富士通デスクトップPCの生産拠点、富士通アイソテック

「消費税が5%から8%にアップ」が2014年4月1日のこと、「Windows XPのサポート終了」が同年4月9日のこと。この2つの特需により、2013年度のPC出荷台数はとても好調だったようです。となればPCの生産現場も、さぞや“てんてこ舞い”だったでしょうと思い、富士通デスクトップPCの生産拠点、福島県伊達市にある「富士通アイソテック」の工場を訪ねてみました。実は筆者がここを訪れるのは、6年ぶりのことです。

さて、工場に潜入してまず気づいたのが、社会科見学を行っている高校生たちの存在です。以前訪れたときには、こうした団体には遭遇しませんでした。この件について問い合わせてみたところ、「4~5年ぐらい前からの取り組みです。企業としていかに社会貢献できるか……その一環として社会科見学を積極的に受け入れるようにいたしました」(富士通アイソテック ボリュームプロダクト統括部 製造部長 高橋幸男さん)。ふむふむ、聞けば年間2500~3000人の見学者を受け入れているようです。工場の稼働日を年間240日と仮定すれば、1日あたり10人以上が見学している計算になります。

ついでに引率の先生にも「なぜ、PCの生産工場なのですか?」と訪ねてみました。すると「この生徒達は昨年4月に新設された情報処理・情報ビジネス科の一年生なのです。今後、学んでいくことを考えればPCの生産現場を見学することは重要です」(福島県立福島商業高校 高橋英彰先生)との答えが返ってきました。なるほどなるほど……IT系について学ぶのなら、ここを見学していて損はありません。

富士通アイソテックの解説員の話に熱心に耳を傾ける福島商業高校の生徒たち。見学者にはレシーバーがわたされ、生産機械が唸る工場内でも解説が聞きやすいとのこと

「え!? 生産ライン上に乗っているPCに突如電源が入ってる?」

では、生産工場に足を踏み入れてみましょう。工場内の様子は6年前とあまり変わりがないように見受けられました。ですが、私たちを案内してくださった富士通アイソテック ボリュームプロダクト統括部 製造部 熊倉美津男さんによると、「以前は生産ラインに乗る部品はフロアに置けるだけ置いておきましたが、今では2時間分の生産量しか用意していません」とのこと。部品置き場のスペースを節約し、その分、生産ラインを増強しているのでしょう。

工場の入り口に設けられた見学者向けの解説スペース。6年前にはこの部屋はなかった。工場内にはクライアントPC用に6本、サーバー用に5本の生産ラインが並ぶ

私たちが案内された生産ラインは、液晶一体型デスクトップのものでした。見学をしながら歩を進めると熊倉さんはこう解説されました。「以前は、同一ライン上で液晶ディスプレイを組み立ててから本体を組み立てる、といったように作業していましたが、今は液晶と本体を同時に組み立てられるようにしています」。ふむふむ、ベルトコンベア上のトレーを見てみると確かにディスプレイと本体が並んでいます。これならラインを短くでき、生産効率が上がるでしょう。さらに熊倉さんいわく「以前はマスターとなるHDDの内容をそのままコピーしたHDDを組み込んでいましたが、現在は工場内のサーバーでコントロールされたデータを光ファイバーによって各HDDにコピーしています。そのため、異なるデータ内容のHDDを同一の生産ラインに用意できます」とのこと。これにより、店頭販売用の画一的な製品も、富士通WEB MART(直販サイト)で受注したカスタマイズ製品も、企業向けの製品も同一のラインで生産できるのだそうです。

トレーの上にはピンク色のマットが敷かれ、その上でディスプレイの組み立て、その右側で本体の組み立てが行われる。右の写真はサーバー上のデータを光ファイバー経由でコピーされているHDD群

歩を進めていくと衝撃的な光景に出くわしました。特に電源ケーブルなどを接続している様子はないのに、生産ライン上のとある地点を過ぎると次々とマシンが起動していくのです。「デスクトップの電源ケーブルには長さに制限があるはず……ラインが進んでいくと抜けてしまうのでは? この手妻はいかに!?」といぶかしがっていると、熊倉さんは「電車のパンタグラフと同じようなものです」と答えてくれました。「なんのこっちゃ」と一瞬思いましたが、仕掛けはこうです。ラインの上に電流を採り入れる鉄パイプがあり、そこに各マシンに取り付けられた電源入力パーツが引き込まれると起動するのです。ライン上で初期試験が行えるので、生産効率が向上するとのことです。

左の写真には生産ラインに4台のPCが見えるが、右の2台は起動している。右の写真は電源供給システムの見本。トレーの上に見える“パンタグラフ”のようなパーツが写真右端の鉄パイプに引き込まれると電源が供給される

初期試験が終了するとマシンは生産ラインから取り除かれ、本試験する場へと移されます。一通りの試験をクリアすると添付品が同梱され、パッケージに梱包されます。こうして量販店などに出荷され、私たちの手元に届くのです。

添付品の梱包作業の様子。梱包すべき添付品にブルーのランプが光り、それを箱に収めたらランプを押す。グリーンのランプはこれから梱包する部品を表している。右の写真は出荷待ちのマシンたち

最後に「社会科見学の生徒たちは、どんな感想を持っていましたか」と質問してみました。すると「『まさかパソコンが人の手で組み立てられているなんて!!』という意見を多数いただきました」と熊倉さんは苦笑い。確かにパソコンは先進的な機器です。生産現場を見たことがない人なら、ロボットアームかなんかで全自動で組み立てられるもの、と想像してしまうでしょう(笑)。人の手を介して丁寧にもの作りをする……このことは富士通が標榜する「Made in Japan」を体現したものといえます。大量生産を志向する海外製品とは明らかに一線を画しています。

その“人の手で組み立てられる”を体験できる「パソコン組み立て教室」が、ここ富士通アイソテックで毎夏開催されています。続いてその件についてもうかがいました。

ご購入は、富士通直販サイトWEB MARTまで。

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