上にわたって培ってきたサポートのノウハウがある。また日本全国各地に拠点があるため、いざという時の対応も素早く行うことが可能だ。万が一、機器が故障してしまった際には、代替機の提供にも対応してくれる。

普及しつつあるとはいえ、3次元造型機の市場は、まだまだ黎明期の段階である。このような状況において、ローランドDGの実績豊富かつ日本企業ならではのきめ細やかなサポートは、現場の大きな力となってくれることだろう。

製品には、利用する際に必要となる備品がスターターキットとして提供される

10月16日、17日に、実機を見て触れられるイベントも

「Desktop Fabrication(机上でのものづくり)」をコンセプトに、新たなものづくりを提案するローランドDG。そして、その要ともいえる3次元造型機の新シリーズ「monoFab」。その実力を体験できるセミナー「monoFab Experience Day」が、10月16、17日の両日、東京浜松町にある同社クリエイティブセンターで開催される。なお、17日の基調講演には、FabLab Japanの発起人である慶應義塾大学環境情報学部准教授田中浩也氏が登壇予定となっている。このほかにも、ローランドDGでは「monoFab」を体験できるセミナーを、全国各地にある同社クリエイティブセンターにて開催予定だ。これらのイベントには個人、法人を問わず参加できるので、興味のある方は足を運んでみてはいかがだろうか。